うな風呂

やる気のない非モテの備忘録

うなぎとSRPG 10 真・SFC無双

2010年05月09日 | ゲーム日記
フロントミッション ザ・ファースト




スクウェアの『フロントミッション』(画像は移植のDS版)
この時期のSRPGの決定打と云ったらこれだろう。
円熟の極みに達したスクウェアスタッフの脅威のドット打ちによる、緻密なヴァンツァー(ロボット)表現と天野美孝イラストの再現により、圧倒的に魅力的な世界観を表現。グラフィックで見せるスクウェアらしさを思うままに発揮した。
二大国連組織の間で翻弄される紛争地域を舞台に、国家の政治に翻弄される一兵士の悲劇を描いたシナリオは重く、ラスボスまで含めて救いのない戦いが続くさまは、ロボットを題材としてはいるがリアルな戦争物として高いクオリティを持っている。と、同時にさわやかなエンディングが印象的でもある。

雰囲気・ストーリーに関しては高い評価をつけられる本作だが、ゲームシステムに関してはいささか甘い調整。
ヴァンツァーのパーツの組み合わせは、一見の印象で受けるほどさして自由度は高くなく、さらに効率をつきつめるとほとんどのユニットが同じ兵装になってしまう味気なさ。
難易度も全体的に低く、マップもあまり凝ったものはなく、ラスボスを射程外からいじめることも容易であり、SRPGとしてはあまり完成度の高いゲームとは云えない。
とはいえ、雰囲気は最高であり、この雰囲気だけでのちのシリーズを作らせ続けたのだと思うと、たいしたものなのかもしれない。
が、いろいろ作られたが結局、最高傑作はこの1なんじゃないかという疑いが濃厚である。

メガドライブユーザーはよくこのゲームと『ハイブリッドフロント』を混同し『ハイブリッドフロントミッション』という架空にして究極のゲームを作り出す癖がある。

ちなみに、今作のプロデューサーである土田氏は、ずいぶん前に触れた元祖ロボットSRPG『飛装騎兵カイザード』のプロデューサーでもあり、ついでに云えば『重装騎兵ヴァルケン』のプロデューサーでもある。
簡単に云うと、オリジナルロボットゲーはこの人がたいてい関わっていると思えば間違いない。ちなみにFF10やFF13のバトルシステムを考えた人でもある。そんな現在のゲーム最前線にたつ人が作ったカイザードをもっとみんなやるべきだとうなぎは思った。

デア ラングリッサー

日本コンピュータシステム



そして問題のメサイア『デア ラングリッサー』
なにが問題かって、要するにこのゲームこそ「完全版ラングリッサー2」なのだ。
どのくらい完全版かっていうと、まずシナリオに膨大な分岐点が加えられ、その総量は2の三倍以上となる80面超。
その分岐も、従来の光の軍勢ルートから、敵対する帝国軍ルートに、闇の軍勢ルート、さらにそのすべてを裏切る独立ルートと、まさにフリーダムな分岐っぷり。
見直されたゲームバランスはさらに良好となり、隠し面などの遊び要素もたっぷりで、まさに完全にして完成された至高のラングリッサー。
その分岐の多さから「最高のSRPG」としていまでも語られることのある、これもまた一つの完成形となる名作だ。
じつは処理能力のおそいSFCのせいで、メガドラ版2より、多少もたつく部分が目立つが、それでもパワーアップした部分が膨大すぎるため、比べようもないほど完全版。
全シナリオを遊び尽くすまで、ゆうに二ヶ月はかかった大作。
かつての味方をぶち殺していく快感をほかのゲームでは得難く、とくにすべてを殺して神をもぶち殺す独立ルートは圧巻の一言。
いまでもプレイして欲しい一作として、迷わずあげることのできる名作。なんだかんだでくせのあるラングリッサーシリーズだが、このデアだけは万人にお薦めしていきたい。

バウンティ・ソード

パイオニアLDC



パイオニアLDCから『バウンティ・ソード』
31歳の飲んだくれおっさんが主人公ということをやたらフィーチャリングしていたリアルタイムSRPG。
やる気をなくしたおっさんがロリコンに目覚めて気力を取り戻すという、ロリコンの夢のようなストーリー。
しかし31歳の飲んだくれはべつに渋くないということを、いま飲みながらこの文章を書いている31歳は思う。
ゲーム内容自体は、リアルタイムのため、マップ開始直後にほとんど帰趨が決してしまうというよくわからない欠点があったが、おおむね悪くはない。悪くないだけで決してよくもない。
31歳の飲んだくれが主人公というところになにかを感じないかぎりはプレイする価値はない。しかし現実の31歳は飲んだくれてても以下略。
のちに三部作として構成されなおし『バウンティソード・ザ・ファースト』としてPSに移植されたが、三部作の三作目は発売されなかった。というかゲーム界において、三部作という単語は三作目が発売されないか、あるいは三部作なのに四作目以降も出つづけるかの二択なので、ぼくはもう、決して三部作という言葉を信じない……信じないのさ……

タクティクス オウガ

クエスト



そしてクエストから『タクティクスオウガ』
あの名作『伝説のオウガバトル』の続編にして、SRPGを変えすぎてしまった罪作りな作品。
前作が大局を見据えた戦略SLGであったのに対し、今作は狭いフィールドでの戦いを指揮する戦術SLGへと変化している。
最大の特徴は、クォータービューによって表現された、高低差のあるフィールド。
15年経った今日にいたるまで、SRPGの基本的なフォーマットとして厳然と存在しつづける、あのタクティクス系マップだ。この、キャラを表現するにもマップを表現するにも、あまりにも簡潔で、かつFEよりは見栄えのする表現がSRPGに与えた影響は大きい。
はっきり云って、今日にのこるSRPGの七割は今作のパクリだと云っても大げさではない。具体的に云うとフライトプランと日本一ソフトウェアとアイデアファクトリーと、ついでにいえばスタジオエゴあたりに影響を与えすぎた。無論、そのパクリの中にも変化球もあれば名作もあるのだが、とりあえず今作の真似しておけばSRPGっぽくなるという風潮を作り出した功罪はあまりにも大きい。

無論、今作のフォーマットがパクられたのは、見栄えが良いからだけではない。単純に今作があらゆる面から名作すぎて、影響を与えすぎたのだ。
高低差を生かしたフィールドの戦略性、成長率に影響を与える多彩な職業、基本殺伐とした魅力的なキャラクター。そしてなにより、民俗対立をあつかった本格派のストーリーと、物語をあまりにも大きく左右する選択肢の数々。一章最後の選択肢で戸惑わなかったものはいるまい。ストーリー分岐を搭載したSRPGは何本もあるが、一つ一つの選択肢にここまでの重みを持たせた作品はほかにない。

キャラクターも、ヤンデレというかヤンデルのカチュア姉さんや、主人公に逆らうだけの幼なじみヴァイス、うっかりするとガチでレイプされる美人姉妹セリエ、どうプレイしても拷問で廃人化する聖騎士ランスロットなど、他のゲームには見られないようなハードな展開をひきずるキャラクターが満載。

膨大なユニット種に、膨大な武器・魔法は、従来のSRPGになかった様々な戦術を生み、地形を生かした戦い方で、プレイヤーに新鮮な驚きと苦しみを与えた。特にWTシステムという、キャラクター各自の素早さおうじてターンが回ってくるシステムは秀逸だった。
ターンという概念がなく、各ユニットごとにポイントが溜まっていき、それがたまりきると行動開始。ポイントの溜まる速さは素早さに応じる、というもので、各ユニット間の行動力の違いを細かく表現するのに成功した。さらにこの数値は武器・防具の重さによっても変動するため、軽い防具で行動回数を増やすか、重い防具で耐えるかなどの装備選びにも深みが増した。

それに加え、多彩な隠しアイテム・隠し要素・隠しキャラ、『伝説のオウガバトル』をすら凌駕する膨大な情報量はあらゆるユーザーを圧倒し、かつそれらを丁寧に理解させるチュートリアルは当時としては群を抜いていた。当時としては珍しい、あまりにもやりごたえのある隠しダンジョンの存在と、そこで手に入る強力すぎるアイテムの数々もは、ただでさえ膨大なプレイ時間をさらに倍増させた。

あまりにも骨太な最高級本格派SRPGである本作が、SRPG界に残した爪跡はあまりにも大きい。本作をデザインし、シナリオを手がけた松野泰巳はまさに天才の名にふさわしいゲームデザイナーだ。

ただ一点、ゲームバランスに関して疑問が残る。
このゲーム、経験値稼ぎが異様に簡単なのだ。トレーニングモードという、仲間同士をあやつって同士討ちさせてればポコポコとあがる。トレーニングモードの使用はまったくの無制限。
単純なレベルが大きな戦力差となる本作において、このトレーニングモードの存在はあまりにも大きい。
トレーニングモードなしで進めていると非常につらく、歯ごたえがある(というかありすぎるのだが)トレーニングモードを無節操につかうと、今度は簡単になりすぎる。
懐が広いという云いかたもできるが、「ゲームバランスはそっちで勝手に調整してくれ」という投げやりな態度にもとれる、複雑な感じだ。
また、トレーニングモード云々をおいても、システム研究が進むにつれて、ゲームバランスを崩壊させるような要素が多数発見され、どうも全体的にゲームバランスに関しては投げやりと云わざるを得ない。
もっとも、これらは名作すぎたゆえに研究されまくってしまったせいで発覚した要素も多く、名作ゆえの悲劇と云えるかもしれない。

いずれにせよ、2010年の今日にいたるまで、総合完成度において本作を凌駕するSRPGはない。FE紋章の謎と並び、未プレイの人間はいますぐにでもプレイ開始すべき超名作。
バーチャルコンソールでも出ているので、是非一度プレイすべき。
ちなみに自分はSFC版ではなく、のちに移植されたセガサターン版でプレイした。こちらはボイスが入っているが、基本的には違いはない。

コーエー定番シリーズ 三國志英傑伝



光栄の『三國志英傑伝』
劉備を主人公に、三国志演義をたどるSRPG。
ストーリーが分岐しており、ルートによっては演義とまったく違う展開が待っているのがポイント。
どさくさにまぎれて三国志もSRPGにしてみた光栄だったが、タイトルが普通の三国志っぽかったのでSRPGであるということに気付けるかかどうかが最大の難関だった。というか気付かなかった。
このシリーズ、意外としぶとく色んな機種に移植されており、PS版かSS版かでSRPGだと気づいたんだったと思う。しかしプレイはしなかった。

バハムート ラグーン

スクウェア



96年にもなると、いよいよサターンとプレステの次世代機戦争は本格化。任天堂もついにニンテンドー64発売を控え、栄華をほこったさすがのSFCも引退を迫られていた。
その時期、プレステへの陣営変更の目論見もあったのだろう、スクウェアは急激な速度で新作を次々とリリース。その中の一本がこの『バハムートラグーン』だ。

竜に食べ物を与えて育て、ともに戦うという、育成SLGの要素を取り入れたSRPGで、次々と姿を変えて成長していくドラゴンの姿が、極まったスクウェアのドット技術により表現されており、ドラゴン好きとしてとても心躍る作品であった。
ゲームシステムは、基本的にはFE式のマップ攻略でありながら、いざ開戦するとFF式のサイドビュー戦闘がはじまるという、とてもスクウェアらしいもの。
4人が1ユニットとなり、さらにそのユニットごとにドラゴンが護衛でつくという、とても多数のキャラを管理するシステムで、編成好きの腕がうずく良システムだった。
しかし、明らかに無理を感じる急激な製作ペースが原因なのか、そのゲームバランスはいいかげんの一言。

序盤はただ易しいだけなのだが、中盤辺りから自軍のインフレが増大し、後半にいたる頃にはどう育ててもドラゴンが不死身化してしまい、いやでもクリアー゛きてしまうようなぬるぬるゲームになってしまう。
ドラゴンの姿も、はじめは多彩であったものが、成長すればするほど育て方による違いは少なくなり、最終的にはだれが育てても同じ姿になってしまうというガッカリ具合。
アイデアは良かったが、明らかに時間が足りなくて作りこみが出来ていない、残念な作品だった。

しかしこのゲームで人々の心に残ったのは、システムだのドラゴンだのではなく、恐怖のヒロイン、ヨヨ王女だ。
主人公と結婚の約束をしたが、帝国にとらわれ助けを待っている、という導入部はいたって普通なのだが、その後、助けにいったら、捕らえられているときによくしてくれた敵の将軍と完全にできあっており、投降してきたその敵将軍と自軍本拠地でギシアン三昧。結婚の約束をした場所に主人公を連れてきて、主人公の目の前で敵将軍といちゃつきはじめ、その理由が「大人になるって悲しいことなの」その挙句、ラスボス戦前には「あたしのこと嫌ってるよね?」と云いながら抱きついてくるなど、女の性を出しまくってやりたい放題し、多数の少年にトラウマを植えつけた伝説のヒロインだ。

実際のところ、自分はべつにこの王女にはショックを受けず、のちに伝説化していることを知って驚いた口なのだが、しかしこのヨヨ王女の例をとってわかる通り、このゲーム、人間関係が変にリアルで錯綜としている。
メインストーリー自体は普通のファンタジーなのだが、幕間で仲間に話しかけることによって展開している、どうでもいいようなサブストーリーがいちいち芸が細かくてキャラが立っているのだ。顔グラフィックもない一兵士で、ステータス的な差異もほとんどないのに、この豊富なドラマ性のせいで、お気に入りになってしまう。
特に、普段は老参謀としてふるまいながら、心の中では乙女口調で主人公への愛を語りつづける老オカマのセンダックや、はじめは二人仲良く「ランランランサー、ヤリヤリ」と云うだけだったのに、ささいなきっかけで少しづつ仲たがいしていくランサーコンビがお気に入りで、メインストーリーの間の、しないでもいい会話によってさりげなく進行していくサブストーリーにおいては、このゲームが最強であると思う。
もう少し時間をかけて練り上げていたら……と思うと非常に残念なゲームだ。




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