◇アメリカも驚いた安倍首相の固い意思
安倍晋三首相は、
5月の大型連休中の4月28日~5月7日まで欧州歴訪の旅に発つ――。
これまで外務省と各国外交当局との事前折衝によって、
安倍首相は英国、フランス、イタリア、ベルギー、ドイツ、
ロシアの順番で各国を訪れ、キャメロン英首相、オランド仏大統領、
レンツィ伊首相、トゥスクEU大統領、メルケル独首相、
プーチン露大統領と会談することが内定していた。
-中略-
確定しているのはプーチン大統領との会談だけだ。
5月6日、ロシアの保養地ソチにある大統領別邸で行われる。
安倍・プーチン会談については、2月23日夜、
時事通信が速報で〈オバマ米大統領は9日の日米首脳電話会談で、
安倍首相が予定しているロシア訪問に対して懸念を伝えた〉と報じた。
ソースは、在日米国大使館政治部とされる。
それはともかく、翌日の新聞各紙朝刊も
「米大統領、訪ロ自粛を促す―9日の電話会談、首相は方針変えず」
(日本経済新聞)、
「首相訪露にオバマ氏懸念―9日電話会談、延期求める」
(読売新聞)と報じた。
安倍首相がオバマ大統領に「日本にとってはロシアとの平和条約も大事だ。
ロシアと対話を続けていくべきだ」と応じた、
と読売報道にあるように、安倍首相の対露アプローチは不退転である。
そもそも安倍首相は、
昨年4月の日米首脳会談でもオバマ大統領から同様の対応を受けていたのだ。
2014年3月のロシアによるクリミア半島併合に端を発した
ウクライナ情勢が深刻化して、
オバマ大統領主導で欧米の対ロシア経済制裁が発動された。
以来、オバマ、プーチン両首脳関係は悪化の一途を辿っている。
そうした中で、
安倍首相はオバマ大統領が求める対露交渉中断を撥ね付けたのである。
安倍・オバマ会談に同席したライス大統領補佐官(国家安全保障担当)は、
全く想定していなかった安倍首相の言辞に驚き、
瞬時言葉を失ったほどであった。
◇目指すは「2020年、2島返還」か?
では、安倍首相が目指す対露政策とは、
いったいどのようなものなのか。
そのゴールはもちろん、1956年の日ソ共同宣言以降、
歴代の首相(政権)が何度も試みて実現できなかった
日露平和条約締結と北方4島返還である。
歯舞、色丹、国後、択捉4島の一括返還にリアリティがないのは自明である。
択捉島は現在、島全体が軍事基地化されている。
国後島もロシアの企業だけでなく中国や韓国資本が進出しており、
残念ながら早期の返還は難しいと言わざるを得ない。
そこで北方領土問題進展の可能性を考えると、
想起されるのが、プーチン大統領が首相時代の2012年3月に、
外国メディア編集長との懇談で発言した「引き分け」である。
柔道家を自任するプーチン氏は「この状況において、
我々は受け入れ可能な妥協に達しなければならない。
それは『引き分け』(日本語で)のようなものである」
「共同宣言には、どのような条件で島々が引き渡されるのか、
島々がどの国の主権の下に置かれるのかについて
何も書かれていない」と語っている。
妥協可能なのは、所謂「2島先行返還」であると語ったに等しい。
ここがキーである。
来る5月の安倍・プーチン会談で、
プーチン氏の10月日本公式訪問が合意を見て、
プーチン氏来日時に、
たとえば2020年4月までに平和条約締結と2島返還で一致できれば、
それこそ日本は「戦後レジームからの脱却」を果たすことになるのだ。
プーチン・ロシアは当然ながら「リターン」を求めている。
東シベリア・極東開発への日本の協力である。
だからこそ、
原油価格下落による経済減速に歯止めがかからないロシアの現状から、
安倍首相は、チャンスは今年しかないと判断しているのだ。
-現代ビジネス-
北海道出身の私にとって
北方領土は身近な問題だ。
2月10日の私の日記で
『島尻北方相、「歯舞群島」読めず 会見で「はぼ、何だっけ」』
で島尻安伊子沖縄北方担当相の発言に呆れかえり
厳しく批判した。
政治屋さんの無責任さと
自覚の無さに暗澹たる気持ちに覆われた。
そんな中での今回の安倍首相の発言と行動。
自分の内閣の自責点を、首相自ら挽回すると云う事か。
その姿は素晴らしいと思うが、
極めて気持ちは複雑だ。
『2島返還』・・・・。
不当に武力による侵略を仕掛け
未だに占拠しているのは旧ソ連から続くロシアである。
日本が返してほしいと訴えているのは『4島』だ。
何故日本が妥協せねばならないのか?
ソ連(ロシア)はいわば強盗だ。
国家が働いた犯罪行為である。
しかも、シベリア抑留で定説では65万人、
(モスクワのロシア国立軍事公文書館には
約76万人分に相当する量の資料が収蔵)もの日本人が
不当に強制労働に使役に就かされ、
抑留者全体の1割(?)にあたる約6万人の犠牲を出した。
私は決して歩み寄ってはいけないと思う。
現在のロシア人は、
シベリアの抑留の事実を教えられていない。
北方領土は自国の固有の領土だとの教育を受けている。
自らの犯罪行為に対し、
微塵も反省をしていないロシア政府のその態度に
吐き気すら催す。
重ねて云う。
何故日本一方的に妥協し、我慢しなければならないのか?
日本が返せ!と云っているのは『4島』だ。
『引き分け』?
一方的に敗戦のどさくさに紛れ、武力で奪われたのに、
『2島返還』、それの何処が引き分けなのだろう?
しかも、面積から言ったら、国後、択捉と
色丹、歯舞では比較にならないほど差がある。
そんな子供だましにもならない主張を、
どうして受け入れなければならないのか?
確かに今が絶好のチャンスなのは理解できる。
「all-or-nothing」(オール オア ナッシング)より、
取れるときに取っておこうと云う考え方も解るが、
日本の方から「現実的ではない」との判断をするのは
全く違うと思う。
武力に屈し、こちらから卑屈になってはいけない。
決然と対峙すべきだと安倍首相に言いたい。
プーチンとの個人的な良好な関係など、
くだらないほど小さい。
いつも中国や北朝鮮、問題の多い独裁国家に同調し、
軍事支援するなどの問題行動ばかりで、
周辺国を困らしているようなロシアの行状。
そんな国際情勢全体を見て
オバマが静止する方が正しいと、私は思う。
日本は今回、アメリカに同調し、
ロシアに厳しい制裁を科すのが正解だろう。
眼前に「色丹、歯舞」という餌を見せられ、
「国後、択捉」を諦め、尻尾を振っている場合ではないと私は思う。
今でもロシアに対し、
昔受けた『借り』を返してやりたいと思っているオヤジが一句。
引き分けの 言葉を使う? この場合
お粗末。
安倍晋三首相は、
5月の大型連休中の4月28日~5月7日まで欧州歴訪の旅に発つ――。
これまで外務省と各国外交当局との事前折衝によって、
安倍首相は英国、フランス、イタリア、ベルギー、ドイツ、
ロシアの順番で各国を訪れ、キャメロン英首相、オランド仏大統領、
レンツィ伊首相、トゥスクEU大統領、メルケル独首相、
プーチン露大統領と会談することが内定していた。
-中略-
確定しているのはプーチン大統領との会談だけだ。
5月6日、ロシアの保養地ソチにある大統領別邸で行われる。
安倍・プーチン会談については、2月23日夜、
時事通信が速報で〈オバマ米大統領は9日の日米首脳電話会談で、
安倍首相が予定しているロシア訪問に対して懸念を伝えた〉と報じた。
ソースは、在日米国大使館政治部とされる。
それはともかく、翌日の新聞各紙朝刊も
「米大統領、訪ロ自粛を促す―9日の電話会談、首相は方針変えず」
(日本経済新聞)、
「首相訪露にオバマ氏懸念―9日電話会談、延期求める」
(読売新聞)と報じた。
安倍首相がオバマ大統領に「日本にとってはロシアとの平和条約も大事だ。
ロシアと対話を続けていくべきだ」と応じた、
と読売報道にあるように、安倍首相の対露アプローチは不退転である。
そもそも安倍首相は、
昨年4月の日米首脳会談でもオバマ大統領から同様の対応を受けていたのだ。
2014年3月のロシアによるクリミア半島併合に端を発した
ウクライナ情勢が深刻化して、
オバマ大統領主導で欧米の対ロシア経済制裁が発動された。
以来、オバマ、プーチン両首脳関係は悪化の一途を辿っている。
そうした中で、
安倍首相はオバマ大統領が求める対露交渉中断を撥ね付けたのである。
安倍・オバマ会談に同席したライス大統領補佐官(国家安全保障担当)は、
全く想定していなかった安倍首相の言辞に驚き、
瞬時言葉を失ったほどであった。
◇目指すは「2020年、2島返還」か?
では、安倍首相が目指す対露政策とは、
いったいどのようなものなのか。
そのゴールはもちろん、1956年の日ソ共同宣言以降、
歴代の首相(政権)が何度も試みて実現できなかった
日露平和条約締結と北方4島返還である。
歯舞、色丹、国後、択捉4島の一括返還にリアリティがないのは自明である。
択捉島は現在、島全体が軍事基地化されている。
国後島もロシアの企業だけでなく中国や韓国資本が進出しており、
残念ながら早期の返還は難しいと言わざるを得ない。
そこで北方領土問題進展の可能性を考えると、
想起されるのが、プーチン大統領が首相時代の2012年3月に、
外国メディア編集長との懇談で発言した「引き分け」である。
柔道家を自任するプーチン氏は「この状況において、
我々は受け入れ可能な妥協に達しなければならない。
それは『引き分け』(日本語で)のようなものである」
「共同宣言には、どのような条件で島々が引き渡されるのか、
島々がどの国の主権の下に置かれるのかについて
何も書かれていない」と語っている。
妥協可能なのは、所謂「2島先行返還」であると語ったに等しい。
ここがキーである。
来る5月の安倍・プーチン会談で、
プーチン氏の10月日本公式訪問が合意を見て、
プーチン氏来日時に、
たとえば2020年4月までに平和条約締結と2島返還で一致できれば、
それこそ日本は「戦後レジームからの脱却」を果たすことになるのだ。
プーチン・ロシアは当然ながら「リターン」を求めている。
東シベリア・極東開発への日本の協力である。
だからこそ、
原油価格下落による経済減速に歯止めがかからないロシアの現状から、
安倍首相は、チャンスは今年しかないと判断しているのだ。
-現代ビジネス-
北海道出身の私にとって
北方領土は身近な問題だ。
2月10日の私の日記で
『島尻北方相、「歯舞群島」読めず 会見で「はぼ、何だっけ」』
で島尻安伊子沖縄北方担当相の発言に呆れかえり
厳しく批判した。
政治屋さんの無責任さと
自覚の無さに暗澹たる気持ちに覆われた。
そんな中での今回の安倍首相の発言と行動。
自分の内閣の自責点を、首相自ら挽回すると云う事か。
その姿は素晴らしいと思うが、
極めて気持ちは複雑だ。
『2島返還』・・・・。
不当に武力による侵略を仕掛け
未だに占拠しているのは旧ソ連から続くロシアである。
日本が返してほしいと訴えているのは『4島』だ。
何故日本が妥協せねばならないのか?
ソ連(ロシア)はいわば強盗だ。
国家が働いた犯罪行為である。
しかも、シベリア抑留で定説では65万人、
(モスクワのロシア国立軍事公文書館には
約76万人分に相当する量の資料が収蔵)もの日本人が
不当に強制労働に使役に就かされ、
抑留者全体の1割(?)にあたる約6万人の犠牲を出した。
私は決して歩み寄ってはいけないと思う。
現在のロシア人は、
シベリアの抑留の事実を教えられていない。
北方領土は自国の固有の領土だとの教育を受けている。
自らの犯罪行為に対し、
微塵も反省をしていないロシア政府のその態度に
吐き気すら催す。
重ねて云う。
何故日本一方的に妥協し、我慢しなければならないのか?
日本が返せ!と云っているのは『4島』だ。
『引き分け』?
一方的に敗戦のどさくさに紛れ、武力で奪われたのに、
『2島返還』、それの何処が引き分けなのだろう?
しかも、面積から言ったら、国後、択捉と
色丹、歯舞では比較にならないほど差がある。
そんな子供だましにもならない主張を、
どうして受け入れなければならないのか?
確かに今が絶好のチャンスなのは理解できる。
「all-or-nothing」(オール オア ナッシング)より、
取れるときに取っておこうと云う考え方も解るが、
日本の方から「現実的ではない」との判断をするのは
全く違うと思う。
武力に屈し、こちらから卑屈になってはいけない。
決然と対峙すべきだと安倍首相に言いたい。
プーチンとの個人的な良好な関係など、
くだらないほど小さい。
いつも中国や北朝鮮、問題の多い独裁国家に同調し、
軍事支援するなどの問題行動ばかりで、
周辺国を困らしているようなロシアの行状。
そんな国際情勢全体を見て
オバマが静止する方が正しいと、私は思う。
日本は今回、アメリカに同調し、
ロシアに厳しい制裁を科すのが正解だろう。
眼前に「色丹、歯舞」という餌を見せられ、
「国後、択捉」を諦め、尻尾を振っている場合ではないと私は思う。
今でもロシアに対し、
昔受けた『借り』を返してやりたいと思っているオヤジが一句。
引き分けの 言葉を使う? この場合
お粗末。