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うな風呂

やる気のない非モテの備忘録

大神  75点

2007年12月02日 | ゲーム日記
PS2。06/4/20発売。メーカーはカプコン。開発元はクローバースタジオ。
ネイチャーアドベンチャー、とか書いてあるが、要するにゼルダの伝説的ARPG。
公式サイトはここ

百年の封印を破り復活したヤマタノオロチを倒すため、ナカツクニの大神にして狼であるところのアマテラスが大冒険するゲーム。

公式サイトなどを一見してわかるとおり、和風の特殊なグラフィックが非常に目を引くゲームだ。実際に動かしてみると、広大なフィールドがすべてこのクオリティであることに圧倒される。これは一見の価値があるというか、このグラフィックを一目見るためだけにプレイする価値がある。
が、見た目だけでなく、作りこみの丁寧さも半端ではない。ゼルダの伝説に比肩しうるクォリティのARPGというのをはじめて見た気がするぞ。
犬が主人公というのがまず目新しいが、そのアクションもまた非常に犬らしく、草原を走ると気分はとても犬である。イベントやムービーでも、アマテラスの一挙手一投足のとぼけた犬らしさがたまらない。言葉が通じているようで通じていないようで通じている辺りがとても犬だ。実に犬ゲーである。
この犬が駆け抜けた場所に花が咲いていくという演出が、非常に素晴らしい。走るだけで神の力を持っていることを誇示できている。

戦闘は、ゼルダの伝説などとは違い、フィールドをうろついているお札に触れると、周囲に結界がはられ、戦闘開始となる。要はシンボルエンカウント形式ということだが、画面が暗転せずそのまま戦闘フィールドになることは評価したい。
しかし、この敵を避けることが容易であり、中盤には敵が寄ってこなくなる装備も手に入るため、また敵を倒しても経験値はなくお金だけなので戦う旨みがないため、ほとんど雑魚と戦うことがなくなってしまう。
これがゼルダのようにフィールドをそのまま敵がうろついているタイプなら、通り魔的に気が向いたときに戦う気にもなれたのだが、エンカウント方式だとどうしても面倒くささが先に立ってしまう。
フィールドの圧倒的クォリティーを保ったまま、敵を表示させることが出来なかったのだろうが、残念なポイントだ。

経験値がないならどうやってパワーアップするのか?
人助けだ。いや、人だけじゃなく、動物や植物など、万物を助けることだ。
例えば困っている人を助ける。枯れた木を咲かせる。動物に餌をあげる。これらの行動によって「幸玉」というものが溜まる。この幸玉を消費して体力等をあげていくのだ。神の力とは信仰に比例する。神としての施しが万物を幸せにし、その幸せによって力を得る、という世界観につながっているのがうまいポイントだ。
ただし、逆を言えばいちいち人助けとかをしないといけないので、作業だと思ってしまうと途端に面倒くさくなる。しかも、本作では戦闘の難易度は非常に低く、たいして強化しないでも余裕でクリアできてしまうのでなおさらだ。

今作の最大のポイントは「筆しらべ」と呼ばれるシステムだ。
これは、三次元のフィールドに二次元の落書きをすると、それがそのまま立体化して具現化するというもの。橋のない川に、橋を描いたら橋ができる。夜空に点を穿つと星になる。円を描けば日が昇り、三日月を描けば夜が来る。
なんとも遊び心にあふれているし、こんなことが可能だというのには素直に驚く。素晴らしい発想と技術だ。この筆しらべが強化されるごとに行けるフィールドが増え、物語が進んで行くわけだ。

ストーリーや登場人物は、日本の昔話に準じている。スサノオ、クシナダ、かぐや姫、すずめのお宿、ウシワカ、弁慶などなどで、敵もヤマタノオロチや九尾の狐を筆頭とした妖怪たちだ。日本昔話の闇鍋というか集大成というか、そういう世界観だ。どことなく懐かしく癒される。

こうした世界観やグラフィックに支えられ、主人公が犬であるというアクションの面白さもこみで、最初の十時間はものすごく面白い。こんな凄いゲームがあったのかとため息が出るばかりだ。まさに神がかったゲームだと思った。
のだが。
だれるのだ。
戦闘の難易度の低さのせいか、あるいは主目的に欠けて単調な中盤以降のストーリーのせいなのか、やや長めのロード時間のせいなのか、グラフィックに見慣れてしまうせいなのか、単に長いからなのか、途中からはやや醒めてしまい、ともあれ、惰性でプレイしているような面がたしかにあった。

今作の製作会社であるクローバースタジオの前作『ビューティフルジョー』でも、実はまったく同じ感覚を味わった。グラフィックは凄い。つくりこみもたいしたものだ。製作者の愛もあふれている。やりこみ要素もたくさんある。
しかし、アクションゲームなのにクリアまでが長すぎて、なかなか気軽にプレイする気にならないし、後半は疲れてだれてしまうのだ。サービス精神が旺盛なのは確かなのだが、そのサービスが裏目に出るといった感じだろうか。この会社のゲームは、やっててとにかく疲れるのだ。

クリアまではだいたい25時間かかったが、極めようと思えば100時間はかかるだろう。
それをやらせてくれるような気楽さ快適さがない。
世界観にほれこんだ人にはこのうえもない名作となるだろうが、そうでない人間には、やや詰めの甘い、冗長な作品と感じてしまうだろう。なんとも惜しい作品だ。
グラフィック・世界観・犬においては本当に最高なので、そこに惹かれた人間には是非ともおすすめしていきたい。
要するに、ぼくは猫派なのだ。

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