音楽で絶対音感は、プロに不可欠な資質と言われている。ソムリエの試験をはじめとするものは、テイスティングワイン一本ごとの質を考えさせられるので、音楽における絶対音感に近い資質が問われている気がする。この体系に沿ったテイスティング講座は多く、色以外にテーマのしばりがないワインを前に、それぞれのワインを当てることに立ち向かうこととなる。私にはこの資質がないためか成績が悪く、落ち込むことが多い。同類と思われる人も多いが、数人のスーパーテイスターは、片っ端から当てて行くので尊敬してしまう。味覚・嗅覚の世界でも、神崎雫や遠峰一青のような天性の、越えられない才能を持った人がいると感じるこの頃である。その天性の資質を神の鼻とか神の舌などと感覚の鋭さと言われるが、一歩踏み込むと、感知能力はその紛らわしいいくつかの芳香物質をブレずに識別できる能力という側面が強い気がする。
マスターオブワイン試験流のテイスティング講座というものがある。ソムリエとは別の視点からワインの専門家を選び出す制度で、毎年数十人その栄誉を得ることができる。この称号の保有者は全世界で300人程度で、アジアには数える程度しかいない。こちらのテイスティングは、かなり異なった視点で行われる。4-6種類のワインが供出され、それらすべてが共通するテーマ(共通する品種、共通する産地など)を持ったワインが並べられ、そのテーマの発見とテーマ内での違いを見出す能力が求められる。テーマのしばりがあるので、絶対的な感覚の鋭さは問われないが、テーマごとの知識、経験が問われることとなる。私のような感知能力にブレがあるワインオタクには、こちらの方が成績が高い。
0)前者に焦点を当てたブラインドの達人を目指す講座に出てみたが惨敗(写真を撮り忘れました)。バルベラ、アルバリーニョなどは当たったものの、日本のメルロなど教科書的なワインを外したのは痛恨の極みでした。
後者に焦点を当てた講座もいくつか受講したので、そのレポート。
1)マスターオブワインを目指すための?某講座
泡2本、シェリー2本、リースリング2本。左側のNo1はニュージーランドの泡。参加者のほとんどは、ペアワインのテーマまではたどり着けていたが、それ以降は難易度を究めていた。シャンパーニュとの差異が見出しにくい。シェリーは、アモンティリャードとオロロッソ。これはフロールの香りの有無で判定できるので、比較的正答者は多かった。最後はリースリング。いずれもアルコール度数が低く、ドイツ以外の答えが出せなかった人がほとんど。フェルトン・ロードも酸度が高いが、雑味が少ない?かなといった程度で難しい。
クラス会は一人一本持ち込みのブラインドのため、絶対匂感?の勝負となってしまう。カナダのシャルドネ、ハンガリーのカベルネ・フラン、リースリングのスパークリング、私が持参したギリシャのアシルティコなど、単体ブラインドとしてはウルトラCが並んだが、リースリングのスパークリングを除きどれも一発正解者はいなかった。
2)ダブルブラインドで行われる某講座
テーマ型の方が得意と言っておきながら惨敗の泡7本。全て酸味もあり、見分けがつきにくい。全てシャンパーニュとした人は多く、私も7本中4本はシャンパーニュと思ってしまった。最近は醸造技術も上昇し、見分けがつきにくくなっています。
クラス会は、年の瀬などの要因もあって豪華。半分以上のワインの写真を誤って消去したためLavile Haut Brionなどが掲載できていません。
3) ブルゴーニュなどに焦点を絞った講座
あらかじめブルゴーニュ、生産者も共通とわかっているので考えやすい。フェヴレの同一ヴィンテージで地域名(ブルゴーニュ・ルージュ)、村名、プルミエ・クリュ、グランクリュなのでわかりやすい。地域名、村名までは、凝縮度から判別が容易だが、プルミエ・クリュ以上は難しい。