うな風呂

やる気のない非モテの備忘録

ロゥド・オブ・デュラハン  紫藤ケイ  う

2015年01月07日 | 日記系
親しくしていた双子の姫が死の顛末を探っていた傭兵アルフォンスは、探り当てた屍術師に捕らわれてしまった。そこに現れた謎の少女リィゼロット。漆黒の鎧を身にまとい、純白の大剣をふるう彼女は、死を弄ぶ人間を葬る精霊デュラハンだった――第三回「このライトノベルがすごい」大賞受賞作

あ、はい、ゲームですね。
大筋と設定だけ聞くとそこそこ面白そうにも見えるんですが、その間を埋めるディテールというか話を盛り上げる演出が足りず、陰惨な事件も悲惨な生い立ちも「なんでそのタイミングで語り出すの?」というような、物語というより「設定を説明しているだけ」というような感じになってしまっている。事件が起きたと思ったらすぐに核心に迫ってしまい、それから戦闘シーンに入ってだらだらと続くというのかまったく盛り上がりに欠ける。しかもその戦闘シーンもがんばってどう動いているのか書いているけど、アニメやゲームの動きを文章化しようとしているから冗長なだけで伝わらないという、ラノベのアクションシーンで典型的かつもっとも悪いパターンのそれだった。
しかしそうした典型的なラノベとして読みやすいエンタメに徹しているならまだしも、ダークファンタジーやろうとして無駄に堅苦しい表現をしようとして読みにくくなっている。しかも最初の50頁くらいで力尽きて中途半端な感じになっているし。
ファンタジーとしては、死術とかいうのがあまり説明されずに万能すぎてどうかと思うし、精霊になる方法があまりにも簡単というかいい加減すぎて「なんだそれは」という感じを抱いてしまう。
全体的に、ゲームなりアニメなりでは映像の力で成り立っていたかもしれないことを、文章独自の力を借りずに小説でやろうとしては破綻する、というあまりにもありがちな失敗作。物語の大筋はこのままで、無駄なキャラを刈り込み、一人ひとりのキャラとエピソードを丁寧に書けばそれなりの作品になったかもしれないが、現状ではあからさまな設定倒れ、企画倒れの作品でしかない。率直にいってしまえば漫画原作者、アニメの脚本家等でなら才能を発揮する可能性がないとはいわないが、小説家としてはまったく向いていないと言わざるを得ない。
また、イラストも表紙はなかなか悪くないが、中の挿絵は残念クオリティなものが多く、そこもガッカリポイントだった。


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