第12話 Joker(ジョーカー)大統領
彼の国のネット政変は
『第二天安門政変』と呼ばれるようになった。
政権が倒れる時。
近平が言った。
『アイヤー!平助のせいで
ワイの政権が倒れてしまったアルヨ。
政権どころか、党も何もかも
失ったアル。
平助は同じ『平』の字がつくのに
極悪非道の男アル。』
自分の非を棚に上げて
日本の庶民出身の平助を
詰(なじ)る近平であった。
政変後の動乱と
その後のネット民による実質政権奪取は、
日本にとって
軍事脅威の回避を齎(もたら)した。
尖閣諸島侵攻作戦は、
彼の国が推し進めた右肩上がりの軍拡の末、
実行された軍事行動であった。
軍事力を行使した侵略は、
それを実行するためには
強力な権限を持つ政権である必要がある。
しかしネット民によって
再構築された政権では、
侵略戦争という強力な
軍事行動を統率できない。
その一方で着々と拡張された戦闘能力と
ハイスピードで成し遂げられた技術革新性は
無傷で残り健在である。
また依然彼の国の一般人には
反日勢力が敗戦の腹いせから日増しに増殖し、
ネット庶民政権が落ち着き、
全権を掌握した後は
再び牙を剥きだしにする危険性は残る。
しかし、日本同様、
彼の国もネット政変を成功させ、
全く同じ仕組みとは言えないまでも
直接民主制という同じ根幹の政治形態を
とり始めた国である。
今すぐ一部の極端な考えを持つ者が
実権を持つことはないだろう。
そういった情勢分析と診断をした結果、
一応当面の間は彼の国からの
喫緊の危機は去っただろう。
そういう結論に達した。
しかし同時に
周辺国への影響も増す事となった。
以上、日本国政府が導き出した見解である。
そしてこの時、
彼の国の政変に一番過敏に反応したのが
ロシアであった。
いずれも以前は共産主義を標榜した国であり、
世界各地の犯罪的非民主主義国家や勢力を
積極的に支援し、テロを支持した
悪の巣窟と呼ばれたヤクザ国家である。
また、当然自国民に対しても
締め付けや非道な政策がまかり通っていた。
単なる期成法に則した
ぬるま湯的弾圧に留まらず、
一部の権力者が処断した
暗殺・処刑が当然のように行われる国。
そうした平然と行われた犯罪行為も、
ひとかけらの心を持った人間なら
うしろめたさも感じたろう。
彼の国の独裁政権崩壊は、
次は我が身に降りかかるだろう
災難と感じていた。
要するに同じ穴のムジナの最後を
自分の身に当て嵌(あては)めたのだ。
まずロシアの有力紙
イズベスチヤ(新聞の意)紙が、
続いてロシア及びウクライナ語で展開された
ノーボエ・ブレーミヤ(曖昧さ回避の意)
(NV:Novoe Vremya)グループの
新聞、雑誌、ニュースサイトが
大々的に特集を組み、取り上げられた。
日を重ねるごとに国民の不満は増長され
政権非難はネットに限らず、
あらゆる手段で暴徒化し手が付けられなくなる。
その結果、
永く続いたプー〇ン独裁政権は崩壊、
彼の国に続いて
ロシアにネット直接民主制を敷いた政権誕生。
国民は「ハラ―ショ!」
と云ったかどうかは知らないが
ロシア提灯をぶら下げ行列を作り行進した。
(どんな提灯?)
・・・・らしい。
その後半島の領有をめぐり争った
クリミア紛争以降、
ロシアと袂を分ったウクライナまで飛び火した。
ウクライナには美人が多いそう。
その時平助は板倉に、
「今度の外遊はウクライナに行きたい!」
と云った。
しかし魂胆を見透かされた平助は
板倉に一言
「ダメ。」
と云われる。
更に追い打ちをかけるように、エリカが
「今度、もっとカッコいい男が
総理大臣になった時に行ってもらいましょう。
平助じゃ、日本の恥になるから。」
「誰が日本の恥やねん!
日本のアランドロンと呼ばれた
この平助様に向かって
何と不敬な奴!!」
「今回の発言は
相談役のカエデ様にご報告申し上げます。
悪しからず。」
そう言われて脛に傷持つ平助は、
「へへ~!お代官様、お許しくださいまし。」
全面降伏した。
それはさておき、この一連の国際情勢を
目の当たりにした各国首脳や庶民たち、
この勢いは全世界に及ぶようになるのか?
と誰もが思った。
それ程インパクトのある重大な政変であった。
しかし、そうはならなかった。
確かに直接民主制によって
それぞれの国に於いて、
その影響から数々の制度改善の動きがあった。
だが熟成された議会制民主主義諸国は
議会や国家体制への満足度は高く、
自国への政治の期待度が高いため、
多くの者たちが現状維持を望み、
議会による代議員制度の撤廃若しくは
縮小までの変化は望んでいなかった。
特にアメリカ合衆国や西ヨーロッパ諸国は。
ここにきて平助はことあるごとに
アメリカのJoker(ジョーカー)大統領と
オンライン接触を図り、
理不尽な不均衡や
不平等条約・制度の改善を訴えたが、
国益第一主義の合衆国大統領には通じなかった。
その名の通り、
バットマンに登場する悪役そっくりな彼は、
いかにも冴えなく貧相な平助に対し、いつも
「ヘイ!平助!!ちゃんと喰ってるか?
アメリカ産牛肉をもっと買って
たくさん喰いなさい。」
と言ってくる。
そして
「あぁ、平助の収入じゃ、
そう易々と買えないか?
可愛そうに・・・。」
「低所得者で悪かったな!!」
ワザと『喋れるクン』を通さず
日本語で答えた。
アメリカの民主主義は
建国時からの国是であり、
議会制民主主義と大統領制の牙城であった。
更に圧倒的な経済力、軍事力を背景にした
白人にありがちな自分本位の覇権主義は、
極めて堅牢である。
特に数年に渡るお祭り騒ぎのような大統領選は
アメリカの風物詩。
見た目超ド派手なJokerは
大統領候補者としては一番目立ち、
最適任者だった。
お祭り騒ぎで日常を忘れさせてくれる大統領選。
アメリカ国民の誰もが
その習慣を手放そうとはしなかった。
そしてそのアメリカ国民。
国民の大多数が頑(かたく)なに
銃の所持を希望し、
国民皆保険に反対し、
人種差別を止めようとしない。
それらは全て国民に与えられた権利であり、
自由の証であると思っているから。
そうした考えの彼らにとって、
Joker大統領に限らず、
覇権主義、アメリカ第一主義を
標榜するのは当たり前であった。
当然先の大戦の
敗戦国に過ぎない日本に対しても
理不尽な要求をいくつも
平気で突き付けてきている。
それでも平助と日本のネット民たちは
その巨大な力に屈しなかった。
まず手始めに、
創設間もなかった当時のデジタル庁が
進めていた情報管理システム構築から
アメリカの巨大企業、
Googleや他のGAFA等を
締め出すことに成功している。
私たち日本の国民は
国家を構成し根幹である
国民たちの個人情報一切合切
(いっさいがっさい)を
アメリカに売り渡す気などはない。
『アッカン・ベ~!』
自分たちの意思と総意で
決然とアメリカの情報支配を拒否したのだった。
そんな強気に出ることができたのは、
環太平洋経済連携協定(TPP)に於いて
アメリカ脱退後日本が主導権を握り、
数々の困難を乗り切り、創設に成功。
更に連携を強化した次のステージに
移行させたことにより、
アジア太平洋地域のリーダーとしての地位を
強化できたからに他ならない。
その後TPPには新たにインド、
EUを脱退したイギリスを新たに迎え入れ、
名実ともにEUを凌ぐ
一大国際経済連携網が完成している。
更に2022年1月に発効した
RCEP(地域包括的経済連携)
(→日本及び、東南アジア諸国連合、オセアニア
中韓など15カ国で構成される連携協定)
から隣国と彼の国が尖閣紛争後、
その対立を契機に抜けた今、
環太平洋及び、
東南アジアの実質的単独盟主となった日本。
盟主として相応しい国力を再生し、
参加国に後悔させないよう
様々な施策を講じなければならない。
そうした事情からも
斜陽だった国内主要産業の
大幅な立て直しが図られた。
まず、ネット政変後、
国内の政策決定権を握る閣僚・官僚たちから、
国力衰退を招き、
国民所得減退を招いた張本人たち
売国的政策を推進した者を行政の場から追放し、
その元凶となった反日国家からの
留学・交流・技術移転を
禁止する政策へ転換。
国内からの構造的革新技術の流出を阻止した。
また、日本の誇る先端技術保有企業の
部外への情報開示制約強化。
それ等と平行し、庶民への士気高揚策として
国民所得改善施策を発表。
非正規社員の正規化及び、
不必要と判定された
企業内留保の保持に対する規制措置。
具体的には
企業内留保資金を一定限度内レベルに抑え、
その結果生まれた余剰資金を
事業発展に貢献した従業員への
正当報酬の還元義務化と、
逆に事業が上手くいかなかったときの
経営リスクへの保証策として
無謀な投資に該当しない不採算による赤字への
国家補てんの保障。
更に具体的に発表された施策。
『シェア40』
それぞれの分野で国際市場シェアを
40%に引き上げる目標を掲げ、
国家を挙げて達成に寄与する。
例えば、
見る影もない程に落ちぶれた家電産業や
半導体産業を復活させるため、
日本の伝家の宝刀である技術集団、
町工場、中小企業を国家主導で参集させ
新たな企業体を結成。
下請けが同時に元受けとなる
大企業組織化改革。
かつてのSONY、Panasonic、
東芝、シャープ、SANYOに代わる
花形電気加工企業創設に下町企業を活用、
再生・育成させた。
更に日本のお家芸だった
造船などの重工業復活も
素材見直しや
国内最先端技術を結集し、
安価での造船を可能に。
それに国の役割を新たに加え明瞭化。
加盟各国との物流手段に
新造船された輸送船を無償・有償貸出提案。
例えば5隻購入契約を締結した場合、
そのうち1隻は無償、1隻は有償で貸し出すなど。
それら国際競争力を向上させる
様々な施策を講じ、
営業実績の積み上げと、
シェア向上を図った。
それに加え、厳しい国際競争に
なんとか踏み留まってきた
自動車産業を加え、
工業大国復活を成し得た日本。
日本は再び立ち上がった。
太平洋戦争当時、アメリカの奸計から
ほぼ孤立無援の戦いを強いられた日本。
それ以降もアメリカには
数々の煮え湯を飲まされてきた。
でも今は、その太平洋やアジアを舞台にした
連携協定の盟主になることで、
アメリカの不当な圧力を
跳ね返す事ができるまでになったのだ。
アメリカの常套手段
CIAの圧力など、
様々な妨害工作を受けても尚、
日本の民意の力は決して屈しなかった。
何故屈しない?
それはお金(経済)だけに主眼を置かず、
そこに暮らす皆に合った様々な幸福を模索したから。
自分の国民だけでなく、
共感する全ての国の人たちが力を合わせ、
国を超えた幸福の実現を目指したからであった。
平助が総理大臣を務めた日本は、
その時飛躍的な進化と成果を
あげる事ができた。
第13話 社員旅行?
そのご褒美に
平助は休暇を貰った。
かねてからの約束
カエデを海に連れて行く。
ある製茶メーカーが経営する
温泉ホテルグループ
彼の国のネット政変は
『第二天安門政変』と呼ばれるようになった。
政権が倒れる時。
近平が言った。
『アイヤー!平助のせいで
ワイの政権が倒れてしまったアルヨ。
政権どころか、党も何もかも
失ったアル。
平助は同じ『平』の字がつくのに
極悪非道の男アル。』
自分の非を棚に上げて
日本の庶民出身の平助を
詰(なじ)る近平であった。
政変後の動乱と
その後のネット民による実質政権奪取は、
日本にとって
軍事脅威の回避を齎(もたら)した。
尖閣諸島侵攻作戦は、
彼の国が推し進めた右肩上がりの軍拡の末、
実行された軍事行動であった。
軍事力を行使した侵略は、
それを実行するためには
強力な権限を持つ政権である必要がある。
しかしネット民によって
再構築された政権では、
侵略戦争という強力な
軍事行動を統率できない。
その一方で着々と拡張された戦闘能力と
ハイスピードで成し遂げられた技術革新性は
無傷で残り健在である。
また依然彼の国の一般人には
反日勢力が敗戦の腹いせから日増しに増殖し、
ネット庶民政権が落ち着き、
全権を掌握した後は
再び牙を剥きだしにする危険性は残る。
しかし、日本同様、
彼の国もネット政変を成功させ、
全く同じ仕組みとは言えないまでも
直接民主制という同じ根幹の政治形態を
とり始めた国である。
今すぐ一部の極端な考えを持つ者が
実権を持つことはないだろう。
そういった情勢分析と診断をした結果、
一応当面の間は彼の国からの
喫緊の危機は去っただろう。
そういう結論に達した。
しかし同時に
周辺国への影響も増す事となった。
以上、日本国政府が導き出した見解である。
そしてこの時、
彼の国の政変に一番過敏に反応したのが
ロシアであった。
いずれも以前は共産主義を標榜した国であり、
世界各地の犯罪的非民主主義国家や勢力を
積極的に支援し、テロを支持した
悪の巣窟と呼ばれたヤクザ国家である。
また、当然自国民に対しても
締め付けや非道な政策がまかり通っていた。
単なる期成法に則した
ぬるま湯的弾圧に留まらず、
一部の権力者が処断した
暗殺・処刑が当然のように行われる国。
そうした平然と行われた犯罪行為も、
ひとかけらの心を持った人間なら
うしろめたさも感じたろう。
彼の国の独裁政権崩壊は、
次は我が身に降りかかるだろう
災難と感じていた。
要するに同じ穴のムジナの最後を
自分の身に当て嵌(あては)めたのだ。
まずロシアの有力紙
イズベスチヤ(新聞の意)紙が、
続いてロシア及びウクライナ語で展開された
ノーボエ・ブレーミヤ(曖昧さ回避の意)
(NV:Novoe Vremya)グループの
新聞、雑誌、ニュースサイトが
大々的に特集を組み、取り上げられた。
日を重ねるごとに国民の不満は増長され
政権非難はネットに限らず、
あらゆる手段で暴徒化し手が付けられなくなる。
その結果、
永く続いたプー〇ン独裁政権は崩壊、
彼の国に続いて
ロシアにネット直接民主制を敷いた政権誕生。
国民は「ハラ―ショ!」
と云ったかどうかは知らないが
ロシア提灯をぶら下げ行列を作り行進した。
(どんな提灯?)
・・・・らしい。
その後半島の領有をめぐり争った
クリミア紛争以降、
ロシアと袂を分ったウクライナまで飛び火した。
ウクライナには美人が多いそう。
その時平助は板倉に、
「今度の外遊はウクライナに行きたい!」
と云った。
しかし魂胆を見透かされた平助は
板倉に一言
「ダメ。」
と云われる。
更に追い打ちをかけるように、エリカが
「今度、もっとカッコいい男が
総理大臣になった時に行ってもらいましょう。
平助じゃ、日本の恥になるから。」
「誰が日本の恥やねん!
日本のアランドロンと呼ばれた
この平助様に向かって
何と不敬な奴!!」
「今回の発言は
相談役のカエデ様にご報告申し上げます。
悪しからず。」
そう言われて脛に傷持つ平助は、
「へへ~!お代官様、お許しくださいまし。」
全面降伏した。
それはさておき、この一連の国際情勢を
目の当たりにした各国首脳や庶民たち、
この勢いは全世界に及ぶようになるのか?
と誰もが思った。
それ程インパクトのある重大な政変であった。
しかし、そうはならなかった。
確かに直接民主制によって
それぞれの国に於いて、
その影響から数々の制度改善の動きがあった。
だが熟成された議会制民主主義諸国は
議会や国家体制への満足度は高く、
自国への政治の期待度が高いため、
多くの者たちが現状維持を望み、
議会による代議員制度の撤廃若しくは
縮小までの変化は望んでいなかった。
特にアメリカ合衆国や西ヨーロッパ諸国は。
ここにきて平助はことあるごとに
アメリカのJoker(ジョーカー)大統領と
オンライン接触を図り、
理不尽な不均衡や
不平等条約・制度の改善を訴えたが、
国益第一主義の合衆国大統領には通じなかった。
その名の通り、
バットマンに登場する悪役そっくりな彼は、
いかにも冴えなく貧相な平助に対し、いつも
「ヘイ!平助!!ちゃんと喰ってるか?
アメリカ産牛肉をもっと買って
たくさん喰いなさい。」
と言ってくる。
そして
「あぁ、平助の収入じゃ、
そう易々と買えないか?
可愛そうに・・・。」
「低所得者で悪かったな!!」
ワザと『喋れるクン』を通さず
日本語で答えた。
アメリカの民主主義は
建国時からの国是であり、
議会制民主主義と大統領制の牙城であった。
更に圧倒的な経済力、軍事力を背景にした
白人にありがちな自分本位の覇権主義は、
極めて堅牢である。
特に数年に渡るお祭り騒ぎのような大統領選は
アメリカの風物詩。
見た目超ド派手なJokerは
大統領候補者としては一番目立ち、
最適任者だった。
お祭り騒ぎで日常を忘れさせてくれる大統領選。
アメリカ国民の誰もが
その習慣を手放そうとはしなかった。
そしてそのアメリカ国民。
国民の大多数が頑(かたく)なに
銃の所持を希望し、
国民皆保険に反対し、
人種差別を止めようとしない。
それらは全て国民に与えられた権利であり、
自由の証であると思っているから。
そうした考えの彼らにとって、
Joker大統領に限らず、
覇権主義、アメリカ第一主義を
標榜するのは当たり前であった。
当然先の大戦の
敗戦国に過ぎない日本に対しても
理不尽な要求をいくつも
平気で突き付けてきている。
それでも平助と日本のネット民たちは
その巨大な力に屈しなかった。
まず手始めに、
創設間もなかった当時のデジタル庁が
進めていた情報管理システム構築から
アメリカの巨大企業、
Googleや他のGAFA等を
締め出すことに成功している。
私たち日本の国民は
国家を構成し根幹である
国民たちの個人情報一切合切
(いっさいがっさい)を
アメリカに売り渡す気などはない。
『アッカン・ベ~!』
自分たちの意思と総意で
決然とアメリカの情報支配を拒否したのだった。
そんな強気に出ることができたのは、
環太平洋経済連携協定(TPP)に於いて
アメリカ脱退後日本が主導権を握り、
数々の困難を乗り切り、創設に成功。
更に連携を強化した次のステージに
移行させたことにより、
アジア太平洋地域のリーダーとしての地位を
強化できたからに他ならない。
その後TPPには新たにインド、
EUを脱退したイギリスを新たに迎え入れ、
名実ともにEUを凌ぐ
一大国際経済連携網が完成している。
更に2022年1月に発効した
RCEP(地域包括的経済連携)
(→日本及び、東南アジア諸国連合、オセアニア
中韓など15カ国で構成される連携協定)
から隣国と彼の国が尖閣紛争後、
その対立を契機に抜けた今、
環太平洋及び、
東南アジアの実質的単独盟主となった日本。
盟主として相応しい国力を再生し、
参加国に後悔させないよう
様々な施策を講じなければならない。
そうした事情からも
斜陽だった国内主要産業の
大幅な立て直しが図られた。
まず、ネット政変後、
国内の政策決定権を握る閣僚・官僚たちから、
国力衰退を招き、
国民所得減退を招いた張本人たち
売国的政策を推進した者を行政の場から追放し、
その元凶となった反日国家からの
留学・交流・技術移転を
禁止する政策へ転換。
国内からの構造的革新技術の流出を阻止した。
また、日本の誇る先端技術保有企業の
部外への情報開示制約強化。
それ等と平行し、庶民への士気高揚策として
国民所得改善施策を発表。
非正規社員の正規化及び、
不必要と判定された
企業内留保の保持に対する規制措置。
具体的には
企業内留保資金を一定限度内レベルに抑え、
その結果生まれた余剰資金を
事業発展に貢献した従業員への
正当報酬の還元義務化と、
逆に事業が上手くいかなかったときの
経営リスクへの保証策として
無謀な投資に該当しない不採算による赤字への
国家補てんの保障。
更に具体的に発表された施策。
『シェア40』
それぞれの分野で国際市場シェアを
40%に引き上げる目標を掲げ、
国家を挙げて達成に寄与する。
例えば、
見る影もない程に落ちぶれた家電産業や
半導体産業を復活させるため、
日本の伝家の宝刀である技術集団、
町工場、中小企業を国家主導で参集させ
新たな企業体を結成。
下請けが同時に元受けとなる
大企業組織化改革。
かつてのSONY、Panasonic、
東芝、シャープ、SANYOに代わる
花形電気加工企業創設に下町企業を活用、
再生・育成させた。
更に日本のお家芸だった
造船などの重工業復活も
素材見直しや
国内最先端技術を結集し、
安価での造船を可能に。
それに国の役割を新たに加え明瞭化。
加盟各国との物流手段に
新造船された輸送船を無償・有償貸出提案。
例えば5隻購入契約を締結した場合、
そのうち1隻は無償、1隻は有償で貸し出すなど。
それら国際競争力を向上させる
様々な施策を講じ、
営業実績の積み上げと、
シェア向上を図った。
それに加え、厳しい国際競争に
なんとか踏み留まってきた
自動車産業を加え、
工業大国復活を成し得た日本。
日本は再び立ち上がった。
太平洋戦争当時、アメリカの奸計から
ほぼ孤立無援の戦いを強いられた日本。
それ以降もアメリカには
数々の煮え湯を飲まされてきた。
でも今は、その太平洋やアジアを舞台にした
連携協定の盟主になることで、
アメリカの不当な圧力を
跳ね返す事ができるまでになったのだ。
アメリカの常套手段
CIAの圧力など、
様々な妨害工作を受けても尚、
日本の民意の力は決して屈しなかった。
何故屈しない?
それはお金(経済)だけに主眼を置かず、
そこに暮らす皆に合った様々な幸福を模索したから。
自分の国民だけでなく、
共感する全ての国の人たちが力を合わせ、
国を超えた幸福の実現を目指したからであった。
平助が総理大臣を務めた日本は、
その時飛躍的な進化と成果を
あげる事ができた。
第13話 社員旅行?
そのご褒美に
平助は休暇を貰った。
かねてからの約束
カエデを海に連れて行く。
ある製茶メーカーが経営する
温泉ホテルグループ
(1泊ひとり8000円、
食べ放題、飲み放題付きプラン)
に予約を入れ、
新宿から無料送迎バスが出発する。
平助はカエデと熱海で一泊し、
江の島海岸で楽しむ計画を立てた。
カエデの水着姿を想像し
思わずひとり口からよだれを垂らす平助。
しかし・・・。
ふたりだけの水入らずの旅行のつもりが、
蓋を開けると送迎用の大型バスは
新宿から無料送迎バスが出発する。
平助はカエデと熱海で一泊し、
江の島海岸で楽しむ計画を立てた。
カエデの水着姿を想像し
思わずひとり口からよだれを垂らす平助。
しかし・・・。
ふたりだけの水入らずの旅行のつもりが、
蓋を開けると送迎用の大型バスは
乗合のはずが何故か貸し切り。
バスの行き先表示には
『首相官邸御一行 様』となっている。
「え?」
平助が約束のバス停に到着すると、
そこには教育係の板倉の他、
いつものメンバー、角刈りの杉本、
田之上官房長官、井口外相、
佐藤鯖江主計局長に
エリカが居る。
その上、官邸職員である嘱託管理人さん、
パートの掃除のおばちゃん、
その他閣僚・閣僚たち。
総勢60人の大所帯だった。
思わずカエデに聞く。
「聞いてるか?」
「聞いてないよぉ~」
ふたりは目を丸くした。
するとエリカが言う。
「おめでとうございます。
平助首相の業績がプラス100点に到達しました。
その目覚ましい業績を私から板倉さんに奏上、
政府の首相雑費から予算を割き
その実績を表彰し、
貢献した全てのスタップを労うため
ここに熱海一泊旅行を敢行いたします。
謹んでお受けください。」
「尚、宴会の後は、
参加メンバー全員で、平助首相の大好きな
夜どおしカラオケ大会も企画されています。
是非お楽しみください。」
満面の笑顔のエリカが言った。
平助が描いていた
カエデとの二人だけの甘い夜は
その瞬間消え去った。
つづく
バスの行き先表示には
『首相官邸御一行 様』となっている。
「え?」
平助が約束のバス停に到着すると、
そこには教育係の板倉の他、
いつものメンバー、角刈りの杉本、
田之上官房長官、井口外相、
佐藤鯖江主計局長に
エリカが居る。
その上、官邸職員である嘱託管理人さん、
パートの掃除のおばちゃん、
その他閣僚・閣僚たち。
総勢60人の大所帯だった。
思わずカエデに聞く。
「聞いてるか?」
「聞いてないよぉ~」
ふたりは目を丸くした。
するとエリカが言う。
「おめでとうございます。
平助首相の業績がプラス100点に到達しました。
その目覚ましい業績を私から板倉さんに奏上、
政府の首相雑費から予算を割き
その実績を表彰し、
貢献した全てのスタップを労うため
ここに熱海一泊旅行を敢行いたします。
謹んでお受けください。」
「尚、宴会の後は、
参加メンバー全員で、平助首相の大好きな
夜どおしカラオケ大会も企画されています。
是非お楽しみください。」
満面の笑顔のエリカが言った。
平助が描いていた
カエデとの二人だけの甘い夜は
その瞬間消え去った。
つづく