こんな本を読みました

気ままで偏りのある読書忘備録。冒頭の文章は、読んだ本からの引用です。

『空飛ぶタイヤ』(池井戸潤)

2014-05-08 | 現代小説
「いつか風向きが変わるときが来ますって。それまで歯を食いしばって
やれることは全てやる。いまはそれしかない。違いますか?」


 半沢直樹で大ブレイクの池井戸潤ですよ。マイファースト池井戸。最初に読むならこれかな~と思って
いるのがあって、電車に乗る前に慌てて「これこれ」と思って買ったらしまった!間違った。読みたかっ
たのは『下町ロケット』だったのだ。ま、いいか。
 で、期待を裏切らない勧善懲悪もの。悪役は容姿の描写からして悪役とわかる悪役、さわやかで正義感
が強い主人公の逆境に次ぐ逆境、熱い仲間たち、敵か味方か的ダークヒーローもいるでよ。はげます妻子
もがんばってるでよ…と、とにかくわかりやすい。そりゃもう、こちらまで歯がみする怒濤の展開だけど、
最後はこうきてこうきてこうなるでしょ、絶対、という安心感があるから、必要以上にハラハラしすぎる
こともない。お約束がきっちり守られて、伏線がきちんと回収されて、最後はヒーローが勝利し悪者は去
って大団円。…エンターテイメント的には大成功なんでしょうね。ニッポンジン、コンナノダイスキネ。
私も久々に続きが気になって、一気読みしてしまったカタルシスを味わうには最後まで読むしかないから。
確かに映像映えする作品。娯楽としては十分面白かった。
 ただ、あまりにも善悪がはっきりしすぎているだけに、心にしみいるようなタイプの小説でないのが、
少し好みと違うかな。いや、先代から仕えている番頭はんが発した上のセリフなんて、私まで励まされた
けどさ。あと、ストーリーに広がりを持たせるために?投入されたPTA関連、モンペの話、なんだかごっ
つー不快で、いらないと思った。私はね。
 あと、…この人の、続けて読んだら飽きそうな気がする。そのうち『下町ロケット』も読んでみて、ど
う思うかだね。
(大ヒット作家に向かって、この偉そうな上から目線…このブログはそういう仕様なのでお許しください)
↑何をいまさら