乱鳥の書きなぐり

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映画『さくらん』4,8★ 監督:蜷川実花 生花デザイン:東信 照明:熊谷秀夫 美術:岩城南海子 装飾:相田敏晴 土屋アンナ 安藤政信 市川左團次 椎名桔平 石橋蓮司 他

2019-09-29 | 乱鳥徒然 Rancho's room.

 映画『さくらん』4,8★ 監督:蜷川実花 生花デザイン:東信 照明:熊谷秀夫 美術:岩城南海子 装飾:相田敏晴 土屋アンナ 安藤政信 市川左團次 椎名桔平 石橋蓮司 小栗旬他


 なんども見た映画『さくらん』をみる。

 『Diner ダイナー』5★ 『人間失格 太宰治と3人の女たち』5,8★(満点以上)にいたく感動した後にみる蜷川実花作品である『さくらん』は、また新鮮なものに感じた。

『さくらん』は印象深い、江戸時代の遊郭の風習を吟味して創られた素晴らしい作品であり好きだが、蜷川実花監督は、ここにきてさらにグレーフォアップをされたいい意味での怪物のようなアーティスチオである。


 世間では蜷川実花監督において突拍子もない色使いであるといったことをおっしゃる方もいらっしゃる。
 人それぞれの感想があって良いのだとおもすし、私の感想は私の感じたことであって、感傷において正解や間違いはないのである。
 だが、一つ言えることは、蜷川実花監督の色彩は、サイケデリックといった一言では片付けられないし、また、基本を押さえておられる彼女のチキ量に拍手を送りたい。

 一見多くの色を多用されていらっしゃるように思うかもしれないが、必ず画面のどこかからポイントの色が流れ、重要な方向に目が行くように構図を整えられている。
『さくらん』の場合は例えば例一例を挙げるならば、毛氈の赤は花魁の衣装を通って壁に流れ、画面(視線)が作品を移動させるといった名画との共通点が多い。
 そして、多くの色合いを使われているかと思うと、必ず、モノトーンに近い場を描き、モノトーンに見えるが実は色彩豊かであるといった高度なテクニックを使われていらっしゃる。
 この「色」という世界観は絶対音感の色判といってもようであろう蜷川実花監督の世界観を繰り広げ、好きな方は大変好きであると言える。

 また、蜷川実花監督は映画を製作されるにあたって、細やかにその当時の風習などを取り入れられていらっしゃる
 例えば、一見全く大切ではないように見える小栗旬さんの役どころ(魚屋)は、当時は鰹の初売りなどをし、人気があった。
 威勢の良い言葉は江戸そのもので、嫌いな客にはたとえ頭とて売らないという勢いのある職業であったという研究者もいらっしゃるくらいである。
 歌舞伎『髪結新三』に出てくる初鰹売りは、まさしく威勢の良い江戸風情の一つである。
 その魚がにこりと笑い、花魁が微笑み返す、なんとも小気味の良い場面であった。

 映画には歌舞伎役者の左団次さんがご出演されていた。
 この役は左団次さんに適役であり、すんなりと見られる。
 適役というより、まさにそのもののような錯覚に陥るお役柄であったことにおいて拍手を送りたい。
 左団次さんを起用されたことにより、歌舞伎の世界へと誘い、道行の場面が一層強調される。
 蜷川実花監督、あっぱれじゃ!と心底私は内心はしゃぐ。

 最後の場面は、道行。 
 映画『さくらん』は、あっけらかんとして暗さを見せない、明るい心中物である。
 心中場面こそ漆出されてはいないのだが、禿が泣きながら行った次の言葉がそれを暗示させる。
「怖い夢をみた。姉さんが遠くに行って死んでしまう夢を見た。」
 心中物をこのような形で描き出せることができると知ったら、近松門左衛門はどのような顔をすののであろうかと思うと、興味深い。
 そういう私も今まさに『近松全集』「冥途の飛脚」を読んでいる真っ最中である。
『さくらん』では心中の場面までは到達しない。最後まで完全には描かれてなく余韻を残す形。これは心中物とは呼ばない方がようのであろうか。
 吉原を足抜けし、あっけらかんと咲き誇る桜の元へ旅立つ二人の姿で、映画は終わる。


 余談ですが、映画中の生花は最高に気を高め、場を盛り上げている。






 スタッフ
監督:蜷川実花
原作:安野モヨコ
脚本:タナダユキ
音楽:椎名林檎
照明:熊谷秀夫
美術:岩城南海子
装飾:相田敏晴
スタイリスト:伊賀大介、杉山優子
生花デザイン:東信 https://www.pinterest.jp/phalaenopsist/東信/
 (東信 https://azumamakoto.com/about/より)
 AMKK
 AMKK(東信、花樹研究所)とは、フラワーアーティスト東信(あずま まこと)の花・植物を題材とした実験的なクリエイションを展開していく集団であり、その活動は、花・植物のみが有しているもっとも神秘的な形を見つけ、それを芸術的レベルに変換し表現する事で、植物の存在価値を高める事に一貫している。 (東信 https://azumamakoto.com/about/より)

 東 信(あずま まこと)
 1976年生まれ。フラワーアーティスト
 2002年より、注文に合わせてデッザンを起こし、花材を仕入れ、花束をつくるオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を銀座に構える(現在は南青山所在)。2005年頃から、こうした花屋としての活動に加え、植物による表現の可能性を追求し、彫刻作品ともいえる造形表現=Botanical Sculptureを開始し、海外から注目を集めはじめる。ニューヨークでの個展を皮切りに、パリやデュッセルドルフなどで実験的な作品を数多く発表するほか、2009年より実験的植物集団「東信、花樹研究所 (AMKK)
」を立ち上げ、ミラノ、ベルギー、上海、メキシコの美術館やアートギャラリー、パブリックスペースで作品発表を重ねる。近年では自然界では存在し得ないような地球上のさまざまなシチュエーションで花を活けるプロジェクトを精力的に展開。独自の視点から植物の美を追求し続けている。

 椎木 俊介(しいのき しゅんすけ)
 1976年生まれ。ボタニカル・フォトグラファー
 2002年より、東信とともにオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。
 日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ、導き出すことのできる花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。


キャスト
きよ葉(日暮):土屋アンナ・幼少期:小池彩夢
倉之助:椎名桔平
惣次郎:成宮寛貴
高尾:木村佳乃
粧ひ:菅野美穂
光信:永瀬正敏
若菊:美波
大工:山本浩司
坂口:遠藤憲一
しげじ:山口愛
お染:倉内沙莉
お蘭:小泉今日子
楼主:石橋蓮司
女将:夏木マリ
ご隠居:市川左團次(特別出演)
清次:安藤政信
桃花:蜷川みほ
揚羽:兵頭有紀
琴音:もたい陽子
空蝉:松下恵
昼顔:月船さらら
夕凪:藤森麻由
舞鶴:中村ゆり
つつじ:海老沢神菜
雪路:近野成美
白玉:杉林沙織
にほひ:吉田里琴
とめき:齋藤飛鳥
みやこ:矢口蒼依
遣手:星野晶子
吉造:野村貴志
小春:飯沢もも
明石:真中莉子
浮船:彩輝ゆう
若狭屋:影山英俊
粧ひの客:津田寛治
きよ葉の客:長塚圭史
床紅葉の客:SABU
日暮の客:丸山智己
花屋:小栗旬
俺達:会田誠、安藤武徳、庵野秀明、忌野清志郎、大森南朋、小川洋之、小山登美夫、ゴリ(ガレッジセール)、古厩智之、村松利史
客:天田暦、飯塚俊太郎、井川哲也、大迫茂生、椎名泰三、芝崎昇、渋川清彦、清水伸、杉本凌士、清家栄一、田島俊弥、山田強


『さくらん』 安野モヨコの漫画作品。映画化され、2007年2月24日に公開。
 江戸・吉原で育ったきよ葉が、花魁になるまでの葛藤や苦涯、事件などの人生模様が描かれている。
 キャッチコピーは「てめぇの人生、てめぇで咲かす」

 物語の主人公。禿のときの名前は「とめき」、引込のときは「おりん」、新造のときは「きよ葉」、第二部(花魁)での名は「日暮(ひぐらし)」。本名は不明。

 あらすじ
 吉原の玉菊屋に連れてこられた8歳の少女はきよ葉と名付けられ、高級花魁で気の強い粧ひに面倒を見られることに。
 何度も脱走を試みるきよ葉だが粧ひや玉菊屋の清次などに導かれ花魁になることを決意する。
 17歳になったきよ葉は持って生まれた美貌と気性の強さで一躍売れっ子となる。
 やがて、きよ葉は、お客として来た青年・惣次郎と恋に落ちるが…。


 遊女屋
 玉菊屋(たまぎくや)
 吉原の遊女屋で主人公のきよ葉らが在籍する店。粧ひを初めとする人気花魁を次々輩出している。
 松葉屋(まつばや)
 お染が在籍していた店。







 写真は、長浜子供歌舞伎
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
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2 コメント

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Unknown (tekuppe)
2019-09-29 22:45:51
こんばんはです。^±^ノ

今日はまた、こちらからです。^±^
さくらん、面白そうですね。
見てみたいですね。^±^ノ
女優さんきれいです。
返信する
Unknown (usuaomidori)
2019-09-30 07:31:37
てくっぺさん、こんばんは(^^)

さくらん、おもしろかったです。
女優さんたち、とても綺麗でした^^
機会があれば、見てみてくださいませませ^^

コメントをありがとうございます^^ Rancho
返信する

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