うな風呂

やる気のない非モテの備忘録

うなぎとSRPG 21 僕にその手を汚せというのか

2010年05月27日 | ゲーム日記


97年末のサターンの怒涛の名作攻勢もむなしく、すっかりPSの天下となっていた98年。
その圧倒的具合はSRPGにも見て取ることができる。まずタイトル数がちがう。
が、しかしそのタイトル数に反比例して、ジャンルのマンネリ化が激しく進んでいくのもこの時期のPSによってである。



3月26日『レブス』(アトラス)
アトラスが天野喜孝をイラストに招き、その世界観を生かして作った本格派SRPG。
天野氏の独特のビジュアルをここまで再現しようとしたゲームはこれが初なのでは?
ビジュアル同様、ストーリーもなかなか本格的で、戦記物ではないが、二人の主人公が、それぞれに正しい道を選ぼうと進みながらも、周囲の敵たちも決して悪人ではなく、己の正義を貫こうとする姿はまさに正統派。

ゲームシステムも、TOをベースに、極端な三すくみや、多彩なモンスター召喚、カルティアという素材を魔法や召喚で常に要求されるカルティアシステムなど、なかなか面白いものが揃っている。
が、『魔神転生』から続くアトラスSRPGのお約束なのか、そんなシステムのいちいちをまったく理解せずとも、適当にいい装備つけた主人公が一人で突っ込んでいけばたいていなんとかなるという、実にいいかげんなゲームバランスがいろいろと台無しにしていた。

そのためなのかなんなのか知らないが、やたらと中古があふれ返り、全国各地で500円、時には100円で売られる姿が目撃され、天野ファンを悲しくさせた。
あまりに投売りされているのでクソゲーのような印象が強いが、一部のゲームバランスが致命的におかしいだけで、ストーリーも操作性も水準以上には達している佳作なのはまちがいないのだ。天野ファンなら抑えておきたい一本。



4月2日『ブリガンダイン幻想大陸戦記』(イースリースタッフ)
国取りSRPGの決定版とも云える快作。
当時、PSはイメージCMばかりをテレビで流しており、今作のCMもおっさんがブリと大根をもって「ブリガンー、ダインー」と連呼するだけという、非常に意味不明なものとなっており、まさか作りこまれたSRPGだとは思われず、非常に損をし作品でもある。

『ドラゴンフォース』のように五国の中から一人を君主に選び、その国で大陸統一を目指すというものだが、戦闘部分がかなり簡略化されていた『ドラゴンフォース』と異なり、かなり本格的なヘックス戦となっている。
内政部分こそ簡略化されているが、モンスターの生産、クラスチェンジなどもあり、どちらかというと『マスターオブモンスターズ』を正当進化させたような作品と云える。

豊富なユニット郡と本格的な戦闘、魅力的な登場人物たちと、武将集め。テンポの良さとインターフェイスの優秀さも含め、『バハムート戦記』型のSRPGとしては一つの完成形とすら云える。比べられるゲームがほかに少ないため、2010年の現状を持っても最高クラスのSRPGだ。

イベントの少なさや、終盤戦の物足りなさなど、一部の不満もあったが、のちにパワーアップ版である『ブリガンダイン グランドエディション』も発売。わずかな不満までも払拭され、まさに国取りSRPGの最終形態と云っても出来となっている。
グランドエディションはアーカイブス化されており、PS3やPSPで遊ぶこともできるため、国取り好きは今からでもプレイすべき。



6月18日『東京魔人學園剣風帖』(アスミック・エース エンタテインメント)
隠れた名作として有名すぎてもはや隠れていなくなってしまった『東京魔人學園』シリーズの第一弾。
菊池秀行や夢枕獏などの学園伝奇小説にインスパイアされ、数々の怪しげな設定・クリーチャーが惜しむことなく投与されたB級大作。

ゲーム進行はアドベンチャーパートと戦闘パートに分けられ、戦闘パートがSRPGとなっている。このSRPG部分は、さして出来が良いわけではない。この時期の基本としてTOのような斜め見下ろし画面を採用しているが、高さの概念が戦略影響するわけでもなく、基本力押しでなんとかなってしまう。仲間のレベルもすぐにあがるし、フリーバトルでくらでもあげられるため、ゲームバランスなどというものははじめから放棄したようなところがある。
戦闘ではいくつかの技から一つを選んで戦うスパロボのような方式だが、強い技を使うときに特に消費されるMPがあるわけでもなく、戦闘アニメーションもこの時期のPSゲームとしては稚拙な方で、戦闘だけを取り出して考えると決して誉められた出来ではない。

ただし、無駄な難易度でストーリー進行を妨げることなく、むしろかっこいいキャラたちが大暴れするところを描くことに徹したとも云える簡略さはこれはこれで爽快で、レベルがあがるごとに増えていく様々な技でキャラの強さを確かめ、キャラ愛を深めていくことには一役も二役も買っていた。そう、戦闘シーンはあくまでキャラを引き立てるイベントに過ぎないのだ。

ではどこが優れているのというと、アドベンチャー部分。
あらゆる会話に対して、感情入力システムにより九つの選択肢を用意、それによって随時キャラの好感度が上下していく。これによってただのなんてことない会話でも作業感をんじることなく楽しむことができ、いちいち顔を赤らめたり笑ったり怒ったりするキャラの反応をニヤニヤと楽しむことができる優れもの。その会話の積み重ねによってとんどんと仲間が増えていく姿もコレクター魂を刺激してやまない。
一話一時間程度で語られるストーリーは、学園ドラマの定番であるような事件をいくつも起こしつつも、能力者だのクリーチャーだの邪神だのがこれでもかとテンコ盛りされた怪しげで濃密な空間を構成。
「ジュブナイル伝奇」という題目そのままに、怪しげで、しかし爽やかな青春模様を満喫できる。

決してなにか一つが突出しているという作品ではないのだが、全体的に、製作者がこの世界を愛してやまないのだということがわかる細やかな作りこみと、これでもかという様々なもののぶちこみ具合、男も女も先生もなにもかもにちやほやされながら、悩み苦しみながらもすべてを救っていく展開はカタルシスの連続で、サクサクした戦闘と相まって、プレイしていてとにかく気持ちがいい。
こんなにも怪しげでこんなにも気持ちの良い作品は滅多にない。

登場するキャラも、どいつもこいつも怪しげでありながら最高に気持ちの良いやつらばっかりで、女は可愛く、そして男も可愛く、ギャルゲーとしても腐女子ゲーとしても非常に高いポテンシャルを秘めている。
難を云うなら、普通にプレイしていると一周目ではまずヒロインにふられるということ。しかしこのヒロインの態度が藤崎詩織同様の恐怖のカリスマ制を生んでいたこともまた事実であり、やはりキャラの魅力においてはダントツの本作であった。
独特の画風ゆえに敬遠されることも多いのだが、一度プレイすればこれ以外にはありえないと思うはずなので、是非プレイして欲しい。高校生活を題材として作品としては、間違いなく最高峰の一本。
DSにも移植されているので、よければそちらでも。いくつかバグがあるが、一通りプレイする分にはそれほどの支障はない。が、やりこむには支障があるのでやはりPS版を買うべきではある。




7月30日『Epica Stella』(ヒューマン)
今はなきヒューマンの佳作。「エピカ・ステラ」と読む。通称「海老カステラ」。とてもまずそう。
ロボット乗って戦うファンタジーSRPGで、そのキャラデザインのしょぼさ、ロボットのだささ、ポリゴンのひどさからクソゲー臭がぷんぷんと漂っているが、じつはこれがよく出来ている。
サイドアタックやバックアタックの効果が絶大であるため、敵との距離を考えた位置取りや味方を壁にした配置などが必要となり、いいかげんな戦い方ではクリアできないのだ。どんなに強いユニットでも連戦すると気力がなくなり無力化してしまうというシステムと相まって、本気で考えさせられる作りになっている。

シナリオも大きく三つに分岐し、王道の王国編や反乱の帝国編、超展開の連続となる第三シナリオと、いずれもまったく違うストーリーとなり、単純に三回楽しめるというボリューム。
見た目のしょぼさと引き換えに、戦闘もロードがなくハイスピードに展開され、幕間のキャラ会話などで魅力の掘り下げも十分。
見た目がどうにもしょぼいという以外は、全体的によくできた隠れた良作。

クォータービューのマップ、側面や背後を意識した戦闘、会話つきの戦闘シーン、ロボットありのファンタジー、というあたりから、スパロボ外伝の『魔装機神』を意識したような感じがしたが、実際はどうだったんだろうか?
『エピカ・ステラ』『ライアットスターズ』『斬魔超奥義ヴァルハリアン』の三銃士を制して、はじめてこの時期のSRPGを知ったと云えるだろう。



10月1日『ガーディアンリコール ~守護獣召喚~』(エクシング)
なんかこの時期のアキバでよく投売りされていたので買った。
戦闘要員であるガーディアンを直接操作できないのが特徴だったような気がするが、特に困るようなこともなく普通にクリアしたので印象がうすい。
どちらかというと、当時人気のエロ漫画家二人(蘭宮涼と龍炎狼牙)がキャラデザしたことが売りであったが、別にエロ展開があるわけでもないPSではたいした意味がなかった。



10月15日『スペクトラルフォース2』(アイディアファクトリー)
前作からわずか一年で登場の続編。
前作とほぼ同じ時代を舞台に、まだ続いていた戦乱を描く。
システム等は基本的に1をそのままなのだが、全体的に大幅にパワーアップさせたような出来となっていて、1のもつ未完成感やスカスカ感をなくした結果、ようやくまともに遊べるゲームとなった。というかストーリー的に1とほぼ同じため、1はβ版だったのだと考えるのが妥当。

まともにゲームになったため、キャラの魅力を満喫することができ、それだけで面白く感じるという作品で、この後、やたらと出まくることになるスペクトラルシリーズの到着点とも云える作品。
この作品さえなければみんなスペクトラルシリーズのことなどきれいさつぱりに忘れることが出来たのに、なまじ今作の出来がそれなりによかったために、以後、長いことアイデアファクトリーの輩出しつづけるクソゲー群についていってしまう冥界の民を生み出した罪深き作品。
しかし、みんなはこの作品の後のストーリーやキャラのその後が知りたくてシリーズを買いつづけているのに、話はわき道にそれたり過去に戻ったりリメイクばっかりしたりでなかなか続きが語られることはなく、「結局スペフォ2以外はやらないでいい」という結論を生むにいたった。

好き嫌いの問題はあるが、出来としては『ドラゴンフォース』に匹敵するものとなっており、『ブリガンダイン』と共に国取りSRPG好きとしては抑えておきたい一本。
ただし、先にも書いたとおり、ここから後の作品についていくことは無謀なので、絶対に今作以外のアイデアファクトリー作品をプレイしてはいけない。


これら以外の98年のPS作品は以下。

1月29日『バックガイナー 覚醒編』(ビング)
『はるかぜ戦隊Vフォース』のビングが送るアニメチックSRPG。三部作予定だったが、完結することはなかった。サターンでも出ていたが書くのを忘れていた。

2月5日『エクサレギウス』(イマジニア)
シュヴァルツシルトシリーズの遠未来を描いた番外編的作品。

2月26日『毛利元就 誓いの三矢』(コーエー)
英傑伝シリーズの三作目。たしか大河にあわせての毛利元就だった気がする。サターンでも出てる。

3月19日『ゼルドナーシルト スペシャル』(コーエー)
サターンの名作にボイスと微調整を加えた移植版。サターンのわずかな優位性がまた一つ崩れた瞬間。

4月23日『天使同盟』(TGL)
しつこくTGLのSRPGは続く。TILKの続編となるロボットSRPG。タイトルが気になるので何度も買おうとおもったが、結局買わなかった。TGLにおびえていたあの頃のかよわい僕だった。

6月25日『銀河お嬢様伝説ユナ ファイナルエディション』(ハドソン)
サターンの『銀河お嬢様伝説ユナ3 ライトニングエンジェル』の移植版。名のとおり、まさしくシリーズのファイナルとなった。

6月25日『精霊召喚 プリンセス オブ ダークネス』(翔泳社)
ギャルゲー風SRPG。この頃になると見ての通り、SRPGにはキャラゲーが増えてきたのでうなぎのスルー力も上がった。

7月30日『バウンティソード ダブルエッジ』(パイオニアLDC)
バウンティソード三部作の第二作目。もちろん三作目が出ることはなかった。

8月6日『SDガンダム G GENERATION 』(バンダイ)
スパロボの向こうを張るもう一本の看板ガンダムゲー、Gジェネシリーズの第一弾。よくしらないのでスルーしたが、SFCのジェネレーションシリーズの続編にあたる。
ガンダム名場面の再現と、やみくもに多いモビルスーツの登場に力を絞ったのが功を奏してヒット。以後、定番化する。

8月6日『鋼仁戦記 GO-JIN SENKI』(トンキンハウス)
タイトルとパッケージがおっさんくさいSRPG。それ以外はしらない。

9月10日『封神演義』(コーエー)
タイトル通り、封神演義をSRPGにしたもの。ジャンプのアレではなく原作からのゲーム化。宝貝による地形破壊や大範囲攻撃が売りだったが、おおむね普通のTOコピー。よくもわるくも癖がない。ずいぶんあとに途中までプレイして飽きた。

9月17日『シミュレーションRPGツクール』(アスキー)
サターンでも出てたRPGツクールのSRPG版。投売りで買ったが、べつにツクーラなかった。なぜかFEでもTOでもなくバハムートラグーンのパーティ制バトルを採用しているのが謎。

9月23日『織田信長伝』(コーエー)
英傑伝シリーズの四作目。出ていたことすら知らなかった。この後、PCで五作目の『曹操伝』も出ている。

12月10日『スーパーロボット大戦F』(バンプレスト)
サターンからの移植。サターンのもつ優位制がまたしても崩れ去り、すでにサターンユーザーのプライドはずたずたであった。が、音楽とロード時間においてわずかにサターン版の方が優れており「やはりサターンの方が上だ!」とわずかな矜持を守ったりもした。

12月17日『新世代ロボット戦記ブレイブサーガ』(タカラ)
タカラ版スパロボ。それ以上でも以下でもない。版権の都合上、バンプレストでは出せない勇者シリーズやボトムズ、ダグラム、ガリアンが出ているため、勇者シリーズ好きに根強い人気がある。特にゲーム用に新しい勇者シリーズという設定で書下ろされたオリジナルロボ「聖勇者バーンガーン」の出来がよく、好評を博している。ちなみにその好評のシナリオは『BURAI』や『四八(仮)』などで有名な飯島健男が書いている。スパロボ好きなのでいつかやろうと思ったまま、やらないでここまできてしまった。綺麗だった頃の飯島健男をより知るためにもプレイしなければ……という気はする。


結局、この時期にはSS・PS戦争の趨勢は決してしまっていたため、SSが奮闘しているとはいってもPSをやらざるを得なかった。僕はPSをプレイしながら「汚れてしまった……僕は汚れてしまったんだ……」と涙を流した。流しながら年末に発売したドリームキャストはろくなゲームが出ていないのでしばらくスルーした。






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7 コメント

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どこまで (くろっきー)
2010-05-27 23:39:15
続くんですか?このシリーズ!
一番欲しくなったのは久遠の絆シリーズです。(SRPGじゃないし)
うなぎさまのSRPGトータルプレイ時間はいったい何時間
なんでしょうか。
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Unknown (じゅんきち)
2010-05-28 01:52:09
ついにきた魔人学園!

ついにきた~!

(*´Д`)ば・ん・ざ~い!ぶんざい!



いやはや、とてもナイスな記事を読ませてもらったよ…

だからおじさん…今夜はハッスルしちゃうぞっ!!

(;´Д`)イィィィ~ヤッッハァァァ~!!!パカラッパカラッ!(乗馬)
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Unknown (うなぎ)
2010-05-29 13:13:55
>くろっきーさん
どこまでも……どこまでもだよ!
久遠の絆はとりあえずプレイしておけばいいと思うよ。


>じゅんきち
ああ……今夜も旧校舎でパーティーだ……
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Unknown (じゅんきち子)
2010-05-29 19:01:20
あ…あのっ!

う、うなぎ先輩っ!

あ、あの…その…放課後………きゅ、旧校舎裏で待ってますっ!

うなぎ先輩の大好きな佐久間をたくさん用意して待ってますっ!

(;´Д`)や、やだやだアタシったらとってもダイタ~ンスリィ~ッ!や、流鏑馬ぇ~っ!パカラッパカラッ!(乗馬)ヒュン!(恋の矢)ブおっと、電車到着

またね~☆
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Unknown (うなぎ)
2010-05-30 02:13:01
ふっ……佐久間だって?
君はなにもわかっていないね……
僕は凶津派だ。凶津煉児派だ。
悔しければ君もスキンヘッドでファッキンファッキン云いながら流鏑馬することだな。
おっと、米が炊けたので失礼するよ
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Unknown (じゅんきち子)
2010-05-30 19:58:33
あ、あたし昔、ほんとにスキンヘッドにしてた事があったんです…

そして、いつも心にファッキンスピリッツを持っていたんです…

そしたら…街ゆく人達があたしを避けて通るようになったんです…

そんなの…そんなの寂し過ぎるじゃないですかっ!?

…寂しんぼなあたしは逃げたんです…流鏑馬に逃げたんですっ!

だ…だからっ!

(;´Д`)ハイヤ~ッ!パカラッパカラッ!(馬)ヒュンッ!(矢)ザクッ!(当)ファッキ~ン!(喜)



おっと、深海魚図鑑を見る時間なんでまたね~☆
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Unknown (うなぎ)
2010-05-31 21:40:42
ていうかファミコンの独眼竜正宗の流鏑馬超面白かったよね。あのゲーム、敵と戦争している時間よりはるかに流鏑馬してる時間が長かった。
あと、当時は伊達正宗のこと全然知らんかったけど、小十郎のオカンぶりとか、実母のうざさとか、秀吉のわがままっぷりとか、なにげに凄いよく出来てた気がするお
ですよね、独眼竜ファッキンじょんきち子さん!
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