星空☆Casting

釣れるものはみんな釣りたい。
夜の海で一人
ひたすら同じ事を繰り返す快感。
さあ、ご一緒に。

ナマズ釣りしかの川

2009-04-25 22:21:49 | 日淡
久々。

いろいろあった4月。
釣りどころではない日々が続き、海に立ったのはyasuくんの船が2回と岩壁の向こうに1回だけだった。
それもなにかのめり込めないものを背負いながらの釣り。
しかしようやく心根も生活も落ち着きはじめた今日最近。
この休みはコアユを探してメバろうと思っていたのだがするとまたこの天気だ。

雨か。
雨ね。
春の雨。

じゃあ、あれだな。あいつだ。やすや倶楽部の常連さんのブログにもぽつぽつ顔を見せはじめている。

そう。ナマズぅ。

何を隠そう僕はナマズフリークでもあるのだ。



僕とナマズの出会いは9歳の頃に溯る。
その頃三国に住んでいた僕は来る日も来る日も海に川にと釣りに明け暮れる日々を送っていた。
その頃の僕の淡水の釣り場は田園地帯を流れる幅5m程の用水路だった。
その川ではなんと、信じてもらえるだろうか、イトヨが釣れるのである。
きれいな川ではない。緑色のとろりとした水の流れる変哲もない用水路なのである。

子供のくせにホソの小物釣りなどという渋い境地に味わいを感じていた僕は
シモリ浮きにミミズの仕掛けでイトヨ道にのめり込んでいた。
銀色にぴらぴらと輝きトゲだけの背びれを持つその5cm足らずの美しい魚は僕を夢中にした。
小さな口に針をかける難しさを持つこの魚は僕の探求心に火をつけたのである。

ある日。

いつものポイントでイトヨを釣っているとシモリ浮きがゆっくりと斜めに沈んで行った。
イトヨのあたりとは全く違うその浮きの動き(今でも目に浮かぶ)。
ん?とあわせを入れるととてつもない重量が安物ののべ竿を襲った。
わぁぁぁー!!!
イトヨの繊細な引きしか予想していない僕はパニックに陥る。どうして良いか分からない。
両手で必死に竿にしがみつき為す術も分からず硬直する。経験のない引きだった。
間も無く水面にごぉぉばぁぁ!!と姿を現したその「とてつもない」魚はナマズだった。憧れの魚だった。

!?!!!!ななななまずぅーーーーー!!!

余計にパニックに陥ってしまった僕は何を思ったか竿を投げ捨て糸を直接手に取る。
竿の役割なんて理解していなかった。
そして当然、わずか1号の「銀鱗」はショックを吸収する余地を失いあっけなく切れた。

あーーーぁぁぁぁ!

持って行き場のない感情にその辺をうろうろと歩き回る。竿を手に取り切れた糸を見つめる。
その日は夜も眠れなかった。学校でも家でもナマズの事ばかり考えた。会う人みんなに言って歩いた。

僕はその時、図らずも、釣りの上達において最も重要な要素を覚える事となる。

「悔しさと後悔」

後日友人達と大挙してその川に押しかけ「ナマズ退治」を行なった。
金持ちの旅館の息子の友人がその頃見た事もなかったベイトロッドとクローズドフェイスリールとスプーンを使い見事ナマズを釣り上げた。そのナマズは僕のナマズだぁと叫びたかった。悔しくて悔しくて仕方なかった。のべ竿がくずに見えた。
そしてもうひとつの要素を覚えたのである。みんなも覚えがあると思う。隠してるけどw

「嫉妬」

僕のその後の釣り人生においてこれが最大のエポックメイキングである。
次元を越えて釣りにのめり込ませる事となった。

悔恨と嫉妬。

そこから直接今に繋がる。3歳の頃から釣りはしているが端緒はこの1匹のナマズなのである。



時が流れ、中学生になり、鯖江に居を移した僕はパラダイスを発見する。
田園地帯のある用水路。えん堤の下。産卵期に川を溯りもうそれ以上上れないナマズ達はそこに溜まっていた。
梅雨の増水のド茶濁りのその用水路で友人すえもんと共に釣りまくった。
のべ竿と太いラインと鯉針にえさは田んぼで捕まえたイナゴである。
もう無限に釣れる。20本以上釣る。濁って見えないが川底はナマズに埋め尽くされているかと思えた。
足場の高いその場所でカツオの一本釣りのようにぽんぽんと僕達はナマズを抜き上げる。
スカリに入れると上から下までぎゅうぎゅう詰めで持ち上がらなかった。

そこは有名な場所のようだった。
岐阜の川魚問屋のおっちゃんがわざわざそんなところまで来てひっかけ針でナマズをさらって行ったりした。
適当に流す引っかけ針で掛かる程いるのである。



そしてまた時は流れる。毎年春から梅雨にかけてこの川を訪れナマズを釣る。魚影はずいぶん薄くなった。
原点を見るような気がする釣りに、色々な事を考えながらロッドを振る。
「竿」は「ロッド」に名前を変えた。今はルアーだ。
しかし何も変わっていない。つくづく変わっていない。ナマズを釣ると良く分かる。

開高健が書いている。あるアメリカ人釣り師の言葉。

「大人と子供の違いは持っているおもちゃの値段の違いに過ぎない」

苦笑するほど、その通りだ。


2009/4/25。

今年の初ナマズ。もういるかな?と川を覗く。雨と苗代でマッディーウォーター。


良い事である。目の良くないナマズに水の透明度はあまり影響を与えない。
むしろ夜行性のナマズにとって濁った水は水中の光度を下げ昼間から活動する動機づけとなる。

3mの足場。川幅は8m程か。ポイントは対岸のシャロー。水深は約50cmで流れはない。
その対岸のコンクリートブロックのその際にやつらは潜んでいる。いつも同じ場所にいるんである。

バーブレスくんやどーよさんはスピナーでナマズを釣るのを得意としているようだが
足場が高く浅いこのポイントではハードルアーを引く事が出来ない。
水中にはいろんなもの(自転車やパチンコ台w)が沈んでいて根掛かりも激しい。
僕がここで使うのはテキサスリグである。ピッチングで対岸に送り込みピンポイントを打って行く。

ロッドはデスのF3-61X(HT800だよ)。
いつもはF6-69X(どーせHT800さ。初代さ。)を使うのだが今日は何となくこのライトなロッドを選んだ。
ワームはパラマックス4inch。波動が肝のナマズ釣りではグラブ系がやはり強い。まあ何でもいいんだけどね。
ワームフックのかえしは潰す。巨大なフックは致命傷になりかねないのである。

1投目。ここは必ず出る!ガチなピンスポットにそっと送り込む。
護岸から生えた雑草の影に必ず1匹潜んでいるのである。その雑草にルアーが乗った。
軽くゆすってルアーを落とす。ラインは雑草に掛かったままだ。狙い通り。
雑草を支点に静かに上下動を繰り返すとゴゴゴゴン!!といきなりあたった。おっしゃ1発!
約1年ぶりのナマズのファイト。これはなかなかでかい。その滑らかな引きを楽しむ。
マッディーウォーターのナマズは金色をしている。金色が渦を巻く。
ナマズは必死である。必死さが一番良く見えるのはナマズである。トルクフルなファイト。
しかし長続きしない。あっけなく裏返りあえぎはじめる。
腰を落とす。巻けるところまでリールを巻く。そして全身でそいやっと抜き上げる。
柔らかい草むらにそっと落とされたナマズはぬらりぺたりとのたうちまわる。



なかなかでかい。手尺で測ると60cmを少し越えたあたり。既に腹は卵で満ちている。



ナマズ。キモカワユスw

少し川を下ると田んぼへの取水口がありそこにはしごが設置されている。それを降りてそっとリリース。
大きなお母さんはつるりと水に馴染んで姿を消した。


気を良くして釣り続ける。
このポイントは狭い。50m程の距離しかない。その対岸を50cm刻みでピッチングで打っていく。
なかなか出ない。昔はどこでも釣れたのであるが。
この魚影の薄くなり具合は何なのであろうか?水質か?何なのか?分からない。

釣り上がって行きあるピンポイントに差し掛かる。無造作に捨てられたU字構が2本。
これは中学時代から変わらずそこにある。25年も続けてポイントであり続けている。なんてポテンシャル。

集中してピンのピンを狙う。上手く入った。入った瞬間ラインがすーと移動した。
ていっ!クラッチを繋ぐのと同時にあわせを入れる。再びF3-61Xに重量が乗った。

ナマズはごんごんごんとは引かない。
段のない重量の疾走があるだけだ。全身で水を捕まえロスなく滑らかに走る。
9歳の僕を硬直させたその重量感。しかし今はもう余裕だ。おもちゃの値段が違うのだw

これもなかなかのサイズ。ここのナマズはでかい。過去には70cmまで出ている。マナマズのサイズだろうか。



60を少し切る辺り。

U字構がこのポイントの最上流にあたる。それ以上狙うべきピンはない。ここで終了とする。

雑草で始まりU字構で終わる。いつも同じ。釣れる場所は決まっていてプロセスなんてない釣りだ。
しかしそこには安心感があるのである。今年も去年も一昨年もそのずっと前から同じ場所にナマズはいる。
季節が何度巡っても変わらず同じ事を繰り返せるのは幸せな事だ。

魚影は確かに薄くはなった。でも、ナマズ釣りしかの川はまだ生きている。

TACKLE DATA
ROD/DESTROYER F3-61X "SPEED TIP CUSTOM"
REEL/Millionaier CV-Z 103L "Club M"
LINE/VARIVAS game 16lb
LURE/PARAMAX4inch+1/2oz TEXAS

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陰に潜むもの

2009-04-02 11:38:41 | メバル
part2(執筆中)は置いといてw

もう2週間も釣りをしていない。いくら三寒四温とは言え、休み⇒荒れ 仕事⇒釣り日和 が続く。理不尽な。
しかしようやく休みと海がシンクロする。下がっていたテンションは元に戻り禁断症状が顔を出し始めていた。

行くしかあるまい。

あそこに。

3/29/19:00。

僕は岩壁の向こうに立った。これだけ通い詰めるとほとんど定点観測の趣が出てくる。
あちこちさまよい魚を探すよりも、却ってひとつの好ポイントを見つめ続けるほうが魚の動きが良く分かる。
魚の考える事が見えてくる。見えてくる気がする。見えてくるんじゃないかなぁ…。←さだかっ

海はほぼ凪ぎである。やや北風が強く小さいうねりはある。先端の平らな岩を時々薄く波が洗う。
新月周りで空に月はなく、灯のあるポイントでは絶好の条件と思われた。

さて。いっちょ、いわせてやろうか。

しゅんしゅんと83deepを素振りし、静かに微笑む。

ジグヘッド2.5gにGULPベビーサーディンを刺した。
またGULPである。
ほんと好きなんである。かたちも、柔らかさも、匂いも。ハァハァ。
先日とうとうmixiのBerkleyコミュに衝動入会してしまった。
「越前海岸でメバル釣ってるつーですっ!」などと自己紹介してしまった。
照れる。


今日のこの場所はいつもと違う。
ここには2基の明かりが設置されているが今シーズンはずっと暗いほうの1基しか灯っていなかった。
だが今日はもう1基も灯っている。強烈な白色の光。ものすごく明るい。

貰ったな…。

この闇夜にあってここは越前海岸で最も明るい場所なのだ。お魚はきっとここに集まる、はずだ。

さぁてと。

キャスト。
沈めて。
リトリーブ。

あれ?

キャスト。
沈めて。
リトリーブ。

あれあれ?

キャスト。
沈め…ず。
リトリーブ。

あれあれあれ?

何も起こらない。普通は一発である。三発不発であればそれはもう渋い。

渋いのか…。

キャスト。
沈めて。
リトリーブ。
キャスト。
沈めて。
リトリーブ。

やばい。本気で渋い。

だがようやく。
ココン!
なんだ、いるんじゃないか。あーびっくりした。

しかし…。え…。15cm。ピチピチ!。

それを最後に完全に海は沈黙した。何を投げても何をしても何も起こらない。
先日の舌”くんとの釣行時と状況は似ている。

つくづくメバルは分からない。不思議ちゃんにも程がある。
明かりの当たる場所にはちょうど潮目の泡がかたまって浮かんでいる。どう見ても釣れるはず。
小学生でもおねえちゃんでも酔っ払いでも釣れるはずだ。
しかも知ってるとは思うが僕は上手なのだ。4位だけどw

なんでだろう?いない…のだな、やはり、これは。

先端に立ち沖を狙ってみる。白色の2基目の明かりは遥か沖まで光の道を作り出している。
ちょうどそこにも潮目がある。釣れる雰囲気満点。萌える光景。

しかし。だめだ。何にもいない。釣れない。

……。

考えあぐねて僕はP-BOY12gを装着した。
フックはイカ針だ。こうなったらイカでも釣ろう。メバルなんてもう知らない。もうきらい。

フルキャストォォ!爽快なまでに遠くに着水する。
底まで沈めて
リフト&フォール。
リフト&フォール。
リフト&フォール。
ガキッ!
うっ!
根掛かったですかぁ…。近くを欲張り過ぎた。そこに根があるのは分かっていたのに。
PE0.4号はあっけなく切れる。またP-少年家出。もう何人出て行っただろう。

はぁぁ~。

どうしようか考える。帰ろうか。だが。やはり僕の呪われた手はFGを編みはじめた。
スナップを結ぶ。そこに何を装着するかが問題だ。バッグをあさる。何もアイデアが浮かばない。
うーん、と…迷い抜いて結局2.5gジグヘッド。そしてGULP。カサゴでも釣ろう。なんか釣りたい。

明るい場所に戻り直下にジグヘッドを落とした。5mの深さ。底まで落とす。
こん!あはっ。来た!あっけない。
カサゴ10cm!丸投げ好きな誰かさんの秀逸なネーミングによるとミニチュアダックスカサゴという。
カーさんはやさしいなー。何匹か釣る。しかし。やはり、虚しさが込み上げてきた。

はぁぁぁぁ~。

何か手は無いかとあたりを見回す。先端角が目に入る。
新規の明かりはその角にくっきりと明暗を作りだしていた。

影か…。

先端角に立つ。ちょうど直角をかたち作る平坦な岩盤の角を境に明確な光と影のコントラストが出来ている。
その境目にジグヘッドを落とした。2.5gのジグヘッドは自力でリールからラインを出す力を持たない。
3m程先に振り込みリールはフリーのままロッドをあおりラインを出す。その振り幅は約2m。
そして静かに糸が張るまで沈め、またロッドをあおる。それを4回繰り返すとボトムに着いた。
水深8m。水面が間近にあるので実感は無いが
海の水が全て無くなってしまったとしたら、僕は今、目も眩むような垂直の絶壁の端に立っているのである。

ボトムでシェイクする。すぐにコツン!気持ちいいあたりが出た。
なかなかの引きで上がってきたのは20cmのアカメバルだ。
よしよし、まあいいだろう。同じ事を繰り返す。コツン!再びアカメバル20cm。2匹とも煮付け用にkeep。

なんだかこの影はあやしい。何かいる。予感がした。

影の側に2m程入り込む。そこでまたジグヘッドを沈めた。北風が当たり横から波も来る。
ただ真っすぐジグヘッドを沈めるだけなのだがなかなかにテクがいる。集中する。
ボトムを取り、シェイクはせずゆっくりと巻き上げてみる。1回転、2回転、3回転…。
6回転目でコツンと消え入るようなあたり。びしっとあわせると柔らかく重い重量がロッドに乗った。

!!!。でかい!

ぐぅーとロッドを持ち上げポンピングでリフトアップしてくる。横方向で掛けるよりも重く感じる。気持ちいい~。
程なく水面が割れた。



よーしよしよし27cm。ここだな。ここなのだな。

8mのボトムから2000番のリール6回転なら5mラインだ。
そのレンジを直撃する。軽くシェイクを入れる。

ん?あたらない。まさか1匹だけ?いや、いる。はず。

ボトムまで落としてみる。そしてまたスーパーデッドスローに巻き上げた。

1……2……3……4……5……6…コン!

!!

やっぱりここだ!このパターンだ。
ポンピングせずにゴリ巻きした。ドラグがチリリチリリと出る。たまらんっ。



26だ。

はまった感触がきた。鳥肌が立った。
岩盤際30cmのタイト。5mレンジ。キャスティングでは絶対に獲れない魚だ。

Bertical worming。

繰り返す。集中する。ロッドをすぅぅっと操り、ラインを出し、沈める。
ボトムに着いたらゆぅっっっっくりと巻き上げる。それに全身全霊を傾ける。
手段が目的に変わった。ゾーンに入るといつもそうなる。

…5回転。5.3回転。5.6回転。そして。6回転。来るよ、と思った瞬間、ゴツン!と引き込まれる。くぅぅぅ~。
ロッドを跳ね上げる。みたび乗ったその柔らかい重量はひときわ重い。
チリリではなくジーとドラグが鳴く。沖に走る。これは…。でかい…。
5mからのリフトアップ。望めるのなら500mからリフトアップしたい。それぐらい気持ちいい。

充実の21:30だ。



久々の魚格。28は確実に越えている。なんだこのパターンは。

繰り返す。

もう完全に乗っていた。全身の力が抜けふわふわと体がゆれた。目を閉じた。それがリズムだ。

コツン!

メバルのあたりには色々あるが僕が最も好きなのはこの「コツン!」だ。たまらん…。

さっき程ではないがやはり素晴らしい感触。ゆっくりとリフトアップを楽しむ。味わう。



体形が戻った27cm。幸せを感じた。なんて素敵な魚なのだろうと思った。

次。同じやり方同じ場所で25cm。

そしてさすがに、そこで止まる。

明暗の境目から2m。岩盤から30cm。そして極めて正確に水面から5m。
その1点にこのサイズが5匹固まってサスペンドしていたのだ。何の目的か。何の儀式か。
そしてその場所を直撃しては反応しない。ゆっくりと上昇してくる物のみに反応する。


全くメバルは面白い。


ほんとこいつはねぇ。いいわ。



TACKLE DATA
ROD/Glamour Rock Fish TR83deep
REEL/EXIST2004
LINE/VARIVAS light game MEBARU PE0.4+6lbフロロ
LURE/2.5gジグヘッド+GULPベビーサーディン

moon DATA


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