Vino Masa's Wine Blog

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アロマ・ホイール

2014-07-21 | Tasting Note

先々週からUC Davisの「Wine stability and Sensory Analysis」という講座の受講を開始したので、またまたポストがおろそかになっています。アクセスしていただいたみなさま、すみません。

この講座がUC Davisのcertificate programにおける醸造関係最後の講座に位置付けられ、いきなりハードルが上がるのかと思ったら出だしはテイスティング、ワイン学校に通った人にとってとっつきやすい内容でした。それでも、トライアングル・テイスティング、T検定などアカデミックな内容は満載されていますが。

その中で疑問を感じるのがアロマ・ホイール。これは、UC Davisで開発されたテイスティングの分類早見表のようなもので、ワインに現れる香りの特徴を100種類くらい放射状に列挙し、馴染みが薄い人がワインから香りを探り出す補助としても有効なものとなっています。しかし、この各要素を放射状に並べる必要があったのでしょうか?

ワインを試飲する時に、特徴となる香りを上げることは重要です。グレープフルーツ、青ピーマン、焙煎コーヒーといった香りを見つけ出すと、そのワインに含まれる化学物質の特定に役立っています。グレープフルーツは3MH、青ピーマンはIBMP(いわゆるメトキシピラジン)、焙煎コーヒーは2FMといった化学物質に直結するので、化学的な分析とリンクしてきます。これらをグループ分けするのも当を得ています。3MH、IBMP、2FMなどにはイオウ分子が含まれるので、チオールと呼ばれるグループとして共通の性質もあるはずです。

しかし、ある特徴と別の特徴が対局にあることまで言えるのでしょうか?はたまた、例えば90度の位置関係にある香り間に関係があると言えるのでしょうか?残糖度や酸度の程度に応じて特徴の強弱を表すことは合理的根拠があるとしても、異なる香りの特徴が60度や90度といった関係に置き換えられることは主観的な見方でしかないと思われます。

更には、mouthfeel triangleなるものまで存在しています。これは、口当たりを三つの要素(粗さ、酸味、甘み)に大別し、正三角形の頂点に位置付け、その割合に応じてThin、Hardなどという口当たりの強弱が表現されるようです。酸が強くても甘さがあるとバランスの良さを感じることなど一定の理解は可能とおもわれますが、23つの要素を三角形に見立てることが難しい気がしました。逆にアルコールが高くても果実味が強いとバランスの良さを感じますが、アルコールや果実味といった要素は無視されているようです。

アロマ・ホイールやmouthfeel triangleに共通しているのは、3要素以上のものを2次元のグラフ化することで、5℃+7ⅿ+3秒=15点といった科学的根拠の少ないことをほじくり回している気がしてなりません。

コメント
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