乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

邪宗門 赤き花の魔睡   北原白秋   白秋全集 詩集1よりうつす  (睡蓮6景+1枚)

2011-08-16 | ことのは


   邪宗門   

      赤き花の魔睡     北原白秋



 日は真昼、ものあたたかに光素(エエテル)
 波動は甘く、また、緩るく、戸に照りかへす、
 その濁る硝子のなかに音もなく、
「口+哥」「口+羅」「(人偏)+方」謨(コロロホルム)の香(か)ぞ滴る......毒の「言+(噓のつくり)」(うはごと)......

 遠くきく、電車のきしり......
 ........棄てられし水薬(すゐやく)のゆめ......

 やはらかき猫の柔毛(にこげ)と、蹠(あなうら)
 ふくらのしろみ悩ましく過ぎゆく時よ。
 窓の下(もと)、生(せい)の痛苦(つうく)に只(たゞ)赤く戦(そよ)ぎえたてぬ草の花
 亜鉛(とたん)の管(くだ)
 湿りたる筧(かけひ)のすそに......いまし魔睡(ますゐ)す......




 

 

 

 

 

 

 




 一部 白秋全集をスキャンさせて頂いています。



 白秋全集 詩集1  

 657ページ

 岩波書店 (1984/12)

 







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