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映画「ぼくたちの家族」


2014 日本 117分 松江テルサにて1月24日鑑賞 
監督 石井裕也 原作 早見和真「ぼくたちの家族」
出演 妻夫木聡 原田美枝子 池松壮亮 長塚京三

「舟を編む」の後「バンクーバーの朝日」の前に石井裕也監督が撮った映画。

東京郊外と言っても山梨県だが、一戸建てに住む家族。

妻(原田美枝子)はこの頃物忘れが多いのだが、ある日親戚の集まりでのあまりの突飛な言動に、
たまりかねて夫(長塚京三)が翌日病院に連れて行くと、脳腫瘍で余命7日と言われる。

家族の反応は、長男(妻夫木聡)の思いつめた生真面目さと、次男(池松壮亮)の醒めた余裕がいかにもそれらしいし、声が大きいだけで一番頼りない父親もありそうだと思う。

妻の言動が周囲に巻き起こす驚愕は認知症とか精神疾患の場合にも似ており、結局脳を冒されるということはこういうことなのだと感じる。

池松壮亮は「次男坊らしさ」が良く出ている。母の病気でまんじりともせず夜を明かした兄が起こすが応答がない。布団をはぐと赤い寝間着をしっかり着込んでいる。「パジャマを着るかよ」と言うセリフが効果的である。
次男で末っ子の弟は母親のお気に入り、母は長男の顔は忘れても次男を見ると満面の笑顔に。
多分これまでもそうだったのだろう。長男の身になるとここは釈然としない。

しかし、首都の住宅事情の悪さよ。中央線を西に西に、山梨まで辿りついてようやく家が建ち、しかも狭い所にマッチ箱のように並んでいるのには、広々とした地方の景色に慣れた私としては驚きだった。

楽観的すぎる終り方は観客へのサービスなのだろうか。それとも現実に目をふさいでいるのか。
男ばかりの家族における女一人の孤独、それが発病につながったようにも思える。
発病して初めて長年秘めた思いを外に出せる、主婦の孤独に同情する。
長男の妻が夫を信頼するという言も、果たして本音と言えるのか、建前ではなかろうか、こうなると疑わしい。

とは言え、映画としては三作の中で一番楽しめた。「家族」と言うこじんまりした世界
が石井監督の資質に合っているのだろう。

「バンクーバーの朝日」14-12-25
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