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お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

ベッドタイムのお気に入り

2011-05-23 | my Anthology

家族旅行の宿泊サービスとして、『お子さんにベッドタイムの読み聞かせをします』というFour Seasons Hotel (Chicago)のコマーシャル

『読み聞かせ』と言えばベッドタイム。お風呂に入って、パジャマになって、歯も磨いたし、さぁ今日は何を読もうかな? ひとりで歩けるようになるや、娘の日課には、ベッドに入る前に本棚に寄って、小さな両手にいっぱい「お気に入り」の絵本を抱えてベッドに入ることが加わりました。「もう一回(読んで)」と言いたくて、まだ回らない舌で一生懸命「もっかい!」「もっかい!」とせがんでいたのが昨日のことのようです。ベッドタイムの絵本には、だんだん眠くなって、時々とろっと目をつむりながら聴いても気持ちのよい絵本を選びたいですね。それには、シンプルで短いテキストで、でも響きのよい繰り返しのフレーズがあったり、ライム(韻)が効いていたりする、「耳に心地よい」絵本が最適です。

そう思って見回すと、なんといっても永遠のベストセラーは『Goodnight Moon』でしょう。英語がわからない頃から、娘もなぜかこの絵本が好きでした。”Goodnight Fox, Goodnight Sox”というようなフレーズは、英語の韻がわからないと響きが楽しめないだろうと思い、私はこの絵本の日本語訳は読んでやったことがありませんでした。もっとも英語がわかっても、文章はほとんど「意味」をなさず、さらに読みようによっては、かなりシュールで幻想的なものです。でも、響きは実にきれいで耳に心地よく、幻想的なイラストと相まったミステリアスなテキストには、眠りを誘う効果があります。実際には、この絵本。イラストにも、テキストにも、さまざまな仕掛けがあって、読み解き、絵解きにはかなりの教養が必要な絵本。昼間の明るい光の下で読むときには、ページごとに変化していくイラストを丹念に見比べたり、テキストの引用の原典を考えたり……と、別の楽しさがあります。

夜の暗さと静けさが気持ちに染み入る絵本は『Owl Babies』です。フクロウのきょうだい3羽が主人公。ふと目覚めると巣の外は真っ暗な夜。それなのに、巣の中にお母さんがいません。さて……。3羽のきょうだいがお留守番の不安をまぎらそうと交わす会話が実に可愛いのですが、とりわけ末っ子のビリーが何を言われても、ただただ「おかあさ~ん "I want mommy"」と呼んでばかりいるいじらしさが子どもたちの共感をさそいます。だんだんつのってくるフクロウ兄弟の不安に、聴き手の子どもも共鳴して心配になってきたところへ、「あ、お母さんがかえってきた!」。この一言で、読み手も聴き手もほっと一安心。「おかあさ~ん」と呼びつつけたビリーが「おかあさんだいすき!"I love mommy"」とうれしそうに言って終わる結末に、幼い読者は自分自身の「おかあさん、だいすき!」を重ねて、心底ほっとして、安心して眠りにつきます。

くりかえし「読んで、読んで」とせがまれた絵本があります。ひとつが『Caps for Sale』です。頭の上にシルクハットを高々と積み上げて「帽子はいらんかねぇ~(Caps for sale!)」と村々を売り歩く帽子屋さんのお話です。娘の絵本にはカセットテープがついていて、耳にやさしいバリトンの朗読を、繰り返しテープがすりきれるくらい聞きました。物語の最後に「帽子はいらんかねぇ~ ”Caps for sale…”」と呼ぶ男の人の声が、ゆっくりと遠ざかっていくのを聴いていると、娘ばかりでなく私まで眠気を誘われたものです。
何度もくりかえして読んだもう一冊は『Tiki Tiki Tembo』。これもテープとセットになった絵本で、やはりテープがすり切れるくらい聴いた絵本です。中国の故事を翻案したと思わせるお話は、ちょうど日本の落語『じゅげむ』のようなストーリー。繰り返し読み上げられる”長い長い男の子の名前”を、耳だけで聞いていると、そのリズムの心地よさに思わず眠りを誘われます。

寝かされるのが嫌いという子もたくさんいますね。だってゲームの途中だもん、まだアイスクリーム食べてないし、お父さんはまだテレビ見てるじゃない……。そんな子どもたちの名残惜しい心境を代弁してくれる絵本が『Bedtime for Francis』。「さぁ、もう寝る時間ですよ」と言われて、あれこれ抵抗を試みるフランシス、部屋で暗がりに目をこらしてはあれこれ空想するフランシス、きっと子どもなら誰しも思いあたることばかりです。

子どもって案外『暗示』にかかりやすいものです。「ねむいねぇ、ねむいねぇ」と言いながら、親も一緒に眠そうにしていると、本当につられて寝てしまいます。そんな暗示効果が狙えそうな絵本の筆頭は、まつたにみよこさんの『もう、ねんね(英語版 “Sleepy Time")』。登場する動物たちの、なんとまぁ眠たそうなこと。見ているだけでつられてあくびが出そうです。「ねんね、ねんね、もうねんね」と繰り返されるフレーズも眠気をさそいます。
もう一冊は「しいっ!しずかに!」と言っては、皆で声をひそめる仕草を繰り返す絵本『The Quiet Book』。いろいろな場面での「しいっ!しずかに!」が出てきますが、もちろん最後はベッドタイム。「おふとんの中でこっそり懐中電灯なんかつけてないで、もう寝なさい!」「しいっ!しずかに!」いかがでしょうか? たまにはお布団の中で懐中電灯をつけてこの絵本を読み、最後の「しいっ!しずかに!」で、灯りを消して寝ることにする、と言う趣向は?

「おやすみなさい」の代わりに「I love you!」と繰り返し言ってあげるのも、ベッドタイムならではの語りかけです。振り返れば一日中叱ってばかりいた……日などには、ベッドタイムには思い切りぎゅっと抱きしめて「大好き!」と言ってあげてください。たとえばトッド・パールのタイトルもずばり『I Love You Book』、あるいは『I like it when...』などは、読むだけで自然に何度も「大好き!」を言える絵本です。

さて、最後の一冊はわたし自身のための絵本。眠れないとき、何を思い浮かべますか? 私は木が大好きなので、いつも木のことを考えます。ごつごつした幹に耳をつけると昔話だってくれそうな年とった樫の木、庭のレモンやオレンジの木、お隣の満開のハナミズキのことや大きなクリスマスツリーのようなもみの木のこと。でも、なにより四季折々いつでもきれいな日本の雑木林がなつかしいなぁ……などなど。『A Tree is Nice』は、そんな私のベッドタイムのお気に入りです。




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