Vino Masa's Wine Blog

Weekly notable wine update.
毎週、気になったワインをアップデートします。

Bouzyのテロワール

2013-08-26 | Essay

副業のワイン関係の仕事?が一段落している隙に、たまったワイン本などの読書が進行中。

昨年(2012)の12月号のシャンパーニュ特集。蛯沢氏の取材は、新たなものを呼び起こし興味を惹いた。

シャンパーニュ地方と言えば石灰岩。これに異論があるとは思わなかった。事実、Peter Liemも自身のサイトでAmbonnayとBouzyのテロワールの違いに言及しつつも、両者は石灰質としていた。

蛯沢氏がジャン・フランソワ・クルエから聞き出したことは次の通り。フランスのパリからブルゴーニュに至る一帯は、ジュラ紀頃は海底に沈み、その時の海洋生物の死骸などの堆積物が石灰質を形成されたとされている。ただし彼によると、モンターニュド・ランスだけは、山を成のため、海面上に顔を出していたので、この石灰質が造られなかったそうである。モンターニュ・ド・ランスの石灰質は地中にあり、山頂付近の土は黒い火山土、さらにそれらが浸食されて斜面下部に流されて来たため、Bouzyの土壌は黒のようだ。

19世紀にはここで褐炭が産出されていたそうで、陸に在ったことを裏付けている。土壌の成分にはイオウ、窒素、亜鉛が含まれ、疫病やミネラル分の補給にも役立つそうだ。

これを反映してか、周りがスパークリングに乗り出したにも関わらず、ピノ・ノワールから造られるスティル・ワインが、しばらくBouzyでは造られていたそうだ。

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%8E%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%AF2012%E5%B9%B412%E6%9C%88%E5%8F%B7%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%A5%E7%89%B9%E9%9B%86/dp/4903094693/ref=sr_1_9?s=books&ie=UTF8&qid=1377442006&sr=1-9&keywords=%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%8E%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%AF

 

 

 

 

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千曲川ワインバレー構想

2013-08-25 | Essay

はすみふぁーむ都農ワイナリーなどの自叙伝などが最近相次いで発売された。ちょっと前には、カーヴドッチの話も出されていたようだ。様々な困難を乗り越えての起業には共感やバイタリティを感じる。

しかし、何といってもヴィラデストワイナリーを創設した、玉村豊男さんの造形の深さは、読み応えとともに様々なヒントが隠されている。

千曲川の川沿いをワイン産地にしようとの早大な構想、農業者になることの難しさ、耕作放棄地の借入・購入にたどり着くまでの障害など夢から、現実まで広く要点が取り上げられている。

最後の「日本の近代化を支えた巨大産業」「蚕種問屋とワインバレー」は、新たな視点を与えてくれる。玉村氏は、この地で栄えた養蚕業に注目し、桑畑について調べている。蚕(カイコ)のエサとなる桑は、日照の良く乾燥した土地でないとうまく育たないそうだ。桑の葉に付くウジバエはカイコの天敵で、これを回避するために乾燥して、風通しの良い場所が不可欠だったそうだ。

これこそ、ブドウのテロワールを形成する要素そのものではないか?そもそもの発想として、後継者難に悩む果樹農家から畑を買い取ってワイン用ブドウ園にできないかを考えていたが、耕作放棄地の典型でもある桑畑は隠れたテロワール探しの鍵になる気がする。戦前の養蚕業を反映してか、地形図には桑畑の記号がある。手元の2万5千分の一の地図を再度眺めてみることにしたい。

以下は、玉村氏の「千曲川ワインバレー」のリンク。ここから他のワイナリー起業本も検索(「この本を買った人は、こんな本も買いました」)できる。

http://www.amazon.co.jp/%E5%8D%83%E6%9B%B2%E5%B7%9D%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%AC%E3%83%BC-%E6%96%B0%E3%81%97%E3%81%84%E8%BE%B2%E6%A5%AD%E3%81%B8%E3%81%AE%E8%A6%96%E7%82%B9-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E7%8E%89%E6%9D%91-%E8%B1%8A%E7%94%B7/dp/408720684X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1377434057&sr=8-1&keywords=%E5%8D%83%E6%9B%B2%E5%B7%9D%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%AC%E3%83%BC

 

 

 

 

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Les Demoiselles

2013-08-24 | Essay

シュヴァリエのレ・ドゥモワゼル

たまたま、3日間に2種類のシュヴァリエ=モンラシェを飲みました。

  • 2004 Louis Jadot Chevalier Montrachet Les Demoiselles
  • 2001 Louis Latour Chevalier Montrachet Les Demoiselles

 

この小区画、シュヴァリエ=モンラシェの一番北側に位置する1.03㏊

名前の由来は、19世紀の二人の所有者、マドモワゼル・アデル・ヴォワイヨとマドモアゼル・ジュリー・ヴィわいよに因むとあるが、なんでドゥモワゼルとなったのかは不明。このワイン会参加者が「マドモワゼル」と発音が同じと指摘していたが、もっともな理由かもしれない。

ここの所有者は、Louis JadotとLouis Latourの二者。したがって3日間で全生産者制覇ということになる。

この区画をシュヴァリエに参入するか否かは、かつて議論が成されたようだが、ルフレーブは反対したものの、両生産者の言い分が認められたようである。

その経緯や位置を考えると、シュバリエの中では劣後する小区画なのかもしれない。

両ワインとも素晴らしく、ブルゴーニュの白の頂点に近い。特に04のJadotは文句の挟みようがない完成度。01のLatourは、アルコール度数14%と高め、若干の貴腐香を感じたのは私だけであろうか。

シュヴァリエの小区画にはもう一つ、ラ・カボットと呼ばれる小区画がシュヴァリエの南端にある。ここは、もともとル・モンラシェだったが、1935年のAOC制定時に何も植えられていなかったためシュヴァリエに編集されたとのことである。ブシャールが所有している。ブシャールのシュヴァリエも買いかもしれない。

 

ピュリニ・カイユレのドゥモワゼル

ピュリニ及びシャサーニュのプルミエ・クリュ群で抜きんでていると言われているのがカイユレとピュセル。立地(モンラシェの北隣、シュヴァリエの東隣)を考えるとカイユレが抜きんでているのであろうが、ルフレーブが秀逸なピュセルを造るので、経験値から考えるとピュセルかもしれない。

カイユレにもレ・ドゥモワゼルがある。カイユレは3.93㏊の畑だが、この中に僅か0.63㏊のLes Demoisellesの小区画がある。

名前から考えると元々の所有者は、シュヴァリエの畑と同じであろう。現在は、ギィ・アミオとミッシェル・コラン=ドルジェが所有している。

若干、ドゥモワゼルの話とは脱線するが、このカイユレには、1956年までピノ・ノワールが植えられていた。さらに、100年前のブラニー側の山の手にはブドウ樹が植えられていなかったそうで、これらのためにラヴァルが1850年頃に低い評価をこの地に付けていたとジャスパー・モリスは断じている。

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01 プレヴォー

2013-08-19 | Tasting Note

セロス系のシャンパーニュは、酸化した劣悪なワインとの攻撃をしばしば受ける。

例えば、ルネ・コラールの70年代、premature oxidationに遭遇したブルゴーニュの白は、個人的にはNO!

でも、セロスのシュブスタンスなどは、ヴィンテージのムラがあるものの、素晴らしいシャンパーニュと感じる。

微量のブレタノマイシスを是とする人がある程度存在するのと同様に、適度な酸化も、もっと、もっと、是認されて良いのではないか?知る限り、かなりのプロの方がセロスにネガティヴなので、敢えて反対意見を表明、、、

ワインの果実感やアルコール度数とおのバランスも重要な気がする。リッチなシャルドネにはポンピングオーヴァーを施し、空気との接触を促すことと相似点も見いだせる。

極めて偶然に、01のプレヴォーを今年の7月?6月?に飲む機会に巡り合えた。メイラード反応や多少の酸化を感じるが、圧倒的なパワーとともに実に見事なワインであった。しっかりとしたシャンパーニュは12年は寝かせるべしと改めて思う。プレヴォー万歳!!

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土壌考

2013-08-18 | Essay

レミントン・ノーマンの「グラン・クリュ」では、ブドウが生まれる土壌について詳解されている。確かにコート・ドールのプルミエ・クリュ、グラン・クリュは石灰岩を下層土とする土壌である。しかし、石灰岩の種類に応じたブドウ及びワインの質といった単純な図式は成立していない。

一般に、土壌は表土、下層土、母岩と分類されているようだ。コート・ドールが石灰岩と言われるのは、その下層土が何種類かの年代の異なるジュラ紀の石灰岩で組成されていることに由来している。注意しなくてはならないのが、下層土が石灰岩ということで、表土が必ずしも石灰岩ではないことである。

谷の出口では、削られた石灰岩や年代の新しい漸新世の土壌が扇状地を成している。畑の表土の厚さは数十㎝から数mまで多様で、ブルゴーニュの場合、この表土に粘土質が含まれていることが特徴となっている。石灰岩にも多くの種類があり、浸透性の低いコンブランシアン土壌(コンブランシアンという村がニュイ・サン=ジョルジュの南に在る)から、浸透性の高いものまで様々である。

テロワールが石灰岩に由来する説は、雨水、或いは、地下水がこの下層土の石灰をわずかに溶かしているのではないかと考えられている程度である。粘土質の役割にも光が当たりつつあるが、これによってブドウ樹の水分や養分の吸収に影響するとの考えに多少日が当たりつつある程度の段階のようだ。

石灰岩でなくても秀逸なワインができるとの意見もある。オーストラリアの栽培学者、リチャード・スマートは、気密性や保水性だけが重要と主張している。そういえば、オーストラリアのヴィクトリア州のビンディが造るピノ、「クオーツ(=石英)」は秀逸なワインだが、ワイン名のとおり石英の含有量が多い土壌から造られている。

日本の場合、土壌の分布について調べると、いくらかの調査は進んでいるが、表土に限定されている気がする。多くは森林褐色土とされているが、おそらく表土を調べただけであろう。下層土は何なのか?表土の厚さは?保水性は?気密性は?これらを知るには実際にボーリング調査をしないとわからない。

その伝統・名声のために可能かもしれないが、ブルゴーニュの素晴らしいところは、幾つかの地点でボーリング調査が行われて、土壌の調査が進んでいることである。グラン・リュの畑も斜面の上から下に数か所穴を掘って調べている。後からブドウを造る人は、こういった調査を行って始めて土地の向き不向きの議論に参加できる気がした。確かに、ソノマのラディオ・コトーのワインメーカーもUCディヴィスの先生も、新し土地でワインを造るなら、まずボーリング調査をすることが重要と説いていた。

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フェレール・ボベ 2008 フェレール・ボベット

2013-08-18 | Tasting Note

リベラ・デル・ドゥエロやトロに代表される、骨格とパワフルさを求める評論家も多数いる。その一方で、ビエルソのメンシア種やプリオラトのガルナッチャには、果実爆弾とは一線を画す、エレガンス路線を模索中の軌跡を感じる。フェレール・ボベもその一人、プリオラトでカリニェナからエレガンスを抽出することを探究している。

このワインは、カリニェナ(フランス名、カリニャン)を中心(カリニェナ70%、ガルナッチャ30%)に造られる。明るい感じがにじみ出たワインで、赤系果実の香りが多彩で鮮やかである。南フランスの鈍重で野暮ったい印象は微塵もない。ここの樹齢は100年以上と言われているが、そもそも昔から植えられて、まともな記録が残っていないとのことであろうか。それでも、アルコールが15度と高いのは、温暖で夏期に強烈な乾期となる地中海性気候が表れているためであろうか。

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ロベール・シルグ Les Petits Monts 2005

2013-08-18 | Tasting Note

リシュブールに接するプルミエ・クリュは、二畑のみ。クロ・パラントゥとレ・プティ・モン。いずれも山側(西側)で、並んでいる。グラン・クリュ帯よりも一段上ではあるが、クロ・パラントゥと同列、しかもリシュブールの2区画の中では優秀とされるレ・リシュブールの上であり、屈指のプルミエ・クリュに違いない。

「ブルゴーニュ・ワイン大全」によると、「リシュブールを少し軽くしたようなワイン」とあるが、凝縮感と果実味が融合された見事なワインだった。ヴィンテージが良いからかもしれないが、ワインの格、質ともに一級品である。鮮やかで余韻の長いアロマにはうっとりとさせられるが、骨格もあり格式を感じた。

そういえば、この造り手、「神の雫」の第10の使徒ではなかっただろうか?さっそく2009を買い込んでしまった。

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