2013/6/13
釣り人社の「ロックフィッシュ地獄」取材。
BREADENスタッフ健太郎さんとのコラボで。
「ロックフィッシュ地獄」と言えば僕としては唯一「出れば必ず買う」雑誌である。
新発売の道具や新しいメソッドの紹介というよりは「釣り場の雰囲気」を重視した編集方針。
釣りって単なる道具とお魚とテクの闘いではなくて、それを取り巻く環境と人が一体となって成立するもの。
美しい写真と落ち着いた文体の記事にはそんな釣りの魅力が満ち溢れている。
そしてそれは僕がこのブログを書く時のポリシーでもある。比べる事なんておこがましいけど。
そんな素敵な紙面を作っているお一人がこの方。
Camera&Text 浦壮一郎さん。
ブツ撮り中。足は健太郎さんね。
ロッドやルアーを小一時間掛けて撮影。この日は夕焼けの光が透明で綺麗で、その角度を綿密に計算しながらの細心のお仕事。
プロの仕事ってやっぱりこうなんだよなぁ。言うまでもないが、適当な僕のやる撮影とは根本からして違う。
ご本職は渓流なのであるが釣り全般に精通し、釣り場を中心とした環境問題にも独自の視点で警鐘を鳴らしておられる。
HPをご覧頂けるとお分かりの通り、水中からの視点やわずかな光を利用した長時間露光を駆使した瑞々しい写真を発表されている。
その長時間露光。この日の取材で僕も被写体にして頂いた。
リーリングする僕の背後に何気なくそっと忍び寄り、小さな三脚を立てておもむろに静かにシャッターを押す。
利用するのはおそらく、遠い沖にいくつかある漁り火のわずかな光だけである。
「パシャ」っとシャッターが開く音がし、じりじりと随分経ってその同じシャッターが「シャタッ」と閉じる音がする。
その気配のいちいちを感じて僕は動く事ができない。息もできない。浦さんも息を殺しているのが分かる。
「はたしてこれは動いてもいいんだろうか...」
リーリングが終わり、当然次を投げなければならないのであるがそれを躊躇する。
なぜか「動いていいですか?」とは聞けない。
背後の様子をうかがうようにそっと動いてみて、あ、動いてもいいんだな、と感じそっとキャストを行う。
そしてまた、密やかな音と共にシャッターが開くのである。繰り返すうち、次第にそれに慣れていく。
残念ながら、当日の様子をこれ以上ここに書く事はできない。
「ロックフィッシュ地獄」の発売される11月までしばしお待ちを。乞うご期待。かなw
浦さん。健太郎さん。
夕方から早朝までの長時間。しかも厳しいポイントばかりのRunGun。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
そしてポイント選定に悩む僕に有益な助言を与え続けてくれたたかかんさんをはじめとする釣友達。
ほんと、心から感謝致します。
というわけで、今回の日記はこの取材のためのプラクティスの様子を。
行われたのは6/1。随分前の話だなぁw
まぁタイムリーさがこのブログの売りではないのでぇ、と、開き直り、厚かましくも。ごめんなさいw
2013/6/1
取材当日同行する健太郎さんに越前の海を感じて頂くためのプラクティス。
この人もお誘いした。
健太郎さんとたかかんさん。西日本の天才と北陸の天才。
このお二人のコラボを間近で見られる役得感は尋常ではない。なんか「頑張って来てよかったなぁ」としみじみと感じたw
たかかんさんにとっても健太郎さんは憧れの人であり珍しく緊張気味。
メバルを釣るものにとって「めばるing」のHPにある記述はやはり特別なものであると言わざるを得ない。
経験を重ねて、回り回って、すれっからしになってようやく少し見えてきて、結局そこに辿り着くような揺るぎない「基本」がそこにある。
夕マヅメ。
二日前に入りあたりが出た磯場。観光地でもある有名ポイントである。
先日の釣行で肝になっていた1mのうねりはなくこの日は完全な平水。
時間はまだ19:30で随分明るく、健太郎さんは既に投げ始めているがたかかんさんは「あとまだ15分っすねぇ」と余裕の構え。
そしてその通り、ぴったり15分後に地合いが来た。
点在する沖磯を狙い打つためまずはjighead0.5g+sandwormのフローティングキャロから。
40m沖の水の縒れに打ち込みゆっくりとリトリーブ。しかしあたりが出たのは10m沖の小さな根際だった。
ドンッ!
強いあたりと強い突っ込み。とは言えロッドはGRF-TR93PE specialなので余裕のファイト。
獲れない藻場のメバル対策に使い始めたロッドだが確かにキャッチ率が格段に上がった。
それに飛距離。85PE specialよりも更に5m向こうを狙える。この5mが魚とのコンタクトを飛躍的に増やしてくれていた。
28.5cm。
釣れたのは根際だが体色から見て回遊性の魚。
近くで釣っていた健太郎さんの足下でベイトフィッシュの群れがザザザッと細かいさざ波を立てる。
「わぁ!ベイトいっぱいいますよぉ!」健太郎さんが声を上げる。
日没と同時にベイトフィッシュ(イカナゴ)がシャローに差し込みそれに着いて来たメバルの群れ。
健太郎さんもjighead単体で次々と魚を出して行く。
この人の釣りは実にゆっくりとしている。見えない水中の様子をリグを通してひとつひとつ確かめるような釣り方。
初見の場所を探るために、jighead単体というリグを使い慣れた杖のように使う。
想定よりも魚が近い。
タックルを85PE special Houri-Islandとminimaru50のセットに持ち替える。
以後はほぼ全てこれで。この日の海にこのタックルはベストのマッチングを見せてくれた。
足下のスリット際に魚が溜まる。テンポ早くそれを獲ってゆく。
どれもこれもカツンと激しくminimaru50のフロントフックを突き上げて来た。
不思議な写真。月面で釣りしてるみたいだなw
随分と釣り、あたりが途絶え始める。清く正しい夕マヅメの地合い。
少し離れたオープンで長距離戦を繰り広げていたたかかんさんが戻って来た。バッカンの中にはごっそりと良型ばかり。
「一見オープンなんすけどねぇ、スリットから続く沈み根がいっぱいあって、その場所読みながら打ってました」
まぁ、さすがである。
今シーズン通い込んだ藻場に移動。一時期の爆発力は無くしているが手堅く魚は出てくれるはず。
何より、藻場のスペシャリストである健太郎さんがここでどんな釣りをするのか見てみたかった。
ここでも健太郎さんはjighead単体。濃く茂る藻の中に素早くトレースラインを見つけ出して行く。
開始早々、どしゃばしゃとシーバスを連発させた。
この難しいポイントに、初見でいとも簡単にアジャストさせてしまう対応力。上手い。この人にはプラクティスなんて必要ないなw
僕はminimaruを投げ続ける。
珍しく赤メバルの28cmが来ていつものこの場所ではないと感じる。水が動いていない。狙うブルーが出る海ではない。
しかし代わりにこれが来た。足下の藻のエッジでゴツンとminimaruが襲われる。
チヌ40cm。
その後もメバルはぽつぽつと低調で移動。もう一箇所藻場に入ったがそこも思わしくなく、また移動してスリット系の岬に入る。
その南端。どシャロー。普段は足場にするような近距離の根際でドンと出た。
渓流のイワナが岩影から飛び出してくるような出方。魚が近い。それにタイトである。
ここでたかかんさんが凄みを見せた。
僕と健太郎さんが狭いポイントを占めてしまい、撃ち場所を失った彼が投げたのは小さなタイドプールである。
その手前には幾重にものこぎりのような岩が露出し、僕であれば投げようなんてとても思わない場所。
10m向こうのそのピンポイントに尺ヘッドDの3g+sandwormを打ち込んで着水と同時にロッドを高く掲げて超高速巻き。
リトリーブできる距離はほんの数mである。速巻きであれば一瞬で通り過ぎる。
しかしそのわずかな水面がいきなりばしゃばしゃと派手に割れた。そのまま岩を超えて強引に寄せ切る。
びっくりした。そんな釣り方なんて見た事が無かった。
そして次のキャスト。同じような溜まりに打ち込みまた掛ける。
魔法を見ているようだった。何もいないはずの水溜まりから次々と魚が飛び出してくる魔法...。
僕の立ち位置的に至近距離でその魚が水面に出た瞬間が見えた。29はありそうな幅広の太い腹。
残念ながらその魚は手前の岩に食われてばれてしまったようだが、そんな事はどうでも良くとにかく心底感心してしまった。
「やっぱ...たかかんさん変態ですわ...」
「そうっすかー。普通っすよーw」
絶対普通じゃない。良い子の皆さんは決してまねしないように。リグを失うだけだからw
ダブルヒットで記念撮影。明らかにたかかんさんの魚がでかいなw
その磯場の中央にあるオープンのワンドに移動。
健太郎さんとたかかんさんは数投でその場所を見切り更に移動して行ったが、何かその場所に妙な雰囲気を感じて僕はそこに留まりminimaruを投げる。
minimaru50には「第2のアクション」がある。
基本的にはただ巻きで使えば良いルアーなのだが、意図的にバランスを崩させる事で食わせのタイミングを演出するのである。
発泡ウレタンでできた浮力の高いbody。その尻上がりの浮力を2本のフックが微妙に押さえ込んでいる。
フロントのアウトシンカーはルアーそのものに効いているのではなく、ラインに対してテンションを掛けるように存在する。
そこに生まれるルアーとラインで形作られた逆三角形の絶妙のバランスを、ふと、崩してやるのである。
スローリトリーブの途中でロッドを手前に引くのではなく、リーリングを入れながらティップをわずかに前に出してすぐに元に戻す。
minimaru50はその瞬間、身震いをするように揺らぐ。
TVコマーシャルの中のプリンがプルンと揺れて視聴者の食欲を刺激するように、minimaruのその揺らぎは食い渋りの魚の食欲を刺激するのである。
ハードルアーにアクションを加えて食ってくる魚はリアクションバイトである事が多いが、
minimaru50のこのアクションにバイトしてくる魚は明らかにフィーディングバイトである。
それはアクションを入れた直後に食ってくるのではなく、必ずわずかな間を持ってあたりが出るからだ。
その「間」に「反射」ではなく、魚の「判断」を感じるのである。
広いオープンのワンドを広範囲に打っていく。適当な間隔を空けて「第2のアクション」を入れていく。
水深はあって2m程度。海藻は濃くなく沈み根も少ない水域。50cm程のわずかなうねりが水面レベルの足場を洗う。
正面にキャストしたそのリトリーブ終盤。5m程沖で最後の「第2のアクション」を入れハンドルを1回転させたタイミング。ほぼ水面。
ガツンッ!とロッドに衝撃が走りその重量がそのまま沖に向けて疾走した。
!!!
ジーーーーとドラグが長く出される。魚は水面に出ず底に向かって突っ込むのでシーバスではない。
ごんごんごんと大きなストロークの首振り。そのたびにジジっと小さくドラグが鳴る。そのトルクと水圧は平べったい魚独特のものである。
障害物の無いオープンの海に、時間を掛けて慎重にゆっくりと寄せた。足場にあった水面続きの小さな水溜まりに滑り込ませる。
47cm。
ぱんぱんに張り切った完璧なコンディション。過去に釣り上げたチヌの中でも抜群の太さである。
コンディションの良い魚は釣りが正しかった事の証明である。
この場所に感じた雰囲気とminimaru50と第2のアクション。それらが融合してこの1匹の魚に形を変える。
深い満足を感じた。
しばらくして健太郎さんとたかかんさんが戻って来た。
この磯場の北の端にあるdeepでいくつかメバルを獲ったようである。健太郎さんは再び南端のポイントに歩いて行った。
一服するたかかんさんの横に座り、健太郎さんの釣りをどう感じたか聞こうとしたら囁くような声で彼が先に口を開いた。
「やっぱ、掛けますね」
そうである。その通りである。その一言で全てが言い当てられている。
釣りは掛けてなんぼである。道具やテクや理論がいくら立派であっても魚を掛けなければ話にならない。要はそこだけである。
健太郎さんの釣りを見ていても何も変わった事などしていない。そこから何かを盗もうとしても特に何も得られるものは無い。
しかし掛ける。とにかく掛ける。
釣りをしている本人にしか魚に口を使わせる感覚は分からない。端から見てたって見えたりしない。
リグに感じる微妙な水の感触。釣り場の雰囲気。魚が求めているもの。それらを素早く感じて、意識しないままにアジャストできるということ。
魚が口を使うのは紛れも無くその「結果」である。たかかんさんはそれを分かっている。なのでそう言うのである。
帰り道。車の中で健太郎さんに越前の海についての感想を聞いた。
「あたり多いっすよねぇ。こんなに魚がいるとは思いませんでした。瀬戸内に近いものがありますよ」
「え?今日のメバルは良い時の10分の1ですよ。この1ヶ月で一番悪い日でしたけど」
「えー、それは恵まれてますよねぇ」
越前海岸のメバリストの皆様。お墨付き頂きました。僕たちはやはり恵まれてるんだそうです。
良い環境で釣りができる事。感謝して行きましょうねw
TACKLE DATA
ROD/BREADEN Glamour RockFish TR93PEspecial,TR85PE special ♡Houri-island
REEL/ DAIWA CERTATE2506, EXIST2004
LINE/VARIVAS AVANI Eging PE MaxPower 0.6G, LIGHT GAME mebaru0.4G
Leader/VARIVAS Avani Eging Plemium shock leader 7lb 8lb
Lure/BREADEN minimaru50,Gulp!sandworm
Float/do-yo dama glow F
Snap/BREADEN となりのアイツSS/Black