(写真は 木)
くるわぶんしょう
5月21日、○HKホールにて、さかたとうじゅうろうさんによる、4年ぶりの近松座公演。
まずは『くるわぶんしょう』の感想から…
くるわぶんしょう 近松門左衛門作
吉田屋 藤屋伊左衛門 さかたとうじゅうろう
喜左衛門 坂東たけさぶろう
女房おきさ 中村がんのすけ
扇屋夕霧 中村かいしゅん 他
カブキの『くるわぶんしょう』は和事といわれる芝居の一つ。
伊左衛門は編笠をかぶり、この芝居も先日少し書いていた、紙衣着用(とはいえ、芝居で実際に来ておあられるのは、紙衣ではありませんでした)。
筋書きは省かせていただきますが、芝居の内容は最後はハッピーエンド。とても簡単で明快。万人にわかりやすいお芝居の一つだと思います。
途中の伊左衛門の心の葛藤や男のすね具合、かわいさ、愛らしさ、いじらしさ、嫉妬、甘えや色々な思いを、仕草や表情、声色や台詞などで微妙にたくみに演じわけ、見せ場を作る必要があるむずかしいお芝居。
とうじゅうろうさんはこういった和事の芝居が特異とされていて、とても面白く、笑わせていただき、また、とうじゅうろうさんの素晴らしい演技を、うっとりと楽しませていただきました。
この『くるわぶんしょう』も何度見ても見飽き内演目の一つ…
N○Kホールにおける、近松座公演全体の感想
一 N○Kアナウンサーとのトーク 30分
休憩 20分
二 かがみじし
休憩 10分
三 さかたとうじゅうろうさんによる ひとり口上
休憩 20分
四 くるわぶんしょう
実際には『かがみじし』と『くるわぶんしょう』だけだったのに、NH○アナウンサーとのトークや休憩が長く、終わった頃には いつもになく、ひどい頭痛が起こってしまいました。
○HKホールは驚くばかりに美しく、近代的。
階段は木製、化粧室の鏡も非常に美しい。
その割には、休憩時間にお掃除の女性がバケツをトイレの真ん中においていたりで、少々不愉快な思いをしたのは、私だけでしょうか…
N○Kホールは大阪歴史博物館の真横。
NH○ホールからはN○Kホールの立派な鉄格子の隙間から大阪城が見えた。素晴らしい眺め。
○HK案内嬢は美しい人ばかりだが、公演中もヒールの音をこつこつと大きく響かせて、遅れてきた観客を案内。もう少し上品に歩けないものか、と叱りつけたくなる衝動を抑える。
トイレといい、案内嬢といい、ちぐはぐさ加減がN○Kらしいとも感じられるとでも言って、怒る感情を抑えることにしましょう…
客席は非常に座りやすく、舞台も見やすい。
美しく立派な会場も、無神経な係員や掃除員の無神経な態度に、居心地の悪い。
舞台も非常に大きく、立派。左右に短い花道風の舞台が設置。響きすぎるくらいの音響で、『さかたとうじゅうろうさんによる ひとり口上』はなんだか安っぽく感じて、さかたとうじゅうろうさんが気の毒。
『かがみじし』を舞うには大きすぎるが、押し戻しは花道モドキが貧弱。また、『くるわぶんしょう』においても舞台が大きく、芝居がちっぽけに見える。だが、とうじゅうろうさんの演じ方は深く細やかで、彼そのものが大きく感じた。素晴らしい役者さんだこと。
とうじゅうろうさんのお話はとても楽しゅうございました。まあ、演目や口上がよければよしとしましょうか…