サッカーの原点はストリートサッカー。コーチはいない。スタジアムやテレビで観ている憧れの選手のプレーを真似る。自分で考えた技を試す。仲間で競争し、できるようになった技を自慢し合う。
地面は土でも草っぱらでも砂浜でもいい。でこぼこがあれば足の裏を使うことを覚える。段差があればボールを浮かすことがうまくなる。地面が固ければ弾んだボールに強くなる。柔らかければ足腰が鍛えられる。砂浜ならアクロバチックなプレーをするようになる。
ゴールは目印になれば、石でも木でも布きれでもかまわない。決まった大きさのコートはもちろんない。人数や年齢や性別の制限もない。裸足でやってもオーケー。ルールは状況に合わせて自分たちで決める。審判もいないので、問題があったら自分たちで解決する、
初心者でも下手でもゲームをやる。勝ち負けに関わらないポジションでプレーをしながら、サッカーを覚えていく。ボールを失ってばかりだと、仲間に入れてもらえなくなるので必死にボールを守るようになる。少し慣れると、どうしたらうまく(邪魔にならないようにとかチームの力になれるように)プレーできるか考えるようになる。ある程度うまくなっても自分勝手なプレーばかりしているとパスしてもらえなくなる。ゲームで楽しく(必死に)プレーをしながら、うまい仲間や年上の仲間から多くのことを学ぶ。
うまくなりたいから、仲間に認めてもらいたいから、ドリブルで抜きたいから、点が取りたいから、色々な理由で「自分で工夫して」練習する。誰かに言われたわけではない。理由もやり方も人それぞれだから、個性がでる。
ストリートサッカーができる場所がなくなり、その代わりにオランダで考えられたのがクアトロサッカー。いくつかの大きさや形の違うコートで大きさや数が違うゴールを使って4対4でゲームをする。コーチは何もしない。大事なのは、子どもたちが自主的に自由な発想でプレーすること。
練習でゲームをやる時に、「あえて」見ないようにしていることがある。時には「コーチの目を気にしないでプレーをすること」が必要だと思うのでそうしている。すると「ほったらかしにしている」とか「指導をしていない」と言われる。
自分の練習は半分以上の時間をゲーム形式で行う。サッカーはゲームでうまくなると考えているからだけど、以前「ゲームばかりで、まるで遊んでいるようです。これではうまくならないのでやめさせます」と言われ、スクールをやめていった選手もいた。
あー、まったく難しいものだ。