魔都紅色幽撃隊 40点

2014/4/10にPS3とVITAで発売した、アドベンチャー＆RPG的なゲーム。
転校生の主人公が幽霊退治してる会社に半強制的にバイトで入れられてぱっつん黒髪ロングのツンデレ少女や巨乳編集長やイケメン眼鏡車椅子と一緒に楽しく幽霊退治しよう的な、GS美神的ななにかそういうの。
ディレクターが『東京魔人学園』シリーズや『九龍妖魔学園紀』の人で、だからぶっちゃけ魔人学園シリーズの新作としかみんな思っていないよね。会話の受け答えが言葉ではなく感情入力で行われるとかそういうシステムもそのまんまだし、みんな魔人学園の新作が久しぶりに出たとしか思っていなかったよね。あの素敵な仲間たちに囲まれてちやほやされ、美少女ハーレムもホモエンドも思いのままのゲームが帰ってきたって、みんなそう思ったよね。僕もそう。今井監督の作り出す変なところに力の入った世界観に浸りたいと思ったんだよね。
実際、『九龍～』のスタッフの多くが参加した『東京鬼祓師』という、システムも雰囲気もそっくりな実質的な続編ゲームがPSPであったんだよ。それは普通に面白かったんですよ。でも今井監督が参加していないせいで、全体的にあっさりしていて、なんか薄かったですよ。げんにぼく、ストーリーもキャラも覚えていないんですよね。無難に面白いけど記憶に残らない、そういうゲームだったんです。それで実感したわけですよ、「ああ、あれはやはり今井監督がいないと作りだせない空気なんだな」って。
実際、魔人学園も九龍も欠点自体はあったんですよ。戦闘ぬるいしゲームバランスいいかげんだし作業的な部分多いし前半に比べると終盤が駆け足でいい加減だしストーリーの大筋自体は凡庸だし。でもなんというか、細かいところにまで気を行き届かせた雰囲気作り？　無駄な全力感？　そういうのが独自の作品世界を作り出していて、面白かったんですよね。無駄なトリビアとかも豊富で。

で、そんな今井監督の最新作が数年ぶりに登場、今度は幽霊退治だってことで、んまあなんとB級なテーマ！　八十年代的な無駄に濃い怪しげな雰囲気もバッチグー！　怪しげなオカルト雑誌の編集部でバイト！　ヒロインが黒髪ロングツンデレセーラー服とか、よーし父さんもうさゆりたんを全力でペロペロしちゃうぞーとかはりきらざるを得ないですよね。僕もそうでした。しかも今回の感情入力は五感入力とやらで、五個の感情と五個の行動を組み合わせた25個+無視の全26通りも選択肢があるとかいうの。しかも行動が「味」とか「嗅」とかなの。よーしもう父さん「愛」+「味」でペロペロしちゃうぞーってそう思うじゃない？　キャラデザがなぜかうたプリの人で「おいおいなんで乙女ゲーの人なんだよ」と思ったけど実際のキャラ見たら「よーしペロペロしちゃうぞー」って思ったわけじゃない？　むしろ男キャラのほうが印象弱いけど大丈夫か？　とか心配になったじゃない？　これじゃ僕の蓬莱寺きゅんペロペロできないよって思ったじゃない？
で、戦闘が敵味方同時行動で予測し動く？　おいおい斬新みたいな顔してるけどいまさら『ヴァンダルハーツ2』か『ガンパレードマーチ』のパクリかよ十年遅いなおいどっちもバランスとか思考ルーチンでコケてた気のするシステムだけど大丈夫かよとか心配にもなったけど、もともと魔人シリーズは戦闘適当だからいいか雰囲気雰囲気とか思ってたわけじゃない？

なのでまあ、プレイ前は期待感ばっちりだったですよね。
で、まあそんな期待に包まれながら早速（同日発売のスパロボを一通りクリアしてから）プレイ開始！
で、三話目ですでに気づいたわけですよ。
……あれ？　うん……うん……
よし、これつまらないな！

いちいち確認が多く、デフォで「いいえ」に合わさっていたり押しにくいスタートボタンをしょっちゅう強要してくるインターフェイス。わかりづらいけど結局頭の悪いAIを後ろからどつくだけの戦闘バランス。異様にもっさりしているうえになぜかスキップできない戦闘演出。何回もやらされる仲間との訓練とやはりなぜかスキップできないその演出。うわー、なんというか、センスない上にテストプレイちゃんとしていないいい加減な仕様だなあって一発でわかりましたよね。

でもまあいいんです。魔人は多少戦闘がつまらなくても雰囲気ゲーだから。仲間らちやほやされるゲームだから。だから仲間との会話を楽しめればいいんですけど楽しめねえんだよなんだこれ!?
なんかまずストーリーが物凄い勢いで進むんですよね。アニメみたいに全十三話構成で、幽霊出た→事件の概要を探る→その過程で新たな仲間登場→幽霊退治→後日談という、シリーズ伝統の流れなんですけど、まず幽霊話がすげーどうでもいいエピソードばかりで幽霊の出自とか恨みとかほとんど探らないの。探っても一瞬で終わるの。
で新しい仲間が出てくるけどすげー適当に出てくるの。で唐突に一緒に戦って終わったら即仲間なの。おい、もうちょっとその話の事件に仲間のエピソード絡ませろよいままでずっとそうだっだろう？　で、その新しい仲間と主人公もほとんど会話しないのにすぐ仲良くなってんの。いままでの会話ごとに仲間になるかどうかの積み重ねのどきどきまるでないの。で、ほかの仲間と新仲間の会話もほとんどないの。モブか、お前は。
そもそも主人公の感情入力もなんか思ったのとちがう行動とるの。相手と会話してて話ふられたから「愛」+「視」とかで返答すると主人公がなにすると思いますあなた？　なんか風景とか見てるんです。ちげーよバカ。会話中になんで風景めでてんだよキチガイか。
短く薄っぺらい話にトンチンカンな回答、そしてなにも面白くないオチ。合間に挟まるストレスフルな戦闘。もうね、これ普通にクソゲーじゃないすか。話がつまらない時点で完全にアウトじゃないですか。ストーリーが冒頭から最終話まで適当かつ早送りな展開でマジでどうでもいいんすよ。どうなってんすかこれ？
仲間は外見と性格はキャラたってんすよ。でもストーリーにほぼかかわらないうえに戦闘での使い道もないんすよ。使い道ないっていうか戦闘は主人公がダッシュで殴るだけのガンジー的なゲームなんすよ。だから「あれお前いたの？」なんすよ。そして仲間集まったら二時間後くらいにはゲーム終わってんすよ。つうか物理的にまずプレイ時間が短いンスヨ。話がうすいうえにプレイ時間が短いンスヨ。つまり全部手抜きなんすよ。なんすかこれ？

グラフィックとか凄いいいんすよ。基本紙芝居ゲーなんすけどキャラがアニメみたいにぬるぬる動くんすよ。いやまあ最近わりと珍しくはないんすけど、動きにキャラの魅力とか出てるんすよ。コンフィグが社用車だったりとか、ステータスが仕事の評価表だったりとか、そういう小技もきいているんすよ。こういうところはいいんすよ。鬼祓師で物足りなかった部分はあるんすよ。でも中身スカスカなんすよ。なんすか
これ、手抜きっすか？　おまけになんかバグがもろもろ見つかるんです。手抜きっすか？

なんかこう、むなしくなるよね。
魔人は初代の剣風帖は「売れそうにないマイナーゲームがなに全力出してるの!?」というこだわりのつくりこみだったし、二作目の外法帖も二作目にしてすでにマンネリで「またお前か」みたいな展開だったしシステムも新しくつけたしたのが全部無駄でバグまみれだったけど、でもボリュームは抜群で全力感には満ちていたんです。九龍も変なゲーム作ろうという全力感に満ち満ちていたんです。
でもなんすかこれ？　手抜きっすよね？
なんかもう、どうなんだろうね。全力で作って微妙な感じなのと、あからさまに手抜きでつまらないの、どちらがクリエイターに絶望しないで済むんだろうね？

とにかくね、監督がシナリオライターの中心でもある作品なんだから、まずちゃんとストーリーつくれと。シナリオ書けと。ほかのダメな部分は多少は目をつぶってもいいけどここはダメだろと。映像も音楽もいい仕事しているのに監督の部分が一番手抜きって、これあかんだろと。納期だか予算だかしらんが、そこは明らかにやる気で補える部分だろと。
もうとにかくガッカリですよ。数年に一度しか新作出さないのに、その新作が失敗作ならまだしも手抜きって。売れないゲームでもついていけないようなゲームでもいいけど手抜きって。手抜きってあなた。手抜きじゃないすかこれ。手抜きっすよ。つうかしつこいけどストーリーが短く薄っぺらくそして純粋につまんないんすよ。ホント頼みますよ。そりゃゲームクリエイターは監督面した奴からダメになっていくという法則はあるけど、お前頼むよ、ホント。ゲームで前に出てくるディレクターやライターはほかのスタッフの手柄を我が物顔で自分のものにしているだけってよくいいますけど、それなんすか？　あんたまでそれなんすか？　いま僕の中の評価が一気にその近くまで下がりましたよ。というかいいから多少無理してでも帝戦帖作ってくださいよ。魔人学園さっさと完結させてくださいよ。いや、それは無理か。でも作れよ！

というわけでなんか細かいゲームシステムや内容の不満はいろいろあるけど要約すると「手抜きやめろ」の一言に集約されるゲームだった。ほんともうそういうのマジやめてくださいよ。