西向きのバルコニーから

私立カームラ博物館付属芸能芸術家研究所の日誌

ワラ人形は使っていない

2005年12月15日 02時27分49秒 | 短歌
 「そんなことしてたらいつか酷い目に…」思っていたら殺されちゃった
 クマちゃんのシャッターにある「廃業」の貼り紙悲し店主殺さる

駅前の薬局が廃業閉店して、2ヶ月が経った。シャッターに描かれていた動物たちの絵も、最近になって消されてしまった。

この薬局が開店したのは、今から10数年前。始めは若いご夫婦二人だけで営む、小ぢんまりとした店だった。ご夫婦はいつも明るく心安い人柄で、私もよくこの店を利用していた。薬の配達もしてくれたし、ご夫婦に赤ちゃんが誕生した時には、美味しい酒も少々進呈したりもして、割と親しい付き合いをしていた。そして数年後、店は近くに建設されたマンションの1階テナントに入り、規模も大きくなり、バイトやパートの従業員も増えた。
ある時、「アルバイト募集」の貼り紙を見た私は、「私はダメでしょうか?」と店主に聞いてみたのだが、「男性はちょっと…」とあっさり断られてしまった。そしてその後の店主の言葉が、やや気に食わなかった。「何でそんなことになってしまったんですか?」。バイトをすることは「そんなこと」と言われるほど、惨めなことなのだろうか?たぶん私が、タレントとして大成功しているように思われていたのであろうが…。
それから数ヵ月後、病院帰りの母がこの店に寄った際、ポイントカードの暗証番号を言い遅れて、レジの女性に「先に言うて欲しかったわ!」ときつい言葉を吐かれたと言って帰宅した。それを聞いて立腹した私は、早速店主に電話で苦情を言った。「いったい何のための会員なんですか?オタクとは今までどんな付き合いしてきたんですか?!」と…。翌日店主から詫び状が届いた。「今後は従業員の教育を徹底させます…」と書いてあったが、その事を境に私たち家族は、その薬局を二度と利用することはなかった。その後も店主は、駅前で私に会う度会釈をしていたが、それでも私は店には行かず、そうして10年近く経っただろうか…?
今年の10月始め、店主は殺害された。あの時詫び状に「従業員教育を徹底させる」と書いていた店主は、店の元アルバイト従業員によって刺し殺されたのだった。私は大きなショックを受けた。

私は、決してこの店主を恨んでいた訳ではなかった。だが多少の嫌悪感を抱いていたのは事実である。そして最近、以前から私が嫌悪感を抱いていた人たちが、病気や事故で急死するといったケースが周辺で相次いでいる。「俺に嫌われたらロクな死に方をせんぞ!」と言っていた冗談も、もう冗談でなくなってきて、いささか自分が恐ろしくも感じる。中には「あの人を恨んで」という申し出もあるが…。

別に私は、人の恨みを晴らす必殺仕事人でもなければ、ワラ人形も使ってはいない…。


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