Bella e perduta イタリアの失われた美
監督 ピエトロ・マルチェッロ
イタリアの美しい歌
今まで見た(この上映会という意味)映画の中でも、最もと言ってもいいほど不思議な映画だった。見ていて、うーん、難しい。。。と思った。しかし、印象はとてもいい。
淡い色合い、おそらくバッハだろうか(いや、違うかも)、流れる音楽、情景、これらが、まるで詩のような雰囲気を醸し出している。
映画のあらすじは、事前に読んでいて、役に立つような立たないような。。。
オペラやバレエはあらすじを知らなければ読んで行くにこしたことはないが、映画の場合は、読んでいても読んでいなくてもあまり変わらないことも(実は多々)あるものだと思った。
映画のカテゴリーはドキュメンタリー。しかし、プルチネッラが登場??
プルチネッラは、イタリアのコメディア・デッラルテCommedia dell’arte(即興喜劇とでも言えるか?)の人気役柄の一つで、ナポリを代表する。(そこで、ナポリに行くと、お土産屋でプルチネッラ関連のものが巷に多数見られる)鷲鼻に白い服をきて、白い帽子を被り、仮面は黒。愚かで騙されやすく、ちょっと意地悪だったり、おどけたような、悲しみを含んだような面もある。
ドキュメンタリーというのは、本当に実在した人物のストーリーが元になっているかららしい。
私は知らなかったが、その死はニュースで報道されたので、知っている人はいたと思う。
さて、ローマからナポリへ行く手前に、ヴェルサイユ宮殿を真似して造ったという壮大なカセルタ王宮というのがある。今では世界遺産になっているので、日本人も多く訪れるようになった。18世紀の、ナポリが王国だった時代の壮大な建物で、当時建てられた王宮は他にもまだある。そのうちの一つが、カセルタ王宮からさほどの距離でないところにあるカルディテッロの王宮である。
カセルタ王宮とは対照的に、完全に放置され、周辺はナポリのヤクザ、カモッラ達による違法なゴミ捨て場と化していた。
その変わり果てた王宮を完全にボランティアで守っていたのが羊飼いのトマソ・チェストローネという人物で「カルディテッロの天使」と呼ばれ、動物たちを飼って暮らしていたらしい。が、2013年のクリスマスの夜、48歳、若くして、突然、心臓発作で天に召された。
そのトマソが守り抜いたカルディテッロの王宮の話を、まるで詩のように、語りかける童話のように作ったのがこの映画。
トマソは、生前、殺される運命のオスの水牛を救って飼っていた。
オスは、種牛として生かされる運命にあるのは一握りで(何度か水牛を見学に行ったことがあるが、確かメス200頭に対してオス1頭程度だったと思う)、あとはすぐに殺されてしまう。監督曰く、普通の牛は成長が早いので肉にもなるが、水牛は成長するまでに数年かかるので生かすこともしないのだそうだ。
さて、そのトマソが救った水牛サルキアポーネは話ができる。
突然逝ってしまったトマソ亡き後、彼の優しい心をたたえ、水牛を引き受けたのがプルチネッラ。水牛を連れて旅に出る。
トマソの実際の生涯、カモッラがどれだけ土地を虫喰っているか、ナポリを代表するプルチネッラ、おとぎ話のような話のできる水牛、これらが、複雑に絡み合ってストーリーが作られている。
さて、映画がとにかく難しかったのにはもう一つ訳がある。
最後まで見れなかったのである。(涙)
なにせ私的な上映会なので、時々というか、まあまあ頻繁に(笑)機械の故障が起こる。正式に手に入れているディスクであるが、ディスクに問題がある場合もあるだろう。(ちゃんと動作を確かめたと監督自身が言うにもかかわらず。ここはイタリア。。。)
小一時間で調子が悪くなり始め、ぶつっと途切れてしまった。
早送りで、もう一度最初から。(この時、ちょうどいい復習になる、と言った人がいて、難しいのは私だけではないと少しだけ、ほっ)
そして、なんとか続きを見ていたところ、また、途切れてしまった。
ここで断念。15分程度だろうか、残りのストーリーは監督自身に話してもらったのである。(モレッティの映画も最後の5分で途切れ、不本意だったようだが、監督自身に話してもらった。。。)
最後は、恋をしたプルチネッラが、生身の人間(と言っていいのか?)になり、仮面を取る。すると、水牛の言葉を理解することができなくなり、サルキアポーネはされてしまうということらしい。
監督はカセルタ、つまり、カルディテッロの王宮のあるあたりの出身。長編のドキュメンタリーを多く手がけているらしく、30代で、若いが賞も取っている。
お金はなくてもいいが自由が欲しい、と言い切ったが、これからも意欲的に作品を作ると思う。
笑ったのが、画面全体の色が淡い感じで、雰囲気が出ていて良かった、という話に、それは期限切れのフィルムを使ったから、という回答。古いフィルムを使うとこんな感じになるんだよー、と。(笑)
制作費はかなり安いが、この作品の評価は非常に高い。
なお、トマソ亡き後、運度があって、現在王宮は国の財産となったそう。
監督 ピエトロ・マルチェッロ
イタリアの美しい歌
今まで見た(この上映会という意味)映画の中でも、最もと言ってもいいほど不思議な映画だった。見ていて、うーん、難しい。。。と思った。しかし、印象はとてもいい。
淡い色合い、おそらくバッハだろうか(いや、違うかも)、流れる音楽、情景、これらが、まるで詩のような雰囲気を醸し出している。
映画のあらすじは、事前に読んでいて、役に立つような立たないような。。。
オペラやバレエはあらすじを知らなければ読んで行くにこしたことはないが、映画の場合は、読んでいても読んでいなくてもあまり変わらないことも(実は多々)あるものだと思った。
映画のカテゴリーはドキュメンタリー。しかし、プルチネッラが登場??
プルチネッラは、イタリアのコメディア・デッラルテCommedia dell’arte(即興喜劇とでも言えるか?)の人気役柄の一つで、ナポリを代表する。(そこで、ナポリに行くと、お土産屋でプルチネッラ関連のものが巷に多数見られる)鷲鼻に白い服をきて、白い帽子を被り、仮面は黒。愚かで騙されやすく、ちょっと意地悪だったり、おどけたような、悲しみを含んだような面もある。
ドキュメンタリーというのは、本当に実在した人物のストーリーが元になっているかららしい。
私は知らなかったが、その死はニュースで報道されたので、知っている人はいたと思う。
さて、ローマからナポリへ行く手前に、ヴェルサイユ宮殿を真似して造ったという壮大なカセルタ王宮というのがある。今では世界遺産になっているので、日本人も多く訪れるようになった。18世紀の、ナポリが王国だった時代の壮大な建物で、当時建てられた王宮は他にもまだある。そのうちの一つが、カセルタ王宮からさほどの距離でないところにあるカルディテッロの王宮である。
カセルタ王宮とは対照的に、完全に放置され、周辺はナポリのヤクザ、カモッラ達による違法なゴミ捨て場と化していた。
その変わり果てた王宮を完全にボランティアで守っていたのが羊飼いのトマソ・チェストローネという人物で「カルディテッロの天使」と呼ばれ、動物たちを飼って暮らしていたらしい。が、2013年のクリスマスの夜、48歳、若くして、突然、心臓発作で天に召された。
そのトマソが守り抜いたカルディテッロの王宮の話を、まるで詩のように、語りかける童話のように作ったのがこの映画。
トマソは、生前、殺される運命のオスの水牛を救って飼っていた。
オスは、種牛として生かされる運命にあるのは一握りで(何度か水牛を見学に行ったことがあるが、確かメス200頭に対してオス1頭程度だったと思う)、あとはすぐに殺されてしまう。監督曰く、普通の牛は成長が早いので肉にもなるが、水牛は成長するまでに数年かかるので生かすこともしないのだそうだ。
さて、そのトマソが救った水牛サルキアポーネは話ができる。
突然逝ってしまったトマソ亡き後、彼の優しい心をたたえ、水牛を引き受けたのがプルチネッラ。水牛を連れて旅に出る。
トマソの実際の生涯、カモッラがどれだけ土地を虫喰っているか、ナポリを代表するプルチネッラ、おとぎ話のような話のできる水牛、これらが、複雑に絡み合ってストーリーが作られている。
さて、映画がとにかく難しかったのにはもう一つ訳がある。
最後まで見れなかったのである。(涙)
なにせ私的な上映会なので、時々というか、まあまあ頻繁に(笑)機械の故障が起こる。正式に手に入れているディスクであるが、ディスクに問題がある場合もあるだろう。(ちゃんと動作を確かめたと監督自身が言うにもかかわらず。ここはイタリア。。。)
小一時間で調子が悪くなり始め、ぶつっと途切れてしまった。
早送りで、もう一度最初から。(この時、ちょうどいい復習になる、と言った人がいて、難しいのは私だけではないと少しだけ、ほっ)
そして、なんとか続きを見ていたところ、また、途切れてしまった。
ここで断念。15分程度だろうか、残りのストーリーは監督自身に話してもらったのである。(モレッティの映画も最後の5分で途切れ、不本意だったようだが、監督自身に話してもらった。。。)
最後は、恋をしたプルチネッラが、生身の人間(と言っていいのか?)になり、仮面を取る。すると、水牛の言葉を理解することができなくなり、サルキアポーネはされてしまうということらしい。
監督はカセルタ、つまり、カルディテッロの王宮のあるあたりの出身。長編のドキュメンタリーを多く手がけているらしく、30代で、若いが賞も取っている。
お金はなくてもいいが自由が欲しい、と言い切ったが、これからも意欲的に作品を作ると思う。
笑ったのが、画面全体の色が淡い感じで、雰囲気が出ていて良かった、という話に、それは期限切れのフィルムを使ったから、という回答。古いフィルムを使うとこんな感じになるんだよー、と。(笑)
制作費はかなり安いが、この作品の評価は非常に高い。
なお、トマソ亡き後、運度があって、現在王宮は国の財産となったそう。