うな風呂

やる気のない非モテの備忘録

ジヌよさらば ―かむろば村へ―   75点

2015年11月02日 | 映画感想
元銀行員の高見武晴は仕事で味わった数々のトラウマからさわれない、使えない、欲しくないのお金恐怖症になってしまった。
お金に関わらない生活をするためにど田舎のかむらば村へと引っ越した武晴だったが、村の住人は一癖のある変人ばかりだった。
果たして武晴はお金を使わないで生きていくことができるのか?


松尾スズキ監督、松田龍平主演のコメディ。原作はいがらしみきおの漫画『かむろば村へ』。
松尾スズキといえば「なんでそこでそんな面白いこというの」「でも言いそう。自分でも言っちゃいそう」と思えるような絶妙なタイミングを衝くセリフ回しだけど、今作も実に面白いタイミングで面白いセリフばかりがでてきて、こんなん笑うに決まってるじゃん!
村の人間も一癖ある人間ばかりで「こんな人いるわけないじゃん!」「でもいそう」という絶妙なラインばかりだし、松尾スズキはしょうもない人をいきいきと活写するのが本当にうまい。映画でも小説でもエッセイでもなんでもそう。ひとえに「まともじゃないけどでも生きてる」そんな人たちが好きで好きでたまらないからなんだろうなあ。
本作にはそこまでストーリーらしいストーリーはない。一応、主人公が村長選を通じて村に溶け込むまで、という大きな流れはあるものの、流れもオチも「これからもこういう生活が続いていく」という感じのもので、田舎の村の変な日常を切り取っただけのような、そういう物語だった。
正直をいえば自分にはそこが物足りない面でもあるのだが、しかし今作にはっきりとした大団円的なものを望むのもまた違うしなあ。この辺りは趣味の問題か。

趣味の問題というと、松尾スズキは過剰にエロスとバイオレンスを入れてくるのも芸風だが、正直、バイオレンスは受け入れられるのだが松尾スズキのエロスってどうも受け入れられなくて……ほら……サービスって感じじゃなくて嫌な感じで生々しいからさ……役者の世界はこれくらいフリーダムなのかなって、そういう隔世感が強くて……。今作もまあ、基本乱交かキメセクのいつもよりは控えめだった気もするけど、やっぱりちょっと生々しさが苦手でしたね。後半になったら気持ち悪い変態レイパーが出てくるし……って、お前松尾スズキじゃねえかよ!エッセイとかでもよくいってるけど、なんで強姦魔をやりたがるのかな!?つうか『フロム・ダスク・ティル・ドーン』のタランティーノも変態レイパー役だったし、なんなの?同じ人種なの?……そうかもしれんなあ。

そんなわけで、ひとしきり笑ったのち「おれもダメだけど生きてくか」というような感情が残る、いい映画だった。

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