Tom Catとおしゃべりしてる？

リリースされるや、あっという間に大ヒット！　ゲーマーの世界はもとより、世界中の人々をたちまち中毒患者にした携帯端末ゲームといえば？

そう、つい先ごろまで、答は『アングリーバード』でした。あっという間に最初の100万ダウンロードに到達し、世界記録の最短記録を更新。しかしダウンロード数はいまだ留まるところを知らずに伸びています。このブログでも１月にご紹介した通りですが（ブログ記事『アングリーバードやってる？』）、ブログを書いた時点で5,000万だったダウンロード数は、一ケ月で1,000万も伸びて6,000万件に達したと報道されていました。

ところが、この「アングリーバード」を追いかけ、追いつき、追い越す勢いの新しいモバイルゲームが登場し、話題をさらっています。その名は『Talking Tom Cat』。トムという名の「お話しする猫」とのインタラクションを楽しむゲーム。画面いっぱいに登場するトムという名の猫と遊びます（もともと「山猫」の意味のあるトムキャット(Tomcat)を、二つに分けてTom Catにしているようです）。

あなたも、もうトムとお話ししてますか？　もうトムと遊んでますか？

トムはあなたの言うことをそっくりマネして言い返します。「おはよ～」と言えば、独特の声で「オハヨ～」と言い返してきます。歌を歌えば、マネして歌い、でたらめを言えば、そっくりそのままでたらめがかえってきます。そう、トムの発語はあなたの発語のコピーです。すぐ人の真似をする『真似っ子』のことを英語では『Copy Cat』と言いますが、トムのおしゃべりはまさにコピーキャットそのもの。

赤ちゃんにもコピーキャットの時期がありますね。お話しし始めたばかりのころの赤ちゃんは、よくまわらない舌で、でも一生懸命おしゃべりしようとします。この時期の赤ちゃんを相手にするとき、赤ちゃんのでたらめな発語を（おとなにはでたらめに聞こえる……ですが）、そのまま真似て言い返してあげると、すごく喜びます。そして、いつまでもいつまでも繰り返します。これが、やがてお母さんはじめ回りのおとなたちの発語を、逆に赤ちゃんの方が真似する下地になっていきます。

というわけで、まずはこの時期の赤ちゃんがトムと遊んでいる様子を撮影したビデオをご紹介しましょう。いくつもYouTubeにアップされていますが、まずは『オスカー君』。このビデオは14万回以上閲覧されています。それから『日本の女の子』も登場しています。

さて猫のトム君は、おしゃべりするだけではありません。(タッチパネルで）顔やおなかを撫でてやると、のどをゴロゴロ鳴らして気持ちよさそうな顔になり、実に嬉しそうにします。逆に、顔や頭を叩くとびっくりして痛そうな顔をし、足を踏むと足を抱えて大騒ぎ。おなかをたたくとゲッと言って身体を折るなど、表情豊か。尻尾をさわると怖い顔をして"No!"と言うのは、まさに猫のキャラ！　トムの方から画面に寄ってきて爪でひっかいたりもします’（ガラスをひっかく音がでます）。そうそう、ミルクを飲ませることもできます。

アングリーバードはフィンランド発のアプリでしたが、『Talking Tom Cat』はシリコンバレーのただなかパロアルトで誕生しました。開発しているのはOutfit7社（http://outfit7.com/）。2009年9月に創業し、これだけの大成功の後でまだ総勢15人というベンチャー企業です。Talikig Tom Catのアプリのリリースは昨年７月でしたが、あっという間に100万ダウンロードを記録し、クリスマスシーズンまでのわずか半年で4,000万件のダウンロードを記録。アングリーバードが打ち立てた世界記録を書きかえつつあります。

Outfit7社のサイトに行くと、猫のトム以外にも、キリン、カバの赤ちゃん、鳥（ちょっとアングリーバードの鳥に似てたりして……）など、さまざまなキャラクタ―が揃っていて、遊ぶ人もですが、作り手も楽しんでいる様子が伝わってきます。