こんな本を読みました

気ままで偏りのある読書忘備録。冒頭の文章は、読んだ本からの引用です。

『落花流水』(山本文緒)

2015-04-12 | 現代小説
何故こんなにも穏やかな気持ちなのか分からない。だが悲しい時はその理由を考えるが、
幸福なのに理由を考える必要は特になかった。


 好物の女性の一代記もの・・・と思ったら、一代記どころではなく最後はSF(つまり近未来設定)になっ
ていたのに驚いた。一章ごとに変わる語り手に、男性も入っていたのも新鮮。おおむね共感できるところの
ない女性登場人物のなかで、いちばんシンパシーを感じたかも。時代を超えた母と娘の物語は意外な展開の
連続で、前のめりになって読み進める小説。ただ、三面記事を興味本位で読むような感覚なので、あまり心
に響かなかったのも事実。冒頭のストーリーで期待した切ない展開とは少し違った。いやまあ、ある意味で
は切ない展開なのだけど。ちょっと肩透かし感あり。まあ、この淡々とした終わり方も味わいなのかな。な
んとなく、この人とは人生へのスタンスが違うのかもしれないと漠然と思った私であった。読み込みが浅い
と言われればそれまで。

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