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日本共産党が二十五日発表した総選挙の基本理念・基本政策(各論編・その2)

2008-09-28 02:05:20 | 国内政治
 3、世界的な食料不安を直視し、日本農業の再生で食料自給率を引き上げる

 昨年夏以来の輸入農産物の高騰は、食料自給率がわずか40%しかない日本の経済・社会に重大な影響を与えています。世界各地での天候不順で日本が頼っていた輸出国の生産が減少しています。途上国の需要増に、アメリカなどによる穀物を原料にしたバイオ燃料生産の急拡大なども加わった世界的な食料不足が生じ、投機資金による穀物価格のつり上げが事態をいっそう深刻にしています。各国で食料の値上がりに反対する抗議や暴動が起こり、多くの国が農産物の輸出規制に踏み切りました。お金を出せば、世界中から食料を買い集められるというようなやり方は、もはや通用しなくなったのです。

 ところが自公政権は、日本国内の自給率を向上させるどころか、国内生産をささえる価格保障制度を廃止し、現場の実態を無視した規模拡大を条件にすることで補助対象をせばめるなど、国内の生産基盤を弱体化させる農政をすすめました。さらに今年7月のWTO(世界貿易機関)交渉ではいっそう輸入を促進する農産物の関税引き下げに同意しました。こんな自公政権では、日本農業も、国民の将来も守れません。

 国際的な状況の変化に機敏に対応し、経済・社会の基盤である食料の安定的な確保のため、当面、食料自給率の50%台への回復を最優先の課題とします。その達成にむけて、ことし3月に発表した「日本共産党の農業再生プラン」で提案した施策の実現をめざします。

(1)安心して農業生産にはげめるよう価格保障・所得補償を実施する

 わが国農業の再生にとっていまもっとも必要なのは、農業経営を安定して持続できる条件を保障するための制度を整備・充実することです。米の場合、過去3年間の平均生産費を基準とし、その年の米価が基準額を下回った場合、差額を「不足払い」する価格保障制度を創設して、少なくとも1俵1万7000円以上を保障します。加えて、水田のもつ国土・環境保全の役割を評価した直接支払い(所得補償)を拡大し、あわせて当面1俵あたり約1万8000円の米生産による収入を確保します。麦、大豆、畜産、野菜・果樹などの主な農畜産物も条件に合わせて価格・所得保障で増産をうながします。飼料や燃油の高騰への直接補てんなどの対策を緊急に実施します。

(2)家族経営を維持し、大規模経営をふくむ担い手の育成で、農地を保全する

 今後の農業の担い手も家族経営が主役であり、担い手対策の中心に、多様な家族経営を維持することを柱にすえます。小規模農家や兼業農家を排除する「水田・畑作経営所得安定対策」(「品目横断対策」)をやめ、農業を続けたい人すべてを応援します。高齢者や離農者の農地や農作業を引き受けてがんばっている大規模農家や生産組織などが地域農業をささえている現実の役割を重視して、支援を強めます。

(3)関税など国境措置を維持・強化し、「食料主権」を保障する貿易ルールを追求する

 世界ではいま、食料を市場まかせにすることによる害悪が明らかになり、各国が、輸出のためでなく自国民のための食料生産を最優先し、実効ある輸入規制や価格保障などの食料・農業政策を自主的に決定する権利=「食料主権」を保障する貿易ルールの確立をもとめる流れが広がっています。世界各国では、農業をめぐる自然的・社会的条件や、農業の果たしている多面的機能の国ごとの違いを踏まえて、生産条件の格差から生まれる不利を補正するため、関税や輸入規制など必要な国境措置がとられています。関税など国境措置を維持・強化することは当然です。各国の「食料主権」を尊重する立場に立って、WTO農業協定を根本から見直すよう求めます。わが国が諸外国と結ぶFTA(自由貿易協定)・EPA(経済連携協定)は、それぞれの協定ごとに検討し、日本の農業と食料をはじめ国民の利益に重大な打撃をあたえるものとなる場合には反対します。

 輸入資材の高騰や不足をふまえて、飼料稲の栽培など飼料の自給率の向上を図り、肥料の原料である石油・リン鉱石の高騰にもたえる農業にするために、畜産の廃棄物を活用した有機農業の強化など資源循環型の農業を実現する政策をすすめます。

(4)農業者・消費者の共同を広げ、「食の安全」と地域農業の再生をめざす

 食品の産地・品質の偽装、添加物の表示違反、賞味期限の改ざん、メラミン混入など、山積する「食の安全」問題を打開するには、食品に関する検査体制をただちに強化するとともに、根本的には食料自給率を抜本的に高めることが必要です。BSE(牛海綿状脳症)対策の全頭検査を維持するなど食に関する信頼を高め、安全・安心の生産・流通の拡大など農業者と消費者の共同を広げて、「食の安全」と地域農業の再生をめざします。

(5)汚染米問題を徹底究明し、米の「義務的」輸入の中止、流通の管理責任を

 強力な発がん性物質アフラトキシンに汚染されるなど食用にしてはならない「事故米」を、農水省が非食用として販売し、買った企業が食用に不正転用して売却した事件は、食の安心を求める国民に不安と怒りを広げています。問題のコメの流通にかかわった業者が370社に達するなど底なしの広がりを示しており、事件の徹底究明をはかり、農林水産省の管理責任をきびしく追及します。

 同時に、汚染米の8割は輸入米であり、問題の根源には、日本に必要のないミニマムアクセス米を年間77万トンも輸入しているという、自民党農政の大問題があります。さらに、「小泉改革」の「農業版」として、2004年に実施された「コメ改革」で、米を扱う業者の許認可制をいっさい取り払って、届け出さえすれば誰でも米売買に参入できるようにする規制緩和によって、国が米流通の管理責任を完全に放棄してしまったという大問題があります。ミニマムアクセス米の「義務的」輸入を中止すべきです。米の流通の管理責任を国はしっかり果たすべきです。

(6)林業を活性化し、漁業の振興をはかる

 中山間地は、日本の農地と農業生産の約4割を支えているにもかかわらず、過疎と高齢化によって耕作放棄や集落の消滅がすすんでいます。中山間地などの活性化のためには、農業とともに林業の振興が大切です。国土の3分の2をしめる森林は、国土保全や温暖化対策などの環境保全、水資源のかん養など多面的な機能を果たしています。そうした機能を維持し、今後予想される世界的な木材不足に対処するためにも、国内林業を圧迫している野放図な外材の輸入に歯止めをかけ、国による国内林業経営への支援を強め、経営に必要な林道などの整備をすすめることが必要です。地元の木材を公共施設で優先的に使用することをルール化し、地元の木材を使用した住宅などの建築には国が助成することなどによって、国産材の需要を広げ、またペレット燃料の生産など新たな産業の創出に力を入れるべきです。

 燃油の高騰で漁船がいっせい休業に追い込まれるなど、漁業も存続の危機に直面しています。燃油への直接補てんを実施するとともに、経費に見合う魚価の実現のために国は、価格保障・所得補償を図るとともに、資源回復のための休業にたいする補償、適切な輸入管理を実施すべきです。こうした取り組みをおこないながら、食料自給率を長期的に支える資源管理型の漁業を追求します。

4、消費税の増税に反対し、庶民生活を応援する減税を実施する
 この10年間に、大企業・大資産家には7兆円もの減税(年間ベース)がおこなわれる一方、国民には、小泉内閣以降、定率減税の廃止や年金課税の強化など5兆円を超える増税が押しつけられてきました。ほんらいなら、所得の再分配に役立つはずの税制が、逆に格差を広げる方向にゆがめられてきました。国民のくらしが危機に直面しているいま、減税によって家計の負担を軽減することが必要です。単年度かぎりの「定額減税」は、くらしの不安を取り除く効果が少ないことは10年前の経験でも示されており、まじめに国民のくらし、日本の景気を考えてのものではなく、選挙目当てのばらまきというほかないものです。減税というならば、所得の再分配という税制の民主的原則にたって、現在の税制のゆがみをただす第一歩となる減税をおこなうべきです。

 消費税増税に反対をつらぬく…自民党は、国民の批判をおそれて増税を先送りしてはいるものの、「(消費税率は)段階的に引き上げて2015年ぐらいに10%台にする」(麻生氏)などと、消費税の大増税のねらいを公言しています。民主党も、「当面は据え置く」といいながら、近い将来の増税を否定しません。消費税は低所得者ほど負担が重く、大企業は1円も負担しないなど、最悪の不公平税制です。消費税の増税に反対をつらぬきます。

 消費税の食料品非課税を緊急に実施する…どんな低所得者でも食料品なしには生きていけません。食料品にかかる消費税は、月収12万円の世帯の負担率が月収104万円の世帯の6倍以上になるなど、きわめて逆進的です。輸入穀物などを中心に食料品の価格が高騰している中で、食料品の消費税を非課税とすれば、緊急の家計の負担軽減とともに、格差是正にもつながります。

 高齢者増税を元にもどす…05年からはじまった高齢者、年金生活者への増税は、所得税・住民税にとどまらず、国保料や介護保険料など、雪だるま式の負担増をもたらし、目減りした年金をさらに減少させています。灯油や食料品の値上がりでも、高齢者世帯が深刻な被害を受けています。公的年金等控除の最低保障額を120万円から140万円に戻します。一定所得以下の高齢者については老年者控除を復活します。高齢者の住民税非課税限度額(125万円)を復活します。

5、物価高からくらしと営業、中小企業の経営をまもる
 中小企業、農林漁業、運輸業などは、原油・飼料などの異常高騰による打撃がもっとも深刻です。ところが政府の「緊急総合対策」は、コスト転嫁による「新価格体系への移行」、省エネなど「供給力・競争力」の強化への支援などが中心です。“物価高騰にも対応できるようにせよ”というのです。

 しかし、もともと販売不振で経営が困難なうえに、「燃油が2倍になった」が価格に転嫁できない、と悲鳴をあげている多くの中小企業や農林漁業者などにとって、政府が打ち出した「対策」は、どれほどの効果があるでしょうか。多くの農業者、漁業者、運輸業者などは、「競争力」を強化する前に倒産・廃業に追い込まれてしまう、といっています。

 また「新価格体系への移行」などを強調することは、原油・飼料などの異常な価格水準を当たり前のものとし、投機マネーによる不当な価格つり上げを事実上、容認するものといわなければなりません。

(1)原油・原材料・穀物・飼料などの高騰で苦しむ農業者、漁業者、運輸業者などへの直接補てんを実施する

 政府が打ち出した肥料・燃料価格高騰分の一部補てん事業は、新たな設備投資をして燃料使用量を減らすことが条件ですが、すでに借金を多くかかえており、これ以上借金して設備投資することが困難な農業者、漁業者には活用できない制度です。

 直接補てんは、「新たな設備投資」などの条件をつけることなく、燃油や飼料などへの依存が高く、価格転嫁が難しい産業・業種で、経営が苦しくなっている農林漁業者、中小業者から重点的におこないます。投機が本格化する前の燃油や飼料などの平均価格と、投機が荒れ狂った08年の平均価格の差額とします。直接補てんは、実効ある投機規制によって燃油価格などを引き下げるまでの期間おこなうものとします。

 ガソリン、軽油などの暫定税率の廃止にくわえ、漁業用A重油、船舶用軽油、農業用軽油にたいする減免を継続します。加工原料乳、肉用子牛、麦類、野菜など国の助成金のある農畜産物について、コスト上昇に見合って単価を引き上げます。肥料などのコスト上昇についても助成措置をとります。輸入小麦の政府売り渡し価格の引き上げを中止します。

 燃油高で経営が危機にさらされている福祉・医療・教育施設などにも適切な補助をおこないます。

(2)実効ある投機マネーの規制にふみだす

 投機マネーの暴走は、金融市場でのマネーゲームにとどまらず、原油や穀物などの商品市場に入り込み、国民のくらしと営業を脅かしています。投機マネーによる価格つり上げを容認したままでは、「穴の開いたバケツ」で水をくむようなものであり、いくら補てんの財源があっても足りなくなります。異常な高騰の大もとを断つ対策がどうしても必要です。

 7月に1バレル=147ドルまで高騰した原油価格は、その後、値下がりに向かいました。これは、各国政府・議会が投機マネー規制の動きを強めたからです。「投機マネーの暴走を抑える」という強い政治的意思を打ち出してこそ、個々の規制強化策も実効性を持つことができます。そのうえで、国際社会とも協力しながら、以下の規制策を早急に具体化すべきです。

 (1)原油や穀物など人類の生存の土台となる商品に対する投機の制限を具体化する。

 (2)ヘッジファンドに対して、直接の情報開示を求めるなど抜本的な規制強化にふみだす。

 (3)投機マネーの暴走をおさえるための適正な課税を本格的に検討する。

(3)中小企業への経営支援を強化し、地域経済をたてなおす

 いま中小企業は、原油・原材料高にくわえ、販売不振、銀行による「貸し渋り・貸しはがし」などによって、新たな経営難に直面しています。中小企業倒産も多発しています。

 政府は「緊急総合対策」に「中小・零細企業金融の円滑化」を盛り込みましたが、貸し渋りが深刻化している中小企業金融の現実をふまえ、抜本的改善が必要です。「セーフティーネット保証制度」について、対象業種と適用条件の拡大、返済猶予期間の設定、金利と保証料の引き下げなどの改善をおこないます。部分保証など中小企業信用保証制度の改悪を元に戻すとともに、信用保証協会の財政援助をおこない、保証能力を強化します。銀行にたいする「貸し渋り・貸しはがし」是正の指導を強化し、中小企業の資金繰りを円滑にします。

 下請け・中小企業は、原油・原材料価格が高騰しても、価格転嫁が困難です。大企業による不当な「買いたたき」や下請け代金支払い遅延などをなくすために、検査・指導を強力にすすめます。中小企業庁の「下請かけこみ寺」などの相談体制を強化するとともに、下請けいじめや不公正取引の事例の公表と処罰、被害者に損害を補償させるようにします。

 「ものづくり」などですぐれた中小企業の技術を生かし、製品開発などを支援します。地球環境保全、省エネ、新エネルギー、省資源・リサイクル、農林漁業などの分野への投資を増やし、地域産業を強化します。中小企業振興条例をさだめ、地域住民に雇用と所得を保障する中小企業の育成をはかり、「地産地消」「地産地商」の循環型の地域経済を発展させます。

(出所:日本共産党HP 2008年9月26日(金)「しんぶん赤旗」)
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