uparupapapa 日記

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「売れない文庫フェア」久住邦晴さん死去

2017-09-02 14:51:58 | 日記
個性あふれる品ぞろえやブックフェアの企画で親しまれた札幌市の名物書店

「くすみ書房(2015年閉店)」の元社長・久住邦晴くにはるさんが28日、

肺がんのため死去した。66歳だった。

 「くすみ書房」は1946年、邦晴さんの父親が同市西区に創業。

99年に邦晴さんが後を継いだ。

若い世代を中心に進む読書離れを食い止めようと、

なかなか売れない本ばかりを選んだ「なぜだ!? 売れない文庫フェア」や、

中高生などを対象にした「これを読め!」など

ユニークなブックフェアを数多く企画し、全国的にも知られるようになった。


 道内の学校にも積極的に足を運び、

講演会などを通じて若い世代に読書の楽しさを伝え続けた。

しかし、近隣に進出した大型書店に押され、

2009年に厚別区に店舗を移転。

その後も苦境は続き、15年に閉店した。

 それでも本への情熱は冷めることがなく長女の絵里香さんによると、

最近も「本屋のない街に本屋を作りたい」と構想を語っていたという。

絵里香さんは「まだまだやりたいことがあったようで、

志半ばの部分はあったと思う」と話す。



-YOMIURI ONLINE 2017年09月01日 08時17分-







私は北海道時代、営業で一度お会いしたことがあった。

「この人は余程本のことが好きなんだなぁ。」

それが第一印象。


全国的に注目され始める少し前の出会いだった。



日本人の図書離れが指摘され、

本の売り上げが下降線をたどり、

何処の本屋さんも危機感を募らせていた時期でもあったと思う。



さかのぼること80年代の『ジャパン アズ NO1』のベストセラー以降、

それをきっかけに海外から急速に注目を集めはじめた日本。

バブル景気と相まって、

日本の実力と、日本人の優秀さが改めて評価されたとき、

海外のおおくの日本評論家達から、この国の教育水準の高さと

日本人の新聞や図書を読む習慣に起因するとの指摘がなされた。

そんな一番輝いていた時代から

遠く離れてしまった現代日本。

そんな過去の流れと強みをもう一度復活させたいとの情熱を

その当時の彼から強く感じていた。

失われつつあるこの国の強みとかけがえのない文化。

彼の取り組みはただ単に

自分の経営する本屋の利益追求のために情熱を注いだのではない、

本離れ・活字離れという世の中の潮流に危機感を持ったためだと私は思っている。


今の社会はネットで全て済ますことができる便利な時代。

それまでの情報伝達手段であったテレビや新聞・図書も、

手紙・電話やファックスも

ネットやメールで手軽に済ませるようになった。

更に新刊の小説も漫画もネットで観られる。

時間も費用も節約できる便利な時代。



そんな万能なインターネットではあるが、

私は何かが不足しているように思える。


それが何なのか判らないが、

新聞や本・手紙などのアナログ媒体は現物が手元にあり、

いつでも好きなページや記述箇所を一足飛びで観られる手軽さと、

その情報全体を一目で把握できる利点がそこにはあったのではないだろうか。


それに対し、ネットは見ているそのページ以外の情報の全体像は

1ページ、1ページづつ根気よく開かなければ掴みにくい。


とてもではないが、私はネットで長編小説を読む気にはなれない。

ひとつの内容のネットニュースや小説やエッセイ・記事などを根気よく読んでも、

せいぜい数ページまでだ。

そこにアナログとデジタル媒体の違いがあると思う。



300ページの文献の175ページ目のある記述を探すのに

ネットは適さない。



と云っても、ネット社会を完全否定するつもりは毛頭ない。

新旧媒体とバランスよく、うまく付き合っていくのが一番の理想だろう。


最近の私は、本も新聞も縁遠くなってしまったが、

久住さんの訃報を聞き、改めて回帰すべきと気づかされるキッカケとなった。



この国の文化とよき習慣と、

良心の旗を振る人物をまた一人失ったように私は思う。



謹んで哀悼の意を表します。