八島ビジターセンター

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つづき  進化の流れの中で

2007年08月08日 | Weblog
どうも話が長くなって申し訳ありませんが、少し視点を広げてみましょう。

例えば虫媒花と風媒花の違い。イネ科やカヤツリグサ科の植物の多くは風媒花です。風にとって花の色というのは興味がありませんから、イネ科植物というのはわざわざ目立つ花を付ける必要がありません。これが花なのかというような地味なものが多いですよね。その代わり、遠くまで花粉がとばされるような形態的特徴を発達させています。「風媒花は地味で虫媒花は色彩に富む」。同時に、「風媒花では退化した花びらが虫媒花では発達している」。前回述べた「色と形態の相関関係」は少なくともこの両者の間においては存在するといえるでしょう。

そして、植物の進化の過程から言えば虫媒花の種類でも色や形態は関係しながら進化してきているようです。被子植物が最初に分化したころ、主なポリネーターは甲虫類であったと考えられています。そのため、植物は夜目にも目立つように現在のモクレンのような白くて大きな花であったそうです。その後、ハエやカなどの双翅目、次いで蝶や蛾などの鱗翅目の出現によって被子植物の世界は次第ににぎやかに進化してきました。例えば、アゲハのような大型の昆虫に対しては、花の色は鮮やかで大型の花びらを持ち、かおりの強いものが増えていきました。一方、ハエやアブに対しては小さくて色彩も地味な花が多いようです。

結論を急ぎます。昆虫の色に対する好みを考慮すれば、前回述べたように、白い花に集まってくる昆虫に対して似通った形態の花が別々に存在していてもおかしくはないのではないでしょうか。真偽の行方はわかりません。あるいは、専門家に言わせればそれはもう答えが出ていることなのかもしれません。しかし、時にはそんなことを考えながら周囲のお花を見比べてみてはいかがでしょう。

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