在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

東京 日本茶事情1 Tè giapponese a Tokyo 1

2016-01-15 09:49:00 | 日本酒、日本茶
東京 日本茶事情1

日本茶に凝っている。ちゃんと入れた日本茶がこんなに美味しいとは。
イタリアでは諦めていたというか、水が違うので、どうやっても美味しく飲むことはできないと思っていたのだが、やれば出来る。今は、お茶を入れるときは人生の(一日のではない)リラックスタイムだと思って出来るだけ真剣に取り掛かる。ある種のワインを開けることやデカンタをすることが「神聖な儀式」だとすると、ある種のお茶を入れる時も「神聖な儀式」だと今は思う。
ただ、こちらではより好みもできず、好きなように購入することもできないため、今の所ほぼ宇治に、そして、煎茶、浅蒸し(つまり深蒸しではない)にほぼ特化している。

年末、突然日本への一時帰国を決めた。そうなったらついでに日本茶を仕入れ、日本茶カフェ(本当の喫「茶」店?)も見てみたいと思った。年末年始は休みのところも多く、壁は薄くはなかったが、数カ所回ることができた。

最初に行ったのは築地。
2件のお茶屋さんを見つけたのだが、どちらも静岡の茶園の経営のよう。
うち1件では宇治茶を見かけたが、申し訳程度においているという印象。
もう1件の経営の有名茶屋が近くにあるので足を延ばす。

やっぱりここだった、と思ったのは「うおがし銘茶」。
かなり昔、ワンコインで5種程度の本格的日本茶を飲める催しに誘われたことがある。アクロバット的な大胆な入れ方で、入れてくれたお茶が美味しかったのを、今でも覚えている。
なぜかその時、B級グルメグランプリの富士の有名焼きそばが出て、どういうつながりがあるのかずっと疑問だったのだが、そう、ここも静岡の茶園の経営だったのである。
ちなみに、この催しは今でも年に数回開催しているようで(現在700円?)これはオススメ。是非一度、美味しいお茶数種類を気軽に体験して欲しい。
さて、尋ねると、扱っているお茶は全て静岡茶、それも深蒸ししかありません、美味しい深蒸しを楽しんでいただいてます~との回答。店内で出してくれたお茶を飲んで(非常に美味しかったのであるが)喫茶室には上がらず退散。

有名な「寿月堂」も静岡の茶園だった。
煎茶が3種から選べるのは嬉しかったが、やはりどれも深蒸し。お茶は美味しいし、元来海苔屋さんらしく、食事が美味しかった。
お茶は、ポットに入ったお湯も出てきて3煎程度飲めるが、自分で入れるシステム。

そのほか、街で小さなお茶屋さんを見つけると入ってみたが、どこも静岡茶が多く、そして九州のお茶も結構見かけ、宇治煎茶は少ない。
おーい、宇治茶~どこにいるの~?

宇治茶ということではないが、非常に良かったのは、銀座、松屋の地下にある「茶の葉」。
デパートの食品売り場の隅にあり、イートイン的な造りになっていないので、こんな奥にこんなに静かな茶屋があるとは、知らなければ入れない造りになっている。カウンターのみのたった7席。多分太陽の陽をほとんど浴びたことのない白い花を咲かせた梅と、同じく白い花を付けた(白は珍しいとのこと)ボケが出迎えてくれた。とても風流な空間。
せっかくなので、お正月の特別メニューを注文。大福茶やお赤飯が付いている。梅と黒豆入りの大福茶も赤飯も非常に美味で満足だったところ、さて、カウンター越しに見える、日本茶ソムリエ(女性、本当のタイトルは知らないが。。)の方の入れてくださる日本茶に注目。優しく、しかし大胆に入れてくれる。最初は抹茶を飲もうかと思ったのだが、入れ方を見ていて気を変えた。彼女の入れる煎茶を飲んでみたい。

宇治茶あります、というので即、注文。
見事な味であった。きちんと茶葉の量を測り、使い込んでいる急須は小ぶり、お湯の温度に気をつけて、砂時計で時間をきちんと測り、茶葉の量が多めで、3煎までちゃんと飲める。
知っていれば一人でもふらっと入れるところ。お茶の種類は多く、東京に住んでいたら通うのに。。。残念。

常時売っている茶葉は15種ほどで、静岡、鹿児島が多く(深蒸しもあるが、浅蒸しも多い)宇治煎茶は2種のみ。即購入。
うち1袋(飲んでいない安い方)をすでに開けているが、素晴らしい。見事な茶葉で、見事な味である。


残念ながら、東京で宇治茶は実はあまり流通していないのを実感。

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