八島ビジターセンター

長野県のほぼ中央、霧ヶ峰高原の八島湿原を中心とした地域の最新情報をビジターセンターからお届けします

ミズゴケの水分補給

2008年05月29日 | Weblog
          
高層湿原に多く生育するミズゴケ類は主に雨水を頼って生きています。それは湿原全体がドーム状に盛り上がっているため、周辺からの流入水や地下水による影響を受けにくいためです。泥炭表面の水は常に低い方へと流出する運命にあり、空から供給される雨や雲霧が非常に重要な役割を示します。

因みに八島湿原は標高が高く、周囲からの水の流入量も決して多くはありません。ここで、もし流入する水環境がずっと多かったら、同じような立派な高層湿原が成立したかどうかは逆に疑問が出てきます。八島ヶ原湿原は他に類をみないほどの美しい高層湿原として成立しているわけですが、そのためには偶然にもこの標高や地形が重要だったのかもしれません。これについてはまた追々ふれていきましょう。

今日も一雨降って、ミズゴケは充分にその水分を受け取ったでしょうか。
湿原全体が緑に包まれるのももう少しです。

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■AED設置施設
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ノビタキの気持ち

2008年05月25日 | Weblog
          
八島湿原は昨日から今朝まで雨が降り続いていました。心が洗われるような落ち着いた雨です。こんな日、動物たちはどのように過ごしているのでしょうか。朝湿原を歩くと、八島ヶ池の周囲に広がった水たまりのそばで、一羽のノビタキに出会いました。
彼の目線の先には・・・、いました、メスです。


彼らは今、求愛の季節。お互い少しふざけあうように追いかけっこをし、近づいたり離れたりしています。こんな雨の日でも、彼らには関係のないことのようです。もしかしたら、雨ならではの独特な気持ちの高まりがあるのかもしれません。

もし、彼らの言葉を話すことができたなら、彼らの気持ちを解する力があったなら・・・。

それができないことが私には残念でなりません。しかし、長く付き合っていれば、少しは彼らに近づくことができるのではないか、そんな気持ちが私を日々湿原へとむかわせます。

一方、八島ヶ池では、いつものカルガモの夫婦がつつましく仲良さそうに泳いでいました。この夫婦はいつもマイペース。まるで世界には八島ヶ池と自分たちのほかに何ものも存在しないかのようです。

遠くではカッコウが鳴き、時にはヒバリの賑やかな声さえも響いてきます。雨の中、それは思っていたより生命の営みを感じることができるものでした。その後天気は回復。もしかしたら鳥たちはそれを事前に感じ取っていたのかもしれませんね。

来週はこの雨が湿原に果たす大きな役割について考えていきたいと思います。


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サクラスミレ

2008年05月22日 | Weblog
三寒四温、湿原は昨日からまた暖かくなりました。昨日、21日の最高気温は20.2℃。注目すべきはその日較差で、朝の最低気温は0.2℃を記録し朝と昼とで20度℃の気温差がありました。この時期の霧ケ峰では珍しくはないのですがやはり驚きです。


           

写真は今月19日と21日のサクラスミレの様子です。19日の天気は曇りで花弁は閉じていましたが、21日の朝はたくさんの光を浴びて立派に花を咲かせていました。植物の開花や開閉運動(ツユクサやタンポポのように開いたり閉じたりする運動)は温度に反応する種類(傾熱性)や光に反応する種類(傾光性)があり、そのほか様々な刺激や細胞内の変化が複雑に関係しているそうです。スミレの場合はどんな環境要因に反応するのでしょうか。

根拠はありませんが、21日開花した様子を撮影したのは朝7時ころでかなり気温が低く、19日との気温差もなかったと思われるので、やはり太陽の光に強く反応したのかな・・・などとうだうだと考えてしまいます。

草花を観察しているといろいろな興味がわいてきます。立地条件、花芽の生長、訪花昆虫。その中には既に研究されて解決されていることもたくさんありますが、現地で植物を見ながら、自分の目と頭で考えるのもなかなか楽しい試みです。


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キジムシロ

2008年05月16日 | Weblog
           
雪の降った日からどうも冷え込んでいた空気がようやく回復、今日はぽかぽかと暖かい日となりました。出だしを挫かれた感じの草花も、気を取り直して花を咲かせようとしています。

写真はキジムシロ。里の雑草地や道端なんかでも見かけるポピュラーな花ですね。キジの筵のように円形に地面を這って葉を広げます。小さいながらも目立つ黄色い花は、太陽が照るとここぞとばかりに咲きだして、私たちにも暖かな春を感じさせてくれます。

ところで、キジムシロにはそっくりの花が多くて紛らわしいため、ビジターセンターの話題にもちょくちょく花を咲かせてくれるとか…。コキンバイ、ミツバツチグリ、ウマノアシガタ。どの花も春の陽気に誘われて咲く明るい花々です。


その他、開花状況

ザゼンソウ(終わりかけ)、ショウジョウバカマ、ミツバツチグリ、コキンバイ、ヒゲネワチガイソウ、タチツボスミレ、ササバエンゴサク、オオカメノキ


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珍しく・・・

2008年05月11日 | Weblog
         
おはようございます。

北風の影響で東日本全体が冷たい空気に包まれています。その低温と通過中の前線によって八島湿原は雪と氷の世界となりました。5月には珍しい春の雪です。

芽吹いた木々が重たそうに氷に包まれ、無音の世界にシュレーゲルアオガエルの蛙鳴がこだましています。今朝の最低気温は氷点下2.1℃。すでに春の営みを始めていた動物や植物への影響が心配されます。

午後からは徐々に天気は回復。明日は晴れる予定です。

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朝の独り言・・・。

2008年05月09日 | Weblog
「昨日の朝の出来事、あれはシジュウカラどうしの巣の奪い合いだったのか・・・。」

シジュウカラが営巣しなかったのが、なんだか気になって彼らの生態について少し調べてみました。軽井沢、野鳥の森のピッキオによると、シジュウカラの巣箱放棄の最多の原因はなんと、同じシジュウカラやヤマガラによる巣の乗っ取りなんだそうです。特に巣づくりのころに多いということ。

昨日の朝、3羽以上のシジュウカラが騒がしく飛び回っていたのは、まさにその決定的瞬間だったのかもしれません。だとすれば、もう始まっていた巣作りが失敗してしまった残念な出来事だったのか。

今朝一番に見ても巣箱はシーンと静まり返ったまま・・・。なんだか彼らのことが頭から離れず、そわそわした気持です。


参考文献:森の「いろいろ事情がありまして」
      ピッキオ編著 信濃毎日新聞社



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シジュウカラ 巣箱を見学?

2008年05月08日 | Weblog
           
今朝、センターで設置している巣箱にシジュウカラがやってきました。口には巣材(動物の毛?)を加えています。しばらく観察していると、今度は巣穴から顔を出して、外に出たり入ったり。↓

          
私は巣箱を使ってくれる番いが現れたものと喜んでいたのですが、様子を見ているうちにどうもそうではないことがわかってきました。一度いなくなると数時間帰ってこない上、午後にはぱったり姿が見えなくなってしまったのです。最初は番いかと思ったシジュウカラも3~4羽いるようで、まだなわばり争いに決着がついていないのかもしれません。一匹のシジュウカラが激しく叫びながら別のシジュウカラを追いまわしたりもしていました。

その後、夕方になってもシジュウカラが帰ってくる様子は見られずちょっと残念…。無事にこの巣を使う家族が決まってくれるのか。今後の観察に期待です。


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今年は…?

2008年05月04日 | Weblog
          

こんにちは。

八島湿原は昨日まで2~3日とても暖かい日が続きました。3日、4日の最高気温は、それぞれ19.6、21.2℃。外を散策するとちょっと暑いくらいでした。

オープンから1週間を経て「何だか今年は暖かい」という感想を持っているのですが、人間の記憶とは曖昧なものです。昨年や一昨年の気象データを見ると、やはり4月中に19℃くらいまで気温が上がっている日がちゃんとあるんですね。この時期は、暖かい日もあればとても寒い日もあるので、全体の印象としては「涼しい」という感覚が残るのかもしれません。
今日は雨が降って寒いほうの日です・・・。

気温と言えば、植物の開花や芽吹きの状況は気温に対してどのように反応するのか。非常に興味深いテーマです。去年の5月10日に「カラマツ前線」という題名でブログを出したのですが、今年もその前線がやってきました。記録上では昨年と今年のずれはたった一日。でも芽生えの前後がとても暖かかったせいか、今年の方が元気良く伸びているような気がします。カラマツの展葉過程と地温や気温のデータを毎年蓄積して比べてみたら、ちょっと面白そうです。

そうそう、今年もシュレーゲルアオガエルが鳴き出しました!!
こちらは去年より4日早い観測です。


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9000kmの旅を終え(2)

2008年05月03日 | Weblog
オオジシギのこと・・・。

オオジシギはサハリンと日本列島に限って繁殖する渡り鳥で、毎年この時期になると霧ケ峰にやってきます。越冬地は赤道を越えたオーストラリア南東部。その距離9000kmにもなるんです。鳥の渡りは本当に壮大ですね。

そして、八島湿原にやってきてから6月の終りころまで、独特のディスプレー飛行という行動を繰り返して訪れた人々の注目を浴びます。じぇ、じぇと鳴きながら上昇した後、ズビャーク、ズビャークと叫びながら急降下する行動で、最後に大きな羽ばたき音が響き渡ります。その奇妙な声と大きな風切り音は一度聴いたら忘れられません。

彼らは草原のような開けた場所を好みます。日本では北海道が重要な繁殖地となっている他、本州中部以北の高原で局地的に繁殖するということ・・・。ところが、本州中部の高原では草原・湿原の減少により生息地は減少傾向にあるといわれています(環境省生物多様性センター)。そのため、準絶滅危惧種(存続基盤が脆弱な種)であるとともに、長野県版のレッドデータブックでは絶滅危惧ⅠB類にも指定されています。その貴重な生息地の一つが、ここ霧ケ峰なのかもしれません。

そんなオオジシギ。ちょっと注目の個性派が今年も帰ってきた。ちょっとうれしいニュースです。

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9000kmの旅を終え・・・ (1)

2008年05月02日 | Weblog
草花の緑が一斉に広がる前のこの季節、湿原周辺にはたくさんの鳥たちが続々と集まってきます。

鎌ヶ池にはカモが悠々と浮かび、見通しの良い枝の上ではノビタキやモズの雄が辺りを見回しています。前方の木道の下を、一匹のキジがゆっくりくぐり抜けたかと思うと、人がいることに気がついて慌てて走り出しました。まるで「となりのトトロ」の中で、メイに見つかった小トトロが一目散に逃げ出すときのようです。キジには悪いのですが、その慌てぶりがなんともおかしくて笑ってしまいました。

 

毎年毎年、春になるとおなじみの鳥たちが帰ってきて、こうして姿を見せてくれるということは本当に大きな喜びです。普段、そんな生き物たちの存在を忘れがちな私としては、それでも自然がちゃんと循環し、生命が絶えることなく続いているということに何だか感謝したくなる。春はそんな季節です。

そして、今年もあの個性的な渡り鳥が9000kmもの長旅を終えて帰ってきました。昨日の夜、湿原を散策していると、ズビャーク、ズビャークといわれる独特の鳴き声が聞こえてきたのです。まさか、帰ってきたんだ、という期待に胸が膨らみます。

そして頭上で響く大きな滑空と羽ばたきの音・・・。それは夜の湿原に不気味に響いていました。 
そうオオジシギです。


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