こんな本を読みました

気ままで偏りのある読書忘備録。冒頭の文章は、読んだ本からの引用です。

『ソロモンの偽証』(宮部みゆき)

2015-04-14 | ミステリー、ファンタジー
裁判は終わったのだ。
もう、夏も終わる。



 ピックアップは掟破りの物語ラストシーン。そして私の夏も終わった気分・・・まだ始まりもしてねーよ!
いやあ、久々に、続きが気になって気になって、1日2冊読みという暴挙にも出た小説だった。
 なにせけっこうな分厚さで全6巻、そのボリュームに戸惑って購入をためらっていたら、素敵すぎる
友人が送りつけてくださった・・・ええ、ダンボール箱いっぱいの宮部時代小説を送ってくださったの
と同じ方。またもわが家には宮部作品があふれている。なんという幸せ。感謝!…感想でしたな、はい。
 宮部さんの手法で上手い!と思うのは、犯人(この場合ちょっと違うけど)を隠す気はさらさらなく、
「ほら、このひとなの」と随所で匂わせながら、キャラクターを存分に掘り下げ、愛着をもたせてぐい
ぐい引き込んでいくところ。こうなったらもう、先を急いで読み進むしかないっす!成績の上下はあれ
ど、それぞれに思いやりに満ちたスーパークレバーな中学生たち(DQN<死語か?>をのぞく)の言動
に驚嘆し敬意を抱きつつ、むさぼるように先へ先へ。…まあ、結末に衝撃がなかったというか予定調和
の範囲内というか…ちょっと拍子抜けの感なきにしもあらずなのだけど、これ以上何を要求するという
のだ!久々に、小説世界にひたれる体験は本当に楽しかった。テーマが重かろうと、苦しかろうと、読
んでいる間、私は藤野涼子であり野田健一であったのだ!(親ではなく中学生に感情移入するあたりが
あつかましい)本編があまりに重かっただけに、エピローグとおまけの書き下ろしにほっとし、また目
頭が熱くなった。みんながんばって生きてきたんだね。この際、全員分の後日談を知りたいけどさ。
特に大出と勝木さん。…それは知らない方が幸せなんだろうか。
 今、映画を見にいきたくてたまらないが、野田くんの背景がかなり省略されているとかで、ちょっと
気持ちが萎える。まえだまえだ兄、好きなんだけどね。

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