トラック運転手らの時間外労働に今月から上限が設けられ、「2024年問題」と呼ばれる輸送力不足が懸念される中、新潟県内でも企業が輸送の効率化を進めている。同業他社と手を組んで商品を共同配送したり、輸送をトラックから鉄道に切り替えたりする動きが出ている。
「生産地共配」
県内菓子メーカー6社は2024年問題に備え、商品を共同で配送する「生産地共配」の本格導入に向けた準備を進めている。
各社はこれまで独自の物流網で商品を輸送していたが、生産地共配ではトラックが各社の工場や倉庫を回り、各社の商品を混載して卸業者へと運ぶ。
共同配送に参加しているのは、亀田製菓(新潟市江南区)、ブルボン(柏崎市)、岩塚製菓(長岡市)、越後製菓(同)、三幸製菓(新潟市北区)、栗山米菓(同)の6社。
6社は共同配送のほか、荷物の積み下ろし時間の短縮を図るため、「パレット積み」も取り入れている。
トラックへの商品の積載は、人の手で荷物を一つずつ載せる「バラ積み」が基本だが、パレット積みではパレット(荷台)に複数の箱を載せ、トラックへ一度に積み込む。
6社は2020年12月に「パレット物流研究会」を発足させ、実証実験を重ねている。実験ではバラ積みと比較して積み下ろしの作業時間を約3時間削減できたという。配送も共同で行うことで、トラック台数の削減にもつながった。
今後解決すべき課題もある。現状では各社が商品のサイズなどに合わせて独自の規格のパレットを使用しており、共同配送の際に積み替え作業が発生したり、積載効率が下がったりしている。このため業界ではパレット規格の統一化に向け協議を進めているという。
亀田製菓の堀田弘幸執行役員は、「パレット積みを採用した共配は、2024年問題に対応する一つの手段になる。新潟のモデルを全国に広げていきたい」と話す。
鉄道に切り替え
一方、新潟市の工場で段ボールの原紙を製造する製紙大手の北越コーポレーション(東京)は、原料となる古紙の輸送をトラックから貨物列車中心に切り替える「モーダルシフト」を進めている。
従来は、名古屋市の古紙販売業者の事業所から新潟工場までの約500キロをトラックで輸送していたが、現在は名古屋、新潟の各貨物ターミナル間を鉄道で輸送し、ターミナルと事業所や工場の間を結ぶ各数キロのみトラックを利用している。これにより、トラック運転手の運転時間を9割削減できたという。
国土交通省は2024年問題に対応するため、様々な補助事業を設けるなどして輸送の効率化を支援している。同省北陸信越運輸局環境・物流課の芦沢千恵子課長は「物流は変革期にあり、従来通りのやり方では適切に輸送できなくなる。荷主と物流業者が一体となって改革する意識を根づかせていきたい」と話している。
◆2024年問題=長時間労働を是正する働き方改革関連法が4月1日からトラックやバス、タクシーの運転手にも適用されることで生じる問題。時間外労働に上限が設けられるため、輸送力の低下が懸念されている。同法は2019年4月に施行されたが、運送業は建設業や医師とともに適用が5年間猶予されていた。国土交通省の推計によると、対策を講じなければ、輸送力は24年度に14%、30年度に34%不足する。
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