日伊相互文化普及協会

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値切りの恥学

2007-05-18 14:19:24 | Weblog
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横浜のスローフードフェアに、宮崎・綾スローフード協会の濱田さんが焼酎を紹介しました。とってもいい焼酎がたくさんありました。
1日目が終わって、濱田さんと、濱田さんの連れの三木くん、そしてうちのスタッフと一緒に夕食を食べました。
三木君が「近くにいる出展者がさあ、1本買うからまけろって、しょっちゅう来て言うんですよお、明日も来るって、まけるまで粘るらしいです」とこぼしました。
「苦労して作ってんのに・・・。買わなくっていいよ、もう来んなよっ、て言いたいの、我慢してんですよ」
「うーん・・・」と濱田さん。





ミラノからトスカーナへの移動中、私たちの専用バスの中で「emiさん、まけてくれって、イタリア語でなんていうんですか?」と訊いてきた女の子がいました。
即答できませんでした。
「Sconto perfavore(スコント ペルファヴォーレ)と丁寧に言ってみたら・・・」

「マンマミーア、ケ ベルゴーニャ(なんて、まあ、恥ずかしい・・)」
私の隣で運転しながら私のイタリア語を聞いたGianluca君は、赤い顔で低くつぶやいてから、ハハハッと笑いました。

「生まれてから一度もまけて、って言ったことない?」とGianluca君に訊くと、「ノー、ノー、マイ!!(ない、ない、1度だって!!)」と首を激しく横に振りました。
↑ Gianluca君



イタリアでは値引き交渉の習慣がありません。商売の駆け引きの場は別ですが。



欲しい物があっても、それがなければ、どんなにお金を積んだって買えません。
これは世界中誰もが知ってること。
イタリアでは物を生産する人や、供給する人はとても尊敬されています。
生産者は自分が一所懸命作ったものに、自分に見合った価値をつけます。
値切りを言われることは「あんたには、この値の価値はないよ」とケンカを売るようなものでしょう。
まあ、日本人が値切ったところで、そんなに悪意には取られないと思いますが。

「法外な値ではないの」と思ってもイタリア人は決して面と向かって「高い」とは言いません。黙って買うのをやめるだけです。




では値切りは絶対ないのかというと。
昔は今と違って誰もが平均的な暮らしをしていたわけではありません。
相当に貧しい人は生産者に安くしてくれと頼んだそうです。
これは施しを請うのであって、恥もプライドも捨ててホントに捨て身になるわけです。
生産者は哀れんで値を下げてあげたり、ただであげたりしたそうです。






アラブ地域には値切りがありますが、この値切りは「コミュニケーション中心の遊びの文化」なので、他の意味になります。アラブの人たちは異文化のヨーロッパでは値切りません。




トスカーナで日本の隣国のアジア人グループに遭遇したことがありました。
彼らは自由時間のようで、3人の女性がチョコレート屋さんに入って行きました。
私もそこのチョコが欲しかったので中に入りました。そのチョコ屋さんは世界大会でいくつも賞を取ったお店でした。

3人の女性は楽しそうに、チョコを選んでいましたが、なにやらレジでもめ始めました。
「ノー、ノー」と言って最初は困り笑顔で対応していた店員さんは、やがてむっつりと黙り込んでしまいました。
3人の女性は更にまくし立てています。
と、突然、奥から真っ赤な顔をした、チョコレート職人が飛び出てきて、入り口のドアを開けて、3人に出て行くようにあごをしゃくりました。
3人は母国語で職人に言葉を投げながら店を出て行きました。



イタリア(ヨーロッパ)だけでなく、皆さんは値切りそのものをどう思いますか?

日伊相互文化普及協会                  Emi