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映画「赤い航路」

ヒュー・グラントとクリスティン・スコット・トーマスの若夫婦


 左 ピーター・コヨーテ 右 エマニュエル・セニエのいびつな夫婦



 セニエは強欲そうで肉感的、作品の内外で愛される

92年 仏英 ロマン・ポランスキー監督 原題 Bitter Moon(<蜜月?)
出演 ピーター・コヨーテ エマニュエル・セニエ ヒュー・グラント

この映画は93年、40代終りに池袋の名画座で見て、何となく良かったと言う印象だったのでこんどDVDで見たら、ほとんど覚えていなかった。作品のせいじゃなく、当時身辺が慌しく私が上の空で見たせいだろう。

地中海を行く豪華クルーズで出遭った2組の夫婦。一つはヒュー・グラントとクリスティン・スコット・トーマスの、上品で良識的な若夫婦(↑)で、もう一つは妖艶な美人(エマニュエル・セニエー)と車椅子の初老の男(ピーター・コヨーテ)のカップル。若い男が車椅子の男から、話を聞いてくれと頼まれる所からはじまる。ほかに行き場の無い船の上での出会い、それは「ドン・キホーテ」が獄中の出会いで始まるのに似ており、言われて見れば、コヨーテは性愛のドンキホーテと言えるかもしれない。

彼らの愛欲の変遷は、「痴人の愛」をしのばせるが、戦時中ナチスから逃げ隠れて九死に一生を得たポランスキーだから、その感性もどこかねじくれていて、ただ事ではない濃密なかかわりである。この若い「美人」だが頬骨が高く、首筋が太く、昔のワイダ映画に良く出てきたポーランド女風で、もう一つ言えば、TVの実録物で何人も男性を次々と保険金目当てに殺す女性のような、見るからに強欲で危険なタイプであるが、ポランスキーは彼女に魅せられ、映画撮影後に結婚までしている。この女性、小娘のように甘えた声を出して夫に媚びを売るので、見ていて気持が悪いったらない。それに引き換え、清潔で温順なもう一人の妻、クリスティンだが、これがまたアッと驚く変貌を見せる。

人によってはポランスキーの中でもこれが特に好きと言う人もいるが…私には彼を初めて見た(26歳の時新宿で)「反撥」が一番好きだ。

●クリスティン・スコット・トーマスの出る映画
  →「ノーウェア・ボーイ」 11-10-18
  →「サラの鍵」  12-8-18
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