日伊相互文化普及協会

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子供の送り迎え

2007-07-08 17:04:52 | Weblog
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日本でもイタリアでも幼稚園児は親が送り迎えをしてます。
小学校に入ると日本では送り迎えがなくなります。
イタリアの小学校では低学年から高学年の全てを、両親のどちらかが送り迎えをしています。
小学校はお昼で終わります。両親が仕事をしていてもお昼には一旦家に帰るので、職場の帰りに迎えに行けます、





友人キアラの9歳と11歳の子供たちの学校は、家から歩いて5分の距離、のどかな町の郊外で交通量はほとんどありません。たまあに車が通ると、誰かなあと見るくらいです。
充分一人で帰れると思うのですが、キアラは仕事が終わると小学校へすっ飛んで行きます。



なんで小学校に入っても送り迎えをするの、とキアラに聞いたことがありました。
「昔、誘拐があったじゃない」とキアラ。
「でもミラノやローマの昔の話しだし、超お金持ちの子供や大人しか的にしてなかったじゃない」と私。
「変態がいたことあってね、見せるのよ、あれ」
「あ、それ日本でもある。じゃ、集団登下校して親が交代で面倒見るとか」
「でもねえ・・・」とキアラ。
「遊びに出かけたときは遠くにいたって一人で帰って来るじゃない」




イタリアの小学校は何台もスクールバスを持ってます。
このバスは校外授業などで使っています。
余談ですが、オルヴィエートの小学校の子供たちは、日伊相互文化普及協会主催のイヴェント「ジャパンフェスタ」を校外授業の一環で参加していて、スクールバスでやってきます。
こんなスクールバスを、登下校が心配なら使えばいいのではないか、親も楽だしと日本人の私は思ってしまいました。




キアラや他の親たちからいろいろ聞いて分かったことは、親は子供と甘い関係にいたいということでした。
イタリア人親子はベタベタです。迎えに行ったときの子供の幸せそうな顔。親はでれ~。1年も会わなかったみたいな再会ぶりです。
「1年生ならまだ分かるけど、5年生にもなって。ったく親も子も、ばかたれどもめっ」と思ったのは小学校の送り迎えの習慣がない国の、私のジェラシーなんでしょうか。






また余談ですが昔はサルディニア島に組織を持っていた「赤い旅団」というのが、お金持ちの家の子供や大人をさらって行きました。身代金は膨大で、明治乳業規模の会社が吹っ飛ぶほど。
経営者がさらわれて、身代金を払ったために消えて行った、いくつもの企業を知ってます。


写真は1978年に起きたアルド・モーロ元首相誘拐事件の時


赤い旅団は絶滅したとか、スイスで息を潜めてるんだとか聞きます。
(赤い旅団はキアラの子供をさらわないと思います。わがままなだけの貧乏ガキはかえって迷惑でしょう)




送り迎えの話に戻ります。ノンフィクションエピソードです。
私の親しい友人の一人、エリアーナは子供を産んで、けっこういい母親をやってます。
でも幼い頃は、独裁者の、悪でした。
彼女はシチリア州のパレルモで生まれ、幼い頃は年子の弟と幼稚園に通っていました。

送り迎えはお母さん。時々お手伝いさんというか、昔から家に住み着いているばあやさんが行くときもありました。
エリアーナはばあやさんが迎えに行くと「この人知らないもん」と言います。
そして「知らないもんね?」と弟を睨みます。弟は姉が怖いので「うん」と答えます。

園長先生はばあやさんを知ってますが、子供たちが知らないと言い張るので、引き渡すことができません。

ばあやさんは「嬢ちゃん、坊ちゃん、お願げえでごぜえますだ、このばあやを知ってると言ってくだせえまし」と両手を合わせ、ひれふしてエリアーナに懇願したそうです。

エリアーナは幼稚園で遊んでいたいので、「知らないもんねー」と、弟を引っ張って園庭に飛び出して行ったそうです。
困り果てた園長先生は母親に電話をして来てもらいました。
母親に叱られても繰り返すので、ばあやさんは苦労をしたそうです。



送り迎えとは話がずれますが、彼女と上野の商店街を歩いていたときのこと。
彼女は炒った天津甘栗が盛り上がっている釜に眼を止めて、ダダッと釜へ。そしてガバッと一掴み、栗を掴んで戻ってくると、「はい」と私に握らせました。
「待ってて、今度は私のね」とまた釜へ。

仰天眼をした甘栗売りのお兄さんを見て、私は栗を握ったまま、走り出しました。
「まってよーっ、どしたのよーっ」とエリアーナは私を追いかけてきました。
「惠美っ、えみっ、えーみーーーっ!」と私の名を連呼します。
「名前呼ばないでよっ、ついてこないでよっ」
私は上野の山に向かって全力疾走、エリアーナから必死で逃げました。

彼女は山盛りの天津甘栗は「自由の試食」で、袋入りが売り物と思っていたようです。
私の知らないところで何度も繰り返してたそうです。
私は彼女といて何度もひどいめにあってます。
渋谷の日伊学院の生徒さんは、あなた達の語学教師エリアーナを覚えてますか?
あなた達も驚くことがあったんじゃない?



話がどんどん逸れました。
イタリアの小学校の送り迎えを見て、「んもうっ」と最初はじれました。
でも、「甘く見守りたい」という気持ちにはグッときました。



イタリア人は子供を甘やかします。
15歳の娘が「バッボ~(とうちゃ~ん)、ローマまで車で送って~」
と父親に言えば父親は「よしよし」と仕事をやりくりして、ローマまで何十キロも車を走らせます。もう大きいんだから電車で行きなさいとは言いません。

甘やかしますが干渉はしないようです。
かなり大事な選択でも、子供の気持ちを尊重して任せています。




勉強については、宿題は守らせますが、だいたいの親が自主学習にはあまり関心がないようで、放っています。
成績がいいと、母親は「私に似たのね」と言います。父親は「ふうん」と言うだけが一般的です。
成績が悪いと、母親は「才能が発揮できてないのよ、いまにすごい芽がでるわ」とニッコリと子供を見、父親は「俺の子なんだ、こんなもんだろ、ワハハ」です。


日伊相互文化普及協会     Emi

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6 コメント

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Unknown (ベル)
2007-07-08 23:22:03
イタリアの親子関係ってとても面白いですねwww
幸せそうでいいなぁ・・・

それにしてもイタリアでは、小学校も親同伴なんですかぁ・・・
確かに、万が一誘拐とか遭ったら怖いですもんね。

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Unknown (モッチ)
2007-07-09 11:54:27
子どもとはいつでも友だちになれる。
子どもが小さいうちは、
 1.命に関わる行為
 2.人様に迷惑を掛ける行為
 3.わがままな行為
に対しては、お尻を叩いてでもしつけるという子育てをしてきた身には、ちとおおらかすぎます。

どんな状態でも子どもはたくましく育っていきますけどね。
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Unknown (REI)
2007-07-09 18:30:12
仕事場に向う途中、小学校があるのですが、ここでは親は車をわざわざ路上駐車して、子供を学校の入り口(門の中)まで送りに行きます。2重駐車なんて当たり前。そのために、交通整理(もちろんお国から派遣されています)のおじさんもいます。横断歩道は、子供や送りに行く親たちが優先で、私達車は後回しなものだから、大渋滞が、、、、!私も聞いてみました、子供を持つイタリア人に。

「ねぇ、なんで10歳にもなって送り迎えするの?」
「世の中物騒だからね~、、、」

ここトラーパニが物騒なら、日本はどうなっちゃうの??

ま、いいんですけどね、、、、。
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Unknown (emi)
2007-07-10 15:38:01
ベルさん
誘拐だったら日本のほうが断然多いです。
イタリアは赤い旅団がいた昔、特別な大金持ちが子供をさらっていきました。
以来、誘拐はありません。
日本こそ送り迎えをした方がいいんじゃ、と思いますが。
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Unknown (emi)
2007-07-10 15:59:29
モッチさん
1についてはイタリアも厳しいです。

2は人間のモラルとして当然なので、子供は親を見て知るようです。
人に迷惑をかけると『matto(キチガイ)』とか『senza bergogna(恥知らず)』と言われますが、めったにありません。
子供は悪い事と認識する以前に、プライドを意識するようです。

イタリアの子供達はわがままで甘えん坊ですが、人に迷惑をかけるのにおいては日本の子供たちの方が比べ物にならないくらい多いです。

イタリアでは子供に手を上げることは、節操のない野蛮行為といわれています。
じっと忍耐で子供を諭すのだそうです。

モッチさんもご存知のジャンピエロはディスコからの朝帰りが続く娘をぶった事があって、娘と父親のトラウマになったそうです。
娘と妻には何度も謝ったそうですが、今でもたまに2人にいわれるそうです。

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Unknown (emi)
2007-07-10 16:08:53
REIさん
ほんとに送り迎えは一大行事のように大げさですね。
道路は「子供と親のお通り~!」のようになってしまいます。

イタリアは平和でのどかなトラパニのような地域が多いと思うのですが。

日本はイタリアより数段物騒です。
親が交代制ででも送り迎えをした方がいいと思ってるのですが。

お帰りになる時には連絡を下さいね。
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