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「アメノウズメ伝」


1997 平凡社ライブラリー 著者 鶴見俊輔 

アメノウズメは、日本神話に出てくる女神。太陽神のアマテラスは弟スサノオの乱暴に怒って天の岩戸に閉じこもった。世界が闇にとざされて困った神々は一計を案じ、焚火の前でアメノウズメが肌もあらわに踊ると、神々の間に笑いが巻き起こり、その楽しげな様子に「何かしら」と岩戸を細目に明けたアマテラスを、男神が連れ出し、たちまち世界に光が戻ったという話。

硬直し閉塞した状況を打ち破る力が、アメノウズメにはあると著者はいい、裸体や、美しく整っていない顔の持つ威力を語る。彼女は「オカメ」とそっくり似た顔である。(オカメが不美人の代名詞になったのは後世のことで、当初は美人だったに違いない)ただ、「覚え書」だと自分でも言うように、別に人を説得する気はないようなので、文章が奔放に飛び回って、一読して理解しにくい。

男性も出てくるが、女性としては踊る宗教の北村サヨ、作家の瀬戸内晴美と田辺聖子を実例として取り上げている。あとの2人の作家、たしかに美人の部類には入らないが、たとい立派だと誉められても、オカメにたとえられたら、私だったら嬉しくはないな~。何もことさら女性にその役を託さずとも、男性も、著者自身もそういう働きをする覚悟をすればいいのじゃないか。

また、著者は日頃から母親への憎しみを公言しているので注目していたが、そのお母さんは、果たしてアメノウズメのような存在だったのか、その逆に美人だったのか?憎しみがあるということは多分美人だったのだろうが、気になるところだ。

→「どじょうすくい」の荒木八洲雄さん 2012-1-3
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