うな風呂

やる気のない非モテの備忘録

借りぐらしのアリエッティ  70点

2011年07月20日 | 映画感想
借りぐらしのアリエッティ [DVD]
クリエーター情報なし
スタジオジブリ




アリエッティたちは小人族。人間の家の隙間に住み、人間から勝手に物を借りてひっそりと暮らしていた。
しかしある日、その家に引っ越してきた少年にアリエッティは見つかってしまう……


ゲドのせいで、宮崎駿が監督しないジブリ作品だとひどいものができあがるんじゃないかという危惧感が生まれていたが、意外と普通に面白かった。
人間の家の隙間に住んでいるという小人の暮らしをじつに説得力と夢のある映像で描いている。床下とか柱の隙間を、コンセントなどをとりはずして出入りし、飛び出した釘が階段状になっているのを上り下りして移動している姿は、まるで家の中に秘密基地があるようで、子供心に訴えかける。
人間からみた視点、小人の視点の切り替えもスムーズでうまく、このあたりの映像のクオリティはさすが世界最高水準のアニメ会社としての面目躍如。観ている人間にどこを見て欲しいのか、というのが常に明確で混乱することがなく、素直に小人から見た世界を堪能することが出来る。なにげに小人から見たアリやダンゴ虫などの大きさがリアルでキモ可愛いあたりも駿チックでよい。

が、ストーリーが驚くほどなかった。
心臓病のために田舎に引っ越してきた少年に見つかって、その少年と友達になって、というのがメインの話だが、友達になる過程も不自然だし、この少年も話しはじめてすぐに「君達はほろびゆく種族なんだ」とか云いだしてすごい感じ悪いし、ぜんぜん仲良くなりたくない。
その後、この家のお手伝いのばあさんのアリエッティの母親がつかまって救出劇のどだばたがあるんだがこのばあさんがなぜ家主の意向に逆らってまで小人を捕まえようとしているのか、さっぱり理解できない。一人捕まえた時点でもどうしようとするわけでもないし、本当にこのばあさんはなぜ小人を捕まえたがっていたのか
捕まえてどうしようとしていたのか、まったく理解できないから怖くもないしドキドキもしない。ぶっちゃけどうなっても家主が「放してやれよ」で終わりだし。
物語の山場となるエピソードがこれのため、まったくなにひとつ盛り上がりもなく、また捕まった母親の救出も非常にあっけなく、ばあさんも別に悪人として描かれているわけでもないため溜飲が下がることもなく、そのままなんとなく映画が終わってしまって「あれ?」という感じだった。

話がないという意味ではトトロも同じだったが、あちらはトトロとの出会いとか猫バスで病院へいくのとこ盛り上がりどころを抑えるのがうまかったし、別に話が必要な風にも思えない作品だった。
しかし今作はもりあがりどころに欠けるうえ、ストーリー的には心臓病の少年とかほろびゆく種族とか、なんかストーリーがありそうな雰囲気を感じさせながら本当になにひとつなかったので、いろいろ肩透かしを食らってしまった。
ジブリの技術力を無難に使いそれなりにうまく作っているが、やはりなにをしでかすかわからない変態の駿よりは才能のきらめきを感じさせない作品に仕上がっている。
が、誰がみても90点以上はあげられないが、70点から80点は確実にあげられるクオリティなので、深く考えずになんとなく映像を見る分には悪くない作品だ。駿の気まぐれにふりまわされてたらジブリの技術力が腐るし、駿はとんでもない駄作も作る可能性を秘めているからね。こういう無難なジブリ作品が出てもいいとは思う。

でも返す予定もあてもないものを「借りる」と称する小人たちにはジャイアニズムを感じずにいられないですね。


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