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【映画】ブタペスト市街戦1956

2007   ハンガリー  DVDで鑑賞 監督 ジョアジ・ソミアス 
出演   サンドル・ツェツォ カタ・ガスパール

スターリンの死後、自由を求めて立ち上がったブタペスト市民が、侵攻してきたソ連軍に武装して抵抗し、一時は勝利を得るが、最後には押しつぶされてしまうのが1956年のハンガリー動乱だと思うが・・・学校でも家でも教わらなかったようで、記憶からスッポリ抜け落ちている。「野ばら」1957は、ハンガリー難民である孤児がウィーン少年合唱団に入って活躍する音楽映画だった。また「アナザー・ウェイ」1982は動乱の2年後に起きた女性ジャーナリストの悲劇を描いた映画。コマネチももともとはハンガリー人だ。と、手持ちの知識はこの程度。

ドラマと当時の写真や記録映像がうまくつないである。最初、町外れでサッカーに夢中の数人の若者たちのところに、電車車掌の少女が町の中心で大きなデモがあるというニュースを届ける。大半はサッカーの方が大事と思っていたかれらもやがて武器を取り始める。当時はプレスリーの全盛期で、若い男女がロックンロールで踊り狂うシーンもある。彼らが自然に集まった映画館にはアンナ・マニャーニとシルヴァーナ・マンガーノのポスターがあり、そこが以後彼らの闘争本拠地となる。50年過ぎてもまだ、その映画館は残っている。砲撃のあともそのままに。

この闘争はポーランドの影響を受けたらしいが、両国の人々は少し様子がちがう。ハは向こう見ずに思えるほどに大胆なのだ。ハンガリーとは本々「フン族の住む所」という意味であり、かれらは恐らくフン族の末裔であるらしい。フン族とは東方、中央アジアから攻め込んで来てゲルマン・スラブを駆逐し、世界史年表にもある「ゲルマン民族の大移動」の原因となった勇猛な民族である。血の中にソ連兵など恐るるに足りずという気持があるのかもしれない。それにしても鉄砲で戦車を撃退するなんて、想像できないが、彼らは皆、やる気満々で何の恐れもない(という風に描写している)ポーランド映画を見慣れている目にはびっくりする位の激しい闘争心だ。映画の雰囲気を比べると、ワイダ作品が詩情に満ちているのに対し、もっと淡々と事実を物語っている。

この作品の最後の場面にワイダの「灰とダイヤモンド」から「あの陽気で頑固な仲間たち・・・(だったと思う)」が引用されている。恋と友情と闘いと・・・その3つが一つになったのが、主人公にとってのハンガリー動乱だったのかも知れない。

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