こんな本を読みました

気ままで偏りのある読書忘備録。冒頭の文章は、読んだ本からの引用です。

『文藝春秋にみる「坂の上の雲」とその時代』(文藝春秋編)

2015-03-29 | ルポ・エッセイ
元帥は晩年、西那須の別荘から見える山の高さについて、「コサインで計るがよか」
「いいえ、タンジェントでございましょう」と夫人捨松と口論していた
(「大山巌と東郷平八郎」より)


 好きな本、感動した本ベスト3に入る『坂の上の雲』。特に連合艦隊VSバルチック艦隊の日本海海戦の
くだりの鳥肌の立つような高揚感は未だに忘れられない。…といいながら、数年前のドラマ化に合わせて
再読しようと買い直したのに3巻で止まってしまってるのはどういうわけか。いやしかし、本当にこの時
代の日本人は格好いい。鎖国をといてあんなにわずかの期間に、列強と肩を並べついには勝利してしまっ
た、あの優秀さ勤勉さ勇ましさ…司馬節にのせられてしまったところもあるのかなとも思ったが、当事者
や子孫、研究者の証言や分析で構成されたこの本、非常におもしろく明治の人々への尊敬を新たにした。
すべてが文藝春秋に掲載されたものだというから、やっぱり凄かったんだね(過去形)。
 なんといっても英雄たちの人間味に溢れるエピソードがおもしろい。引用した大山巖夫妻の会話なんか
最高!帰国子女・捨松を嫁にもらったんだもんね。そんな名将・大山巌が実はバリバリの理系エリートだ
ったというのも意外。このほか大好きな東郷平八郎、秋山兄弟、広瀬武夫のエピソードも期待を裏切らな
いものだったし、『坂の上の雲』では無能の将軍として評価を地に落とした乃木さん(でも憎めない)の
冷静な評価なども興味深く…名もなき人々の活躍に至るまで、「(このころの)日本、凄い!」と久々に
感動した本であった。かといって、決して戦意を高揚するような本ではなく、その悲惨さもしっかり伝え
ている。その上で、人としてあるべき生き方を貫いた当時の人々の清々しさが心にしみる。何度でも言う
ぞ、明治の日本人、格好いい!

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