第5党の右派政党「ヤミナ」を率いるベネット前国防相=エルサレムで2021年6月6日、AP
(毎日新聞)
イスラエル国会(1院制、定数120)は13日、ベネット前国防相を首相とする連立政権の承認案を可決した。ベネット氏率いる右派政党「ヤミナ」や、ラピド元財務相率いる中道政党「イェシュアティド」を中心に、左派、アラブ系政党など計8党が加わる大連立政権となる。イスラエル史上最長の通算15年間にわたり首相を務めたネタニヤフ氏は退陣が決まった。
首相は任期4年で、前半の2年をベネット氏が務めた後、ラピド氏に交代する輪番制を取る見通し。両者は全ての政策の拒否権を持つため、事実上の2トップ体制となる。政策の異なる8党の連立となるため、当面は行政改革など、内政に焦点を当てた政権運営となりそうだ。パレスチナとの和平交渉を巡っては、ベネット氏とラピド氏の意見が一致しておらず、進展しない可能性がある。
政治的な混乱が続くイスラエルでは今年3月、2019年以降で4度目となる総選挙が実施され、ネタニヤフ氏率いる右派政党「リクード」が30議席を獲得して第1党を維持した。だが汚職疑惑の裁判が進行しているネタニヤフ氏は連立交渉に失敗。第2党(17議席)のイェシュアティドを率いるラピド氏が「反ネタニヤフ」を旗印に他の7党を結集させ、大連立をまとめた。第5党のヤミナ(7議席)が連立交渉の鍵を握っていたため、ベネット氏が首相の座を射止めた。
ネタニヤフ氏は「左派寄りの政権では国を守れない」などと訴え、最後まで右派議員らに圧力をかけて切り崩しを図った。だが新政権を構成する8党の団結は揺るがなかった。
ユダヤ人が約7割を占めるイスラエルで、少数派のアラブ系政党が政権に入るのは初めて。インフラ整備などで冷遇されているアラブ系の居住地域への投資が増えそうだ。【エルサレム三木幸治】
油断も隙も無いユダヤ人なので暫く注視してみよう