うな風呂

やる気のない非モテの備忘録

ヤッターマン最終回

2009年09月29日 | ヤッターマン感想
ヤッターマン 1 [DVD]

松竹

このアイテムの詳細を見る






2009/9/27放送の『さらばドロンボー今度こそ解散だコロン』でヤッターマンは最終回を迎えた。

まさかの山本まさゆき版OPからはじまり、ドクロベエの復活、その正体は前作同様のXYZ星人、実は三十年前の記憶が消されていただけのドロンボー(自分たちで)、地球人すべての思いを盗んでいこうとするドクロベエ、最後のビックリドッキリメカ発進、アルバムによるホームシックの平和的解決、ガンちゃんの告白……とお約束のお邪魔。
そして旧作と同じ三叉路で、しかし旧作とは異なるドロンボー解散(簡単にタイムマシンを作るボヤヤンが最高!)涙涙のデータベース0勝168敗1分……そして再結集。怒涛のウソ予告……

旧作からのファンへのサービスと、単品の作品としてのクオリティ、双方を満足させる素晴らしい構成。次週には『ゼンダマン』が控えていたゆえにおざなりに終わった旧作とはちがい、作品のフィナーレを、そしておそらくはシリーズ全体のフィナーレを飾るにふさわしい、王道とお約束と希望に満ちた構成だった。

が、それは構成の話であって、実際に旧番OPを流されると、メロディーと歌声は当然素晴らしいが、新作画面に旧作の音源をそのまんま持ってきたOPは、ミスマッチで古臭く、一言でいうとクオリティが低い。これだったら旧作から映像までもって来た方がマッチしてるし、理想を云うならばもちろんこのためだけに山本先生に歌いなおして欲しかった。

実は旧作の続きだった、という部分にしろ、ドロンボーが記憶を消されてたのはともかく、三十年間をなにして過ごしてたのか、オハナちゃんはどうなってるのか? そもそも旧ヤッターマンの存在は? など、疑問が残りまくる。
別に完全につなげることなど期待していないが、公式な設定でつなげてしまうのなら、もう二、三箇所だけでも「ああ、そことそこがつながるのか!」というポイントを用意してくれれば、グッと説得力が増すのに。

アイデアはいいのに、細かいところをないがしろにしているせいでクオリティが下がる、というのはリメイク一話から続いた問題点であり、結局最後までその癖が抜けなかったのは残念ではある。
また、全編通して音楽面で寂しかったのも悲しい。
OPにしろEDにしろ、一曲一曲のクオリティに文句は無い。
けれどもそうではなくて、劇中である日突然、ヘンな歌を歌いだす、あのミュージカル的な魅力。
『天才ドロンボー』を歌いながらのメカ作りはもとより、詐欺商売での『おだてブタの歌』、唐突に歌い始める演歌調の『天才ボヤッキーの歌』……なにやってるの!?と云いたくなるような癖のある、子供心をつかんではなさない楽曲がなかったのが残念至極だった。


しかし、ラストのウソ予告に代表されるように、終盤では旧作に匹敵する悪ふざけとサービスが復活しており、メカ戦もいよいよ脂が乗ってきていた。
最後のドロンボーメカ、ドロンキングもデザイン・ギミックともにラストバトルにふさわしく(つうかジオングだしねw)、59話のヤッターキングVSドロンキングなどは熱さと笑いを兼ね備えたボカンシリーズにふさわしい名アクションだった。

なにより、シリーズ全体を通して作画が良かった。
特にラストの数話は「テレビでこんなにがんばっちゃうの?」というがんばりを見せてくれており、単純に絵が綺麗なだけでなく、構図やパースにも凝った素晴らしい仕事っぷりだった。この点においては完全に旧作の比ではなく、アイちゃんのかわいさ、ドロンジョ様の美しさが現代に通じると証明されただけでリメイクの甲斐があった。

声優も、はじめは違和感のややあったガンちゃんアイちゃんも、旧作とはイメージの異なる二人を見事に演じきっており、単なる再現ではなくリメイクである本作を象徴するヒーロー・ヒロイン像を作り上げていた。
オモッチャマ役は、中の人が変わったとは思えないほど旧作そのまんまな演技に驚くとともに、後半ではコギャルブタのネートンとの見事な一人二役に声優魂を感じずにはいられなかった。
なによりも劇場版においては1人12役という偉業(というよりもはや異形)すらも成し遂げた山寺宏一さん。天才的な演技力と使い分けははもとより、その声のいずれもがヤッターマン世界にふさわしい、あたたかな演技であり、その優しさには涙を禁じえない。ありがとう山寺さん! あなたがせいたからこのリメイクは存在し得た!

そして三悪のご三方。
ご高齢をおして一年半にもおよぶ見事な演技。お見事でした。
八奈見さんなどは一時期「ちょっと体調が苦しいのかな」と思うような部分もあったのですが、その後は見事に復調し、負けないくじけない何度も蘇るドロンボーっぷりを見せてくださった。
たてかべさんも変わらぬトンズラーはもとより、変わらぬジャイアンっぷりまで披露して楽しませてくださったし、小原さんにいたっては云うに及ばず。往年のように、もいや時には往年以上に生き生きとしたドロンジョ様のお声はもう、存在自体が生きる希望でした。

正直云って、三方の体力的にテレビシリーズでの復活はもう無理かな? と思ってはいますが、テレビ版でのスペシャル、劇場版第2弾、それが無理ならせめてドラマCD化、期待して待ってます(『名曲大全』『カラオケ博覧会』『特訓満漢全席』『平成タイムボカン』……三悪のドラマCDは声優会の至宝だと思う)

自分はなんにつけうるさく指摘せずにはいられない性分のため、不満もずいぶんと並べはした。
ネットの方々でも批判意見が噴出した。
意味のわからない改悪もあり、最後まで解消されない不満もあった。
しかし、最後まで通して見れば、タイムボカンの名に恥じないリメイク作品だった。
なによりも、すっかり希望すらも忘れ去っていた現代に、ヤッターマンを復活させてくれたこと、それだけでもいくら感謝してもし足りない。

ありがとう、ヤッターマン!
ありがとう、タツノコプロ!
ありがとう、よみうりテレビ!

見事なフィナーレを迎えた本作ではあるけれど、次回作、ほのかに期待しながらまた三十年でも待ち続けるぜ!




最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ボカンの名に恥じない (輪駆)
2009-09-30 11:46:07
「タイムボカンの名に恥じない」
この一言が全てでしょ、やっぱり。

過去シリーズも、放映を重ねていく上で脂が乗ってくるものだったし、
(個人的には旧シリーズは15~20話越えた辺りから急に面白くなる印象)
細かい設定は「気にする方が悪い」と、
驚きの開き直りっぷりができる人なんで、
全く気にしてはなかったんですが…

やっぱり、毎週決まった時間にテレビの前に集まれば、普通に放送してるっていうこの現実。
それが一番すばらしいことなんだなーと思ったよ。

OVAやCDドラマじゃ本当に好きな人しか買わないわけだしさ、批判や中傷も地上波放送あってのものなんだなーって。

とりあえずマン×トウシバのサイトの新作でも見て、食いつなぐとしましょうかね。
(6,8月に新作Flashアニメ出してたの知ってた??)

そしてまた、今度こそ「タイムボカンシリーズ」として…
返信する
Unknown (うなぎ)
2009-10-02 03:41:41
テレビで一年以上やってくれた、というだけでまず感謝だよね。
つうかトウシバ、八月にも更新してたのか……それは気づかんかった。いまから行ってみよっと。サンキュー
返信する
Unknown (Unknown)
2009-11-30 23:03:01
「説得力」とか、うーん…それはちょっとカテエっすよ、カテジナさん!
返信する
Unknown (うなぎ)
2009-12-01 15:23:39
オタスケマン、ヤットデタマン、イッパツマン、キラメキマンで出来ていたことなんだからできる!
返信する
Unknown (Unknown)
2009-12-07 22:03:02
とってつけたような説得力(笑)なんぞイラネ
返信する
Unknown (うなぎ)
2009-12-08 02:38:48
じゃあ満足できたんだね。ならよかったじゃないか。これからもボカンを応援してくれよな!
返信する
そうだそうだ (センザキ)
2010-02-07 02:09:24
ごめんなさい、尻馬に乗りました<m(__)m>
だけど、書かれている事がいちいちもっともな事ばかりで、本当に何度もうなづいてしまい、「ああ、オレってヤッターマン好きだったんだなあ」と、平成22年になって今さらながらに気づかせてもらった次第であります。
ところで、何故か昨日から寄りつきました。ブックマークをつけたので、ちょくちょく寄せて頂きますネ§^。^§
返信する
Unknown (うなぎ)
2010-02-08 20:40:40
あ、どもっす。
なんでもいいからヤッターマンの企画が続いて欲しいっすね、ホント。終わってしばらく経って寂しくなってきたぜ
返信する

コメントを投稿