こんな本を読みました

気ままで偏りのある読書忘備録。冒頭の文章は、読んだ本からの引用です。

『つねならぬ話』(星新一)

2014-05-24 | ミステリー、ファンタジー
しかし、そう終わらせては、よくできた話になってしまう。

 中学時代に、読書の楽しみを教えてくれたのは星新一だった。クラスメートと学級文庫の星新一を争う
ように読んだなあ。そのうち、秀逸なショートショートを書く人もでてきたりして…Kくん、どうしてる
んだろう。…なーんて、過ぎ去りし青春の思い出とともに手に取った1冊。といっても、初出が昭和63年、
文庫あとがきが平成6年だから、晩年の作といっていい。…だからか?え?こんなんだった?と戸惑いを
禁じ得なかった。特に冒頭、神話を下敷きにした「はじまりの物語」は、神話への理解が乏しいせいもあっ
て正直、よくわからなかった。ヤマもなくオチもなく、淡々と進んで終わり、ただ不思議な余韻だけが残
る短い物語の連続。切れ味鋭いオチに感服した昔の記憶は…若かったせい?…いや、これがこの時代の星
新一なのかな。葛藤しつつ、読み終えた。結局、「つねならぬ」ことを、淡々と綴る掌編なんだな。あえ
てのはずしか。うーん、でも私的にはパンチ不足…あらためて初期の作品を読みたくなった。