2011年度 26
『仮名草子集』(岩波書店)から 「都風俗鑑」
『仮名草子集』(岩波書店)から 「都風俗鑑」
第一 ~ 第四
渡辺憲司 校注
新日本古典文学大系74
岩波書店
1991年
P.427~480
『仮名草子集』(岩波書店)「都風俗鑑」第一から第四をただいま読了。
風俗鑑とあるからは好色本の類いではないかと思われるかもしれない。
が、興味本位な描写ではなく あくまでも冷静且つ客観的に捉えた都風俗といっていいのではないかと思う。
第一から第四を通して、わたくしにとっては京都の懐かしい地名が続々と出てくる。
ああ そうか、こんなだったか、あんなだったかと懐かしいその土地を思い浮かべながら、昔にタイムスリップする喜びは大きい。
とは言え、わたくしの愛する京都が ああ、こんなだったのかといった落胆もあり。
当時の民俗、風俗が思い浮かべられる。
短いながらも読み切るのに時間はかかったものの、有意義な一作品に巡り会えたと喜んでいる。
細切れに当時の歌舞伎の流れや傾城買いや民俗や風習などの本を読んだことはあった。
だが、「都風俗鑑」にはそれらが凝縮され、且つ おもしろおかしくて、お得感は大きい。
第三(455-466)は歌舞伎の話で、当時の役者に対する恋狂いは相当であったのだと改めて感じた。
あらゆる財産をつぶしての入れあげは、小芝居役者が同様の手を使い 客は一時の満足の影で同様の悲劇を生んでいる。
そんな方の多さにわたくしなどの小心者は驚くのだが、昔は歌舞伎役者も同様であったのだとほくそ笑む。
わたくしの場合は芝居そのものが好きなので、役者を好きになることは まず ない。
好きな役者は多いので、嫌いな役者をあげた方が早い。
話を戻そう。
吉弥帯は参考になった。末には図も載っており、ありがたい。
全体を考えて、参考になる部分が多い。
「島原」に対しての「伏見鐘木丁(しもくちょう)」は、「吉原」に対しての「深川」に近いようだ。
以前「吉原」「深川」を読んだが、「島原」「伏見鐘木丁(しもくちょう)」でもおおむね同内容。
わたしは先日初めて酒造地区の伏見に行ったが、伏見稲荷や東福寺辺に傾城買いの籠が行き交っていたのかと思うと、なんだかおかしい。
民俗学の本には紺屋の話が取り上げられることがあるが、本書には生地屋(呉服屋)の風俗話が取り上げられていた。
京都の生地屋(呉服屋)の実態は元はこんなだったかと驚いたが、本当かな。
この作品はわたしにとっては面白く、書き出したらきりがないので、この辺で……〆
おつきあいいただき、ありがとうございました。
今回も雑談にて失礼申し上げます。
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