イキルキス | |
舞城 王太郎 | |
講談社 |
ある日突然、クラスメートの女子たちが原因不明の連続死を遂げ、いっぽうそのころ、僕は倉の中で女の子とちゅうしたりおっぱいもんだり、リストカット症候群の女教師にむりやりフェラさせようとしてやっぱ童貞でいたいからやめたらなんか女の子たちが全員生き返った……『イキルキス』
この世のチンコ的なものを憎んで彼女にDVしたりよく知らないクラスメートのタマをつぶしたり自分のタマをつぶしたり幼児強姦で捕まった男をかばってからチンコつぶそうとしたりしながら天才的な絵を描いて刑務所生活を送っているけど子供はみんな鼻クソを食って生きているよ……『鼻クソご飯』
玉突きの大事故の現場に遭遇したぼくの家族は、父親の英雄的行動によって事故の被害が抑えられるのを見ていたがそれが原因で夫婦仲がぎくしゃくして離婚したり弟がロッカーになったり偽善的になったり自分はいろいろあって小説書いてたりとにかく家族みんながいろいろ大変な人生を送って散々だったけど、みんななぜだか満足げだしぼくはバイトの面接で変な経歴のやつがきてもそれだけで落としたりしないよ……『パッキャラ魔道』
以上三篇収録
感想を書く意味すらないんじゃないかというこのあらすじの圧倒感。なにいってるんだかわからないと思うが本当に読んでいてもなにいってるのかさっぱりわからない。
ただ、『イキルキス』の女の子とえろい感じになっているときの中学生男子の即物的な感じとロマンチックな感じととにかくチンコな感じと童貞としてのとまどいと理不尽な世界に対してのよくわからんな独自理論での対応とかむやみやたらリアリティがあるし、『鼻クソご飯』の、とにかくチンコを憎みながら理性より感情を率先して生きている主人公のライブ感あふれる天才性とか、『パッキャラ魔道』のひょんなことから気持ちがどんどんすれちがっていってみんながみんな自分勝手に迷走していてかわいそうなんだけど楽しそうでもあるし人生ってこんなもんだなって感じとか、局所局所で「うわー、こいつすげー」と思ってしまうし、とにかく文章の詰まり方と展開の濃厚さが圧倒的なので、参りましたといわざるを得ない。
普通の天才的な作家って、基本的に常識の通じるこちらの世界にいて、定期的に向こうの世界にいっちゃうから「スゲー」って感じなんだけど、舞城王太郎は基本的に向こうの世界にいて、時々こちらの世界をかすめていくという感じなので、スゲーというより「えええええ!?」という感じで、要するに病人にしか見えなくて怖いのだが、しかし結果的に面白いのだから仕方ないかな。基本的についていけないけど。
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