星空☆Casting

釣れるものはみんな釣りたい。
夜の海で一人
ひたすら同じ事を繰り返す快感。
さあ、ご一緒に。

風に向かって撃て

2010-02-27 03:19:03 | メバル
1月の中旬から2月中旬にかけて、呪われた事に休日は全て荒天に見舞われる。
貴重な凪ぎの日はことごとく仕事で
予算だ実績遂行だミーティングだとフル残業が続き、帰り着いた体には海に出掛ける余力が残っていない。

しかし。

なんとかみずのに釣らさねばとみずのとともちゃんを伴い(かなり無理をして)入った2/8の「岩壁の向こう」には案外魚っ気が有り、26.5cmまでを10本程度と、明らかに尺絡みの1匹に簡単にラインをブレイクされた。

魚は見えている。

アフターのメバルがリハビリを行なうのがこの時期の岩壁の向こうだ。
暫定topにいるとは言えやすや倶楽部メバルダービーの登録サイズは決して高水準だとはいえない。
凪ぎさえすれば更新サイズを出すのはそれほど難しい事ではない。

そう。

凪ぎさえすれば。

しかし凪がない。

そして。

2/14。よっしーさんから素敵なバレンタインギフトを頂き僕の名前はてっぺんから消えた。

あらら。

なんとかせねば。

しかしその後の休日にも海は荒れ、一応岩壁登頂はしてみるもののポイント先端には高く波が上がり断念。
無理すれば入れない事はないが(以前なら入っていただろうが)
やすや倶楽部メバルダービーの名のもとで事故を起こすわけにはいかない。
登録された200匹余りの成果が無になってしまう。

そして本意ではない場所で本意ではない魚を釣り更新できぬまま2月最終週を迎える。
夕方から夜中にかけての勤務帯。
巷には春一番が吹き過ぎ、気温は一気に上昇し海が凪ぎはじめた。

もう仕事後の釣りはきついなどと言っていられない。
なんだか去年も同じことしていたなw
成長なんて全然してないや…。

2/22/3:00。

岩壁の向こう。

ややうねりが有り先端は時々波に洗われてはいるものの立ち位置を間違えなければ危険はない。

空が白みはじめるまでの3時間、15~27cmまで十数本。
27cmを26cmと入れ替え5mm差までに迫る。



27cmをあともう1本。それでtop。

しかしダービーの順位がどうこうというよりも納得の魚を納得の釣り方で上げる事。
第2ヒートに入ってから「静かな食欲」の釣りでしかそれが出来ていない。
何となくもやもやと不完全燃焼を感じる。
普段の生活や仕事では僕は常にそれを感じながら生きているような人間であるが
事、メバル釣りに関してはそれは許される事ではない。

これは僕の大切な最後の一線なのである。心の拠り所なのである。


2/25/3:00。

岩壁の向こう。

仕事最終日明け。少々の無理はできる。じっくり。ねっとり。メバルに向き合おう。

しかし。

風が強い。強いどころではない。

常に風の吹く場所とは言えこの日の南風は「烈風」と表現して良いものだった。

基本的にべた凪なのではあるが水面は風に揺り起こされた三角の波でぎざぎざとささくれる。
波頭が烈風に吹き飛ばされ、細かい霧状になった海水が僕の全身に吹きつけてくる。

ひゅごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。

耳には常にこの音が聞こえる。

風の間隙を縫ってキャストしようにもそれがない。常に吹き続ける。時々の突風でよろよろとよろめく。

光のラインを打っていきたいのであるがその方向は微妙に横風。
少しでも方向を間違えるとPEは盛大に風を孕み釣りにならない。

風の中でライトリグでの釣りを成立させるには向かい風方向しかない。
両耳に感じる風の具合に神経を集中し完全に風に正対する方向を見極め打つしかない。
その方向が打ちたい角度ではないとしても、そうするより他ない。

ジグヘッドは3gを選んだ。
無風であれば30mのディスタンスを得られるウェイトではあるがこの日は15mがせいぜい。
ライナーでキャストしても空中で一瞬静止し、吹き戻されるように着水する。
空中を舞うラインをロッドさばきで水面に貼り付ける。
カウントダウンも何もせず時間を掛けて確実にジグヘッドが着底するまで待つ。
ジグヘッドは軽く根掛かりを起こす。
ここは岩礁帯ではあるがフラットでもあるので根掛かりは致命傷にまで至らない。
ロッドとラインを直線にし、そっとリールを巻きその軽度の根掛かりを利用してラインを張る。
そこで強く瞬間的にリールを一回転させプンッと根掛かりを外す。
これはPEでしか出来ない。
伸びのあるナイロンやフロロでは軽い根掛かりがしっとりと食い込み致命傷にまで成長してしまう。
ティップを水面レベルまで下げる。ここでようやく微細なあたりを取れる体勢が完成する。

ワンキャストにずいぶん手間が掛かる。これで魚が居なければ虚しい徒労であるのだが嬉しい事に魚は居た。

1投目。トゥン!と短く鋭く吸い込まれる。
ゆっくりスウィープに合わせてみるとワームがニュイ~ンと伸びるのが分かった。
外す。フックまで食い込んでいない。

かなり小さなものを食っている。鋭く吸い込むからには遊泳力のある何かだ。

そのつもりで釣っていく。2投目。再び鋭く小さい吸い込みを感じ一瞬送り込んでぱしんと合わせる。



25。ここのアベレージだ。魚は濃い。これ以上のサイズも確実に含まれているはず。それは経験で知っている。
取りあえず27を釣ればtopに行ける。この日の状況であればそれはイージーな事。時間の問題だ。


26。ほらな。上がってきた。

ほぼキャストの数だけバイトがある。しかし食い込みは浅くフッキングできるのは5割だ。


25か。


う~ん25…。

このサイズが続く。
釣れるのは距離にして10m以内5m以上の底である。
でかいのはもっと遠くか?違うラインか?
しかしそのどちらも許される風ではない。そこにしか投げられない。
ただ状況がこちらにすり寄ってくるのを待つしかない。
その場所で掛け続ければ周辺にいるはずの「違う魚」の意識がこちらに向いてくるかもしれない。
摂餌行為の音と挙動は周辺の魚にもスイッチを入れるのである。

ひたすら続ける。同じ事を。同じ風の中。降り掛かる飛沫に目を細め、強風に体を低くし続け続ける。

それにしても呆れるぐらいひどい風だ。ガイド間のラインが風に煽られBの字を形作る。

激流を溯るサケはずっとこんなふうかもしれない。
サケになった気がした。流れを溯っている気がした。だがそれはサケにとっては当たり前の事だ。

なら僕も。これが当たり前だと思い込む事にした。心の中で唱えた。

生まれてから今までずっとこんな風が吹いていたのだ。
これが普通の事なのだ。
地球はそういう星なのだ。
人間は風に向かって生きていくものなのだ。
それに耐えられるよう進化してきたのだ。

痛い時に痛くない痛くないと唱えれば不思議と痛みがやわらぐようにこの呪文は風への苦痛を和らげてくれた。

意識が先なのだ。特に僕はその傾向が顕著だ。
単純、とも言うけどw


あたりの出る場所が変わる。ずいぶん手前の中層に変化する。
ボトムを這わせていたジグヘッドがピックアップ体勢に入ったあたりで反応が出始める。
5m向こう。2mライン。
ほぼバーチカルな角度に巻き上げてきたジグヘッドにまたトゥン!とあたりが出た。
待たずに合わせる。
ドンっ!と乗る。鋭い突っ込み。体力はずいぶん回復しているようだ。
近距離に時間を掛けず一気に抜き上げた。



OK。27cm。
これでtopだ。取りあえず5mm越えた。

ルアーを替える。オレンジブルーのプロトサンプル。
ワーム内にウェイトが仕込まれ沈下速度が遅い。風のなかのボトムでの釣りには使いづらい。
だが魚は中層に上がってきた。行けるだろう。食わせる力は強いルアーなのである。

フルキャストした。

瞬間。パチン!と切れた。
向かい風にラインがガイドに絡まったのだ。

立ち尽くす。ロッドの途中から切れたPEがぱたぱたと風にはためいている。

その無残な光景に集中が途切れ「我」に返った。

また風を強く感じはじめる。苦痛、を感じる。寒さを感じる。
この風の中でFGを編む事を想像した。

嫌だ。

そして心が「ぽきり」と折れた。その音を聞いた気がした。

なにやってんだろ。

帰ろ。

topだし。


堤防に上がろうと手を掛けた。斜めの壁にスパイクを押し付け全身に力を込めた。

瞬間。心がささやいた。

「待て。待て。キレるな。もうちょいがんばれ。魚は居るんだよ。27で良いのか?完全燃焼したのか?」

堤防に手を掛けたままその言葉を反芻した。じっと止まって心の中を検証した。

ひとつ大きく深呼吸をした。

堤防際にしゃがみ込み体育座りで丸まった。

空を見上げた。今日はじめて空を見た。強風に済みきった空のちょうど南側にさそり座が浮かんでいた。
僕の生まれ星はさそり座である。その星を心のよすがにしようと決めた。

星を見つめながら折れた心が繋がるのを待った。
頭を空白にし何も考えずにBAGを開けリーダーを取り出しゆっくりとFGを編みはじめた。
僕は古式ゆかしくクラシックなFGの編み方しか出来ない。
何やらロッドのテンションを使った方法があるようだがそれが出来ない。
ぱたぱたと風に煽られるPEとリーダーをなだめなだめ集中して編み込んでいった。
そして一発で仕上がる。完成度も100パー近い。その出来栄えに力をもらった。
たかがFGだがこの風の中でそれは奇跡だと感じた。

折れた心が繋がる。

定位置につく。ライトを正面に浴びるライン。
近距離である。2.5gジグヘッドにGulp baby sardineを刺した。

そしてその1投目だった。
5m沖。
中層。

トゥン!!

体が反応する。ロッドを跳ね上げる。ジャストのタイミングで掛けた感触があった。
ドンドンドンドンと首を振る。底めがけて鋭く突っ込む。今日一は確実。

なぜかそこでロッドを見た。83deepは相変わらず美しいベンドカーブを描く。

「良かったなー83deepぅw」

わくわくして抜き上げる。上がってきた魚を見て「長い!」と思った。
アフターのメバルは「デカイ」でもなく「太い」でもなく「長い」と感じる。



28cm。このサイズからが僕のメバルだ。

ところでこの写真。なかなか良い出来栄えである。きれいな構図だ。
記念すべきキッカーフィッシュでもある事だし壁紙にしよう、とフォトショでいじくってみたw






空が白みはじめた。岩壁の向こうは朝まずめを持たない。空の光は魚を散らせる意味しかない。

ところが。

この日は完全に明るくなってから先端沖で時合があった。
ぱたぱたと25cmを3本追加。良い感じの連発だった。

完全な完全燃焼とはいかないが満足は感じた。

心折れずに良かったな。


そしてその後ダービー最終日まで3日続けて海に立った。26cmまでで更新は出来なかったが。

3/1。昼間の仕事から帰りPCを開きダービーの結果を確認する。

ん~…。

お!よしよしw



mazumeのライジャケ頂きました~!


ようやくあの人に勝てた。勝ったんだろうな。勝たせてくれたんではない、よな。


ひとつのイベントが終わった。バーブレスくんお疲れさまでした。



トータル長寸222.7か。





ん?222.7?





あっ!





くそっ!





キムヨナには負けたw


TACKLE DATA
ROD/Glamour Rock Fish TR83deep
REEL/EXIST2004
LINE/VARIVAS light game MEBARU PE0.4+7lbフロロ
LURE/jighead3g+beamfish
   jighead2.5g+Gulp baby sardine(28cm)
   
MOON DATA


コメント (30)
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GREEN

2010-02-11 00:17:25 | メバル
強風。豪雨。
今日の岩壁の向こうは渋かった。



26か。
もうちょっと欲しい。

3日前。ここで尺に切られた。

このまま終わってなるものか。
コメント (4)
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