この夏は冷却経路の不具合でオーバーヒートする船外機艇が
多かったです。
猛暑による高水温もあってエンジンにも限界がきたのかも。
4ストロークエンジンヤマハ60馬力のお客様がオーバーヒートで整備の
依頼をされてこられました。作業でちょこちょこ1km圏内を数日おきに動かす
艇でしたので真水洗いもされたことがないとのこと。
また、エンジン内のアノードも交換されたことがなかったそうで
分解点検しますと、シリンダヘッドの細い冷却海水通路には、
長年のスケールや潮の塊、溶け残った亜鉛クズがびっしりとつまっていました。
2ストロークエンジンよりも、構造上高温になる4ストロークエンジン。
熱も冷めにくく狭い冷却海水通路しか持たない船外機です。
エンジンの調子を良好に保つために、負荷をかけないように
日ごろから冷気運転や、真水洗いを行い、オイル交換はこまめにして
いただいた上で、専門整備でも定期的なメンテナンスがかかせません。
こちらの船外機では、エンジン内のアノードは、形がなくなっていたり
折れ込んでシリンダヘッドの冷却経路内につまっていたりしていました。
定期交換をしておかれたら安心でしたネ。
エンジン内のアノードにはエンジンを海水からの電蝕から守る役割があります。
未交換のまま放置すると、ヘッド内の冷却経路に電蝕穴が開いてしまって
海水がシリンダヘッドの中にまで入ってしまうような大事にもなります。
経路を分解洗浄した後、アノードとサーモスタットも交換しました。
↑ 経路のつまり。つまってるつまってる。
海水での外からの冷却が、うまくいかない状態になっていたのですね。
4ストローク船外機は、各社ヤマハ、スズキ、ホンダともに専用ソフト
や機器により内部をPC点検できるシステムがあります。
近年の4ストローク船外機は、コンピューター制御部で噴射コントロールを
行うなど繊細な部分も多い構造ため、各センサーからの情報や走行データー
などの内部の状態を、PCで確認できるようになっています。
抽出できる情報は各社様々ですが、不調の際には原因の絞り込み
が早くできて便利なことも多いです。
普段からPC点検も含めて、年に1回は専門メンテナンスを
させていただいておりますと、トラブルの際も原因が
見つけやすいかなとおもいます。
船は本当に過酷な状況で使用されていますネ。
車でいえば、ローギアでアクセル全開にして坂道を走るような
高負荷がかかります。海水や潮による影響もたくさん受けるので
長く安心して過ごしていただくためにも、エンジンの日常点検も
たいせつにされてください。
大事になる前なら、手をかければ直りますからネ。
このあと同じ港のお友達の船からも、冷却経路のメンテナンスと
アノード交換のご依頼を承りました。 (同じく何もしてこなかったそうで)
気づいたときがメンテ時。船は、トラブル前にメンテナンスするのが
一番安心なのですヨ。
☆karatomarine naoko☆
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