星空☆Casting

釣れるものはみんな釣りたい。
夜の海で一人
ひたすら同じ事を繰り返す快感。
さあ、ご一緒に。

幽霊テトラ及び奇跡の海水浴場テトラに8時間立て篭もりっ Part1

2009-01-29 13:56:01 | メバル
2009/1/27。
釣友江崎さんと共に「岩壁の向こうのそのまた向かい側」1stアタックを敢行した。

しかしそこに至るルートが見出せず、無謀な事に側面の岩壁をクライミングし
揚げ句、降りられるであろうと踏んでいた先端部の防波堤にはどうしても降りられず
寒風がひゅ~と吹く中、10m以上の絶壁の上からの釣りを余儀なくされ、そのまた揚げ句に釣果0を食らった。
そこから引き返してみると、実はきちんと整備されたコンクリの道やはしごなどがちゃんとあり
苦もなくそこにたどり着ける事を発見し、ひざかっくんと力が抜けたのであった。

その後岩壁の向こう側に入ったが20cm3本という極貧に打ちのめされ我々はぼろぼろになったのだった。

しかし星空は壮絶なまでに美しかった。
あまりの星の数にオリオン座が紛れ込んで見つけられない程の星空だ。
釣りをする江崎さんを見ているとルアーが沈むのを待つ間じっと星を見上げている。
帰り際、空を指さし
「あのオレンジ色の星をアルデバランというんだよ」
と教えてくれた。

江崎さんとは能登の版画家兼陶芸家である。
数年前より釣りを始め、今では釣りができないと手がふるえ出すほどのジャンキーになっている。
ラインの結び方からキャスティングのいろはまで僕が教えたので
世間的には僕の弟子という事になっているが
その釣果は既に僕など遥かに凌駕し先シーズンは尺メバルだけで10本以上獲っている。
持ち前の集中力と粘りで何がなんでも海から獲物を引きはがして来てしまうのだ。

その釣りを見ていると、いちいちのやる事の意図がはっきりと見て取れる。
上手くて繊細で理論的な釣り師である。
このブログにもちょくちょく登場してくるであろうと思う。覚えておいてね。


そして2009/1/28。

昼過ぎに重い体を引きずって布団から這い出してみると江崎さんは既に能登に帰った後で
テーブルの上の置き手紙には
「今夜はでかいのが釣れそうだな、がんばれ」
などと書かれていた。
「うんそうだね、がんばろう」
からからの心に、少し力が湧いてきた。

18:00。
ポイントに入る。
凪ぎ。無風。
細い細い上弦の月が仰角20度あたりに浮かび沈みかけている。影の部分も丸くはっきりと見える。
その光と影を見ると月は球体である事が実感できる。
大昔の人は、あれをなんだと思ったのだろう。
不可思議な事に、この星の横には、巨大な球体が浮かんでいるんである。あんな近くに。



ここは大きな漁港の外テトラ。
いわゆる「幽霊テトラ」に入りたかったが既にヤリイカ師が入っていた。
そこから100m程横の岩周辺のテトラだ。足場が高く約3m。
3lbのナイロンラインでメバルを始めた頃、この3mでどれだけのデカメバルを落とした事か。

今日は何があってもひたすらテトラに立て篭もる覚悟である。
母や嫁が涙ながらに拡声器で昔話をして説得したとしても決して負けない。
断然立て篭もるんである。
やり抜くんである。

テトラ帯での釣りはラインの消耗が激しい。
渋いとなるとテトラ際を狙わざるを得ないので尚更である。

今日はラインをいつものPE0.4号+6lbフロロからPE0.5号+7lbフロロに上げた。
たった0.1号+1lbのupであるがまるで違う強度となる。
PE0.4号+6lbフロロには純粋にフィネスの香りが漂うが
PE0.5号+7lbフロロは完全なパワーフィネスである。
何が来ても心配なしにゴリ巻きが可能。テトラに潜られて獲れなかったスーパーBIGも何匹か記憶にあるのだ。

この辺りのテトラは「ある条件」が来れば例外なく爆発する。しかし今日はその「ある条件」は来ていない。
先シーズンは知る限り1度も来なかった。
来ないとなれば渋い釣りとなる。今日もそうなる。しょうがない。その中でやるしかない。

ん?ある条件?

ないしょ。


まずは強気にIMAKATSU RIPRIZER 60フローティングを流すが反応はない。

しばらくブルースコードC60をロングクルージングさせ続けるがこれもだめ。

ロスト覚悟でテトラ際をこするようにピンテール6で探るがあたりすらない。

ヤリイカ師の電気浮きを観察するが投下点から全く流れない。潮は止まっている。

「はー」

つらい一日となりそうだ。

だが潮は今から差してくるはず。回遊待ちとなる。
しかしただ漫然と回遊を待ってルアーを投げ続けるのは非常につらい。

こんな時いつも僕はボトムをジグヘッドでひたすらシェイクする。
ボトムに落として根がかりがない事を確認し、そこでそのまま1点シェイクを続けるのである。
釣れてくるのはほぼカサゴであるが1キャストで5~10分を消費でき良い時間潰しとなる。
明確なあたりはほとんど出ず、集中力と反射神経を養う良い練習にもなる。

そして数投ごとに水面を流し回遊の確認をするのだ。

2gのジグヘッドを5mのボトムで1点シェイクし続けるのはなかなか難しい。
張りのあるロッドと無風の条件、それにある工夫が必要である。

ある工夫。簡単である。

ジグヘッドは直結にせずスナップを付けるのだ。
ジグヘッドのアイとスナップの隙間が遊びとなって微細なシェイクなら吸収してくれる。
吸収はするがワームは震える。そしてジグヘッドは位置を変えない。
この震えはかなり広い範囲の魚を寄せる力がある。シェイクし始めて10分たってあたりが出たりする。
あたりは渋い。コンッとくる事はほとんどない。
つんつんつんつんというジグヘッドの感触を感じながらシェイクし続けるとある瞬間そのリズムが乱れる。
それがあたりだ。

ジグヘッドにスナップは何もこの釣りだけに効果をもたらすのではない。
キャスティングとリトリーブの通常の釣りでも卓効を発揮する。
まず食い込みが良い。それにテールを震わせるタイプのワームならジグヘッド全体でアクションしてくれる。
そして何より飛距離が伸びる。
硬いフロロをリーダーにして直結するとアイの部分で角度を変えられないリーダーが空気抵抗となって飛距離が落ちる。
スナップであればワームに沿うかたちでリーダがたたまれ空気抵抗を受け流してくれるのだ。

バスからこの釣りに来た人には抵抗があろうと思う。素人の所業だ。僕もそう思っていた。
しかし今ではジグヘッドにスナップは絶対になっている。まだの方。どうぞお試しを。


何匹かカサゴを釣る。ワームはGULPベビーサーディンだ。
Jの字に体を硬直させてカサゴは無抵抗に上がってくる。
ジグヘッドはバーブレスである。魚体に触れずリリースする。楽しい。

そして。

何投目か。

つんつんつんの感触がなくなりジグヘッドがぬるりと横に動いた。
手首で軽くぴんとあわせた。カサゴのつもりで。

ごんごんごんごん!!

!!!なんだ?でかいっ!

がんっと本あわせを入れる。

ごんごんごんごん!!

何かとんでもなく大きい。シーバスか?いや違う。引きが全く違う。

まさか…メバル…か?

これがメバルであれば大変な事である。尺どころではない。
やってしまったか…。胸がドキドキしてくる。
それほど走らない。しっぽ一振りの移動距離は40cm程。魚体もそれぐらいのはずだ。
メバルの引きとも違う気がする。
それにやはり大き過ぎる。メバルでは…おそらく…無い。

じゃあ何なんだ?思い浮かばない。早く知りたい。
重量をロッドのバットにしっかりと乗せラインを信じてゴリ巻きした。
水面がゴボリと渦を巻いた。
ライトで照らす。

!?。チヌ?。チヌか~。そうであったか~。

水面に横たわった魚体がアルミホイルのようにぎらりと輝いた。

40…5ぐらいあるな。てことは…2kg近いな。3mのテトラ。抜き上げは不可能だ。
相変わらず網は持っていない。僕はまた途方に暮れた。同じ事を何度も繰り返すのが僕だ。

ハンドランディング…。
水面までは無理をすれば降りられそうだ。しかし一旦水際から離れて後ろに回る必要がある。
ラインは確実にテトラにこすられる。しかし仕方ない。それより他に手が無い。
ラインが緩まぬよう気をつけながらテトラを滑り降りた。
降りられるけど、上がれないかも…。
一瞬頭をよぎるがかまわない。何とかなる。
海水が薄く洗うテトラに乗った。間近にチヌが横たわる。ぱんぱんに張りつめた白銀のベリー。美しいな~。
口から出たラインが胸びれに引っ掛かり裏返りかかっている。
そのあたりのリーダーがソフトイカのようにささくれ立っている。まずい。

しかしチヌのハンドランディングってどおやるんだ?
口は小さい。えらはぴったりと閉じている。持つところが無い。

悩みながらリーダーを持ち、考えもなく何となく魚体に触れた。チヌが頭を小さく振った。

ぷつん。

あっ。

ささくれたリーダーが…切れた。毛穴がぞわっと開いた。チヌは体勢を立て直しゆっくりと海中に帰って行った。
僕は、固まったまま、それを眺めていた。なす術無く。
これは…持って帰りたかった…。

やっぱ、網、必要だな。何度も思った事を、また思った。



まだまだ続く。
この日は8時間釣りをしたがここで、まだ、3時間だ。
このあとはそんな大したもの釣れないんだが、ひとつ、また、事件があった。ひっぱるね。w

TACKLE DATA
ROD/Glamour Rock Fish TR83deep
REEL/EXIST2004
LINE/Daiwa Emeraldas SENSOR 0.5号+7lbフロロ

Moon DATA
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惨敗

2009-01-23 23:49:57 | メバル
2009/1/22。
この日夕方。

BARBLESSのカウンターで
いひひ、うふふと
あぶない薬の密売のような雰囲気で「多い日夜用slimナミノハナアルミ」の受け渡しが行われた。

見て思った。

「ぁ…なんていやらしい…」

生命のかたちに忠実であろうとする彫刻と、1.5倍量のウレタンを身に纏ったそれは
ぬらりと、てらりと、妖刀のように光るのだった。
血を吸うのを、待っているようなのであった。

これだ。








この男は若くして作ってしまったのだ。
生涯の代表作を。

それも

「多い日夜用」などという名前で。


 w


海に向う。

前日の朝、越前町のほぼ中央で崖崩れがあった。期限不明の通行止めとなっている。
このあたりをホームグラウンドとしている僕としては大変痛い事だ。
RunGunができない。あちらか、こちらか、一発勝負となる。

どっちに行こうか。

海に降りる道は2本だ。
ハンドルを握る手はやはりそちらを選んだ。
タックルBOXの中のナミノハナアルミが選ばせたのだ。

岩壁の向こう。

ナミノハナといえば、ここしかない。

今日の満潮は23:00辺り。ポイントに入ったのは18:30と少し早い。上げかけた潮がしばらく中だるむ時間帯。
海面を覗くがナミノハナの姿はない。
小雨が降り、山から吹き下ろす風はやや強く、うねりはないが白く風波が立っている。
あまり良い状態ではない。

しかし先日1/18にも友人とふたりここを訪れていたのだが
その日は今日とは比べ物にならない烈風が吹き氷雨が降り
ラインは巨大な半円を描くような状態であったが渋いあたりを捕らえて26cmと25cmを獲っている。
そんなのなら今日もなんとかなるはずだ。

手始めにROLLING BAIT 48を投げる。前日にやすやさんで仕入れたのだ。
サーチベイトにはうってつけである。飛距離が出て、小粒で、アピールが強い。
水面もボトムもこれひとつで探ることができる。
使っているうちにこのルアーの最も効果的な使い方はボトム付近のリフト&フォールであろうと気付く。
海底の岩と海藻を微妙に感じながら、その動作を繰り返す。ここんっとあたり、20cm程のアジが釣れる。
釣ってみて気がついた。このルアー、バーブレスフックが付いている。

「なんて素晴らしい…」

全てのルアーのフックがバーブレスになれば良いと僕は思う。
外れたりしないし、むしろ良く刺さる。手返しも早く魚も傷つけない。
ブレイクして魚の口にルアーを残したとしてもきっとすぐに外れてくれるだろう。
良い事しかないのである。おそらくメーカーも分かっていると思うが…。
このTACKLE HOUSEというメーカーは
何かと、メインストリームとは少し外れたところを選んでくる面白い会社である。

しかしメバルは釣れない。
釣れないのか、いないのか。判断ができない。
ピンテール6を光と影のラインに通すがやはり釣れない。
暗い場所に入り根の周辺を打つが答えは返らない。
ブルースコードC60を先日の28cmの根にこすりつけたが何も起きない。

「こりゃいねえなぁ」

じゃあ、シーバスもいないよな。なら使うか。
ウェストバッグを開け、声を掛けた。

先生。

出番でございます。

さあ。

LEDの明かりに照らされたナミノハナアルミは、やはりいやらしい輝きを放つ。色気すらある。

「こ、こ、こ、これを海に投げるのか…。」

やや躊躇したが明るい明かりのど真ん中に投入した。

姿に似合わぬ重い引き心地。メバルにこの引き心地は大切である。追い食いの軽くなるあたりが取りやすい。
デッドリーにスローに引いてくると何やら感触があった。

パラッ、パラパラッ。

何かがルアーにあたる。

ナミノハナだ!

暗い場所で時間を使ううちにいつの間にか回ってきていたのだ。

ナミノハナアルミは今、ナミノハナの群れの中を、まるでナミノハナみたいな顔をして泳いでいるのである。

ほぼ同時に重いうねりが2波3波と押し寄せてきた。
潮が満ちてくるのだ。

ターボエンジンのブースターの針がひたひたと上がるように、釣れる条件も徐々に満ちてくる。
間も無く釣れるであろう。間違いなく。


しかし。

…。

…。

えーと、何も起こらない。

相変わらずパラパラとした感触は続くがそれだけである。

おかしい。いないはずがない。

どんどんどんっ!いるんでしょー!分かってるんだから。居留守使ったってねぇ、こっちもプロなんだから。
どんどんどんっ!ねー払ってよ!いるんだろっ!おい!払えっつってんだよ!!

借金取りのような勢いであらゆる手を使い必死で釣りをするが全く何も起こらない。
ナミノハナアルミはそっとBOXにしまいピンテール6に替えるが状況に変化はない。

風が強くなってきた。雨も強くなってきた。

防水性のないダウンジャケットが重くなり始める。内部に少し沁みてくる。
寒さを感じ始めた。

釣れない。分からない。寒い。お腹も空いた。

なんだか。

萎えてきてしまった。

しばらく佇みどうしようか考える。

帰ろうか。

と思ったが最後にひとつだけ、これを投げてからにしよう。


えーと。もう一人の先生。

なんか出番ですよ。

まさかね、先生のお手まで煩わすなんてね、へへ。ささっ。


GULP ベビーサーディン。

向かい風が強いので3.5gジグヘッドを選ぶ。

明かりの真ん中に投げた。どうせ釣れやしない。ほんとにいないんだから。

シェイクしながらリトリーブ。え?

もぞもぞ。

ええ!!

体が反応した。ロッドを跳ね上げる。ごんっ。



GULPで1発。22cm…。いたのね。そこに。きっと。ずっと。

2投目。

もぞもぞ。

うそぉ~。
20cm。
その後も20cm20cm20cm…。ただのひとつも外さない。

GULPであったか…。
前回危険なテトラでは全く効かなかったのだ。
しかもここはナミノハナうようよなのだ。

分からん…。

色気が出てきてサイズが欲しくなる。ボトムを狙う。

リフト~~~アンドフォ~~~ル。

ゴン!

ん!でかい!が…、違う。


カーさんでしたか。24cmもあるね。

ははは。はは~ぁ。

なんだか今日は、思いっきり、陵辱された気分。

帰ろ。

そう思うのと同時、闇空に世界一ひどい音質の「イエスタディ」が響き渡った。

さみしい…。

TACKLE DATA
ROD/Glamour Rock Fish TR83deep
REEL/EXIST2004
LINE/VARIVAS ライトゲーム メバル PE0,4+6lbフロロ

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危険なテトラ

2009-01-20 04:30:58 | メバル
前回の続き。2009/1/8。同じ日。

23:00から某巨大防波堤の外テトラに入る。

ここは僕のホームグラウンドである。

2006~2007シーズンのここは凄かった。

2006/12後半に爆発しはじめ、連日のようにメバル50本の釣果を叩き出した。
2007/1/2には27cmupのみで40本という経験もした。


(2007/1/2 Keep24本…こんなにkeepする事はもうありません。ごめんなさい。若かったんですぅ。)

しかしその日その場で、幽霊に遭遇するという身の毛もよだつ体験もした。
ちなみに霊感はあまりないほうだと思う。

それまでは20cmが釣れれば大喜びしているアングラーだったのだが
この場所に出会い、そして同時期にGRF-TR83deepも手にし、僕はメバル師になったのだ。

釣りが上達したければ、釣れる時に釣れるだけ釣る事である。
ただ漫然とではなく
投げる場所、投げ方、リーリング、アクション、あわせ、いなし、取り込み、全てを意識的にする事だ。
所詮、釣れるのはある程度偶然ではあるのだが、その偶然の説明ができるぐらいまで。
恣意的に、しかし自然に、そんな釣りができるくらいにまで徹底的にやることだ。
それを思う存分にできたこの場所に出会えたのは幸運だった。

しかし2007~2008シーズンはうってかわって不調で28,29cm程度のサイズは出るが数が全く出ない。

「去年釣り過ぎたんかな?」

本気で反省していた。



前置きが長い?

???

ああ。

それがこのブログの特徴です。



さてこの日。

荒れる事の多かった今シーズン、凪ぎの条件でここに入るのは初めてだ。
この危険なテトラ帯で水面まで降りられる場所は3カ所ある。
その中央。とがった岩に隣接するポイントに入った。

「何を投げるかな…」

タックルBOXを眺める。やはりこれしかないであろう。

「多い日夜用slimグリーンメタリックレッドヘッド」

シーバスが釣れる可能性はほぼ無い。deepである。風はない。
よほどテトラをタイトに攻めない限りロストは無い。
大切なこのルアーも安心して使える。多い日でも安心(苦笑)

わくわくしながら岩周辺にキャストする。
リールを5回転ほど巻く。それで分かる。あああ。今日は爆発日ではないな。がっかり。

ここが爆発する日はリールを5回転も巻けないんである。
水よりも魚の方が多いんである。ほんとに。

しかしそのキャストのpicup寸前。

ゴゴゴゴ。

いきなりのHITでメバル26cm。
次のキャストでもまた足もとで25cm。
テトラにタイトに着いているのか。
テトラに沿って投げてみる。
23cm。連発である。

ううむ。
多い日夜用slimはやはり良く釣れる。
今日はおそらく渋いのであるが、何だかルアーの力で釣れている感触がある。
やる気満々の魚ではなく何やらよっこらせと無理矢理食ってきている感じなのだ。

なんか面白くない。

ジグヘッド1,6g+GULPベビーサーディンにチェンジする。
………。音沙汰無し。

MARS R32 2.2inc。
………。音沙汰無し。

ね。やはり渋いのである。

ルアーを元に戻すと。
数投でまた25cmが手の中にある。

恐るべし。このルアー。GULPより釣れる。

テトラ際ではサイズが出ない。何がなんでも28upが必要なんである。

沖に投げ、20カウント沈め。デッドスローで巻いてくる。

すると。

ヌー。

!!!。

これぞまさにグッサイズのあたり。逃がすかぁ!!とばしっと合わせる。

ズル。

抜けた。

力も抜けた。なんで抜けるの?普通掛かるでしょ。

また投げる。すると再び。

ヌー。
バシッ。
ズルッ。

なんでー!?訳が分からない。
フックを確認するがキンキンである。

混乱しながらまた投げる。するとみたび

ヌー。

おまえはヌーか!!

手が走りそうになるのを抑えてスゥィィープに合わせてみる。

ドンッ!!

おっしゃぁぁぁぁー!!乗ったー!!

…?。しかし様子が変である。重いのはものすごく重いがファイトしない。
巻いてくると時折「ヌー…ヌー…」 と引っ張る。やはりヌーか?でもヌーってなんだ?
しかし…これは…なんだか覚えのある感触。

???、!?、!、!!!!!。

これが何であるか分かったのとほぼ同時にやつは浮かび上がった。
その浮き方がこの魚属独特である。

ぴしゃーぴしゃー。

月に照らされ穏やかな海面に噴水が上がる。
噴水を上げる生き物はクジラかシャチかこいつだけである。もちろんクジラではない。シャチでもない。









ヤリイカかいっ。しかしかなりでかい。胴長35cm。

テトラの上に横たえてしばし笑った。

しかし。

イカまで釣れるか「多い日夜用」。

このルアーの作者バーブレス山田さんは
数年前メタルジグのキャスティングによるヤリイカ釣りを開発し、世間に広め
一時期周辺の釣具屋の片隅の、それまでは棚ざらしだったP-BOY12gを軒並み品切れにさせた伝説をもつ。

これはきっとその呪いだ。

釣られたヤリイカと、ロストされた大量のP-少年の…。

TACKLE DATA
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岩壁の向こう

2009-01-17 04:08:02 | メバル
2009/1/8。
海は凪ぎ。風はなし。中潮。23:00の満潮を狙って20:00からポイントに入る。
越前海岸のとある防波堤の先端。
防波堤の先端といえどもそこに入るのは容易ではなく
約6mの垂直の岩壁をクライミングしなければならない。
しかし苦労して行くだけの事はあるのだ。
そこは潮通しが良くdeepで沈み根も豊富。
しかも明るい灯りが先端左側を照らし右側は暗く影になっている。
ここではあらゆるパターンの釣りができる。ベイトも常に豊富だ。
そして何より人がいない。

灯りが一番強くあたる海面を覗くとキラキラと銀河のようなまたたきが見える。
ナミノハナだ。いつもより多い。全てのフィッシュイーターの糧。魚の米だ。
「いただきぃ」つぶやいてポイントに入る。
狙いはメバルだ。それもMEGAなやつ。28cm以下はメバルではない。

この防波堤の先端は磯の上に作られており
その礒に降りれば海面から70cmの位置で釣りができる。
しかしいきなり先端の美味しいポイントに入ってはいけない。
不用意に先端に立つとサーチライトのように照らす灯りに晒された僕の影が
先端直下にある沈み根にかかり魚を警戒させる。

先端5m手前でしゃがみこみ沈み根の向こうおよそ10mにルアーを投げる。
投げたルアーはこれだ。

jack-nick rures「 多い日夜用ナミノハナアルミ」。右上のやつ。
バーブレス山田さんのハンドメイド天才ルアー。マッチザベイトにも程がある。
リアルなルアーが、果たして魚には本当にリアルに見えているのだろうか?との疑問は常にあるが
これはそのままナミノハナにみえているであろうという確信がある。確信こそ力だ。

キャストして2秒ほど待ち、デッドスローで引きはじめる。
沈み根にかかる手前。来るぞと思った瞬間。


カッツーンッ!!


硬質で明確なアタリを83deepは捕らえた。一発だ。がしっとあわせる。
ごんごんごんっ!。鈍くその場でもがくような引き。
一瞬尺メバルかと思うが違う。すぐにウィィィィィーンと猛烈にドラグが出る。
「ああ…。またや。」シーバスである。
直近過去4回、この場所に来て全てシーバスを掛けている。
ライトタックルで掛けたシーバスは、フッキングの瞬間戸惑ったように首を振る。
その動きが抱卵した尺メバルの引きにそっくりなのだ。しかしね、もうね、だまされんわ。もう慣れたわ。

だがこいつはいつもよりでかい。足もとで約10mのdeepにひたすら突っ込んで行く。
ラインシステムはPE0.4G+フロロ6Lb。
ドラグはメバル28cmのMAXの引きにちりりと出る辺りにあわせてある。
この設定ならまず切られない。根に潜られない限り単なる持久戦である。

僕の右手は秋アオリでしゃくり過ぎて腱鞘炎になっている。未だ癒えていない。とても痛い。
あんまりそんなに強く引っ張らないで頂きたいのであるが。

4、5分掛かったか、何度かの強烈な突っ込みをかわしやつも疲れてきた。
水面に横たわり荒く息をしている。70は軽くあるな。しかも太いな。困ったな。
そう、困るのである。なぜって?ネットがないのだ。そもそもそんなものは持っていないのだ。
メバルであれば例え35cmでもこのタックルなら抜けるのである。
1リットルPETボトルでベランダから試したのさ。楽勝。僕の釣りにネットなんていらんのである。

腹ばいになってハンドランディングしようか?いや届かんな。
先端の向こうに回って低い場所を探そうか?いやいやポイントが荒れるな。うむむ。
悩んでるうちに唐突にやつは息を吹き返した。いきなり突っ込むぅぅぅー。やめてー。
竿の角度がほぼまっすぐになりイグジストの超絶ドラグも追随が遅れた。


プチン。

切れた。

あああぁぁ。

逃した魚よりも失われた貴重な「多い日夜用slimナミノハナアルミ」を想う。
魚の口にルアーを残すのも痛ましい。
あああぁ。
怒りにふるえる。魚に対してではもちろんなく自分に対してである。
ネットぐらい買えよぉ。うじうじ。
獲る場所ぐらい考えとけよぉ。うじうじ。
だって…メバル…釣りに…来たんだもん…。うじうじ。
過去4回はオートリリースとか荒れ気味の日には波に乗せてうまいこと礒まで上げられたんだもん。
なんとかなる思ってたんだもん…。うじうじ。

岩に腰を下ろし防波堤に背をもたれFGノットでラインを編む。いくぶん手が震えている。

次に何をどこに投げるかが問題だ。
多い日夜用slimはもうひとつある。しかしこれはさらにレアなグリーンメタリックレッドヘッドである。
もう失えん…。使うの恐い…。
悩んだ揚げ句「ジャクソンピンテール6」を選ぶ。

灯りの当たる場所は避け防波堤の反対側の影に移動。
こちらには露出した根がありその周辺は微妙にサラシちゃったりなんかして
こうなってみるとなんか見るからにシーバスっぽい。

「あそこは危険だ」

根は避けてオープンウォーターに投げる。何やってるんだろう。

着水。そしてリーリング。次にいやな予感。

カツーン!!

!!!!?あああぁぁ!?

シーバスHIT。また一発である。なんか今年は濃過ぎないか?
先程よりは小さい。やや安心する。60ぐらいか。
しかし小さいなら小さいなりに、活きの良いちんぴらチックなファイトを見せる。
せわしく駆け回り、小さく何度も鋭く突っ込み、また手が痛くなってくるんである。

「これはキツイ…」

なんとか足もとの水面に横たえた魚体はやはり60ちょいだ。
しかし抜くわけにはいかないな。見回すと礒場の奥に露出したスリット。
再奥がスロープのようになっており引きずり上げられそうだ。
誘導し、波の力でスロープに乗せ、波が引き魚は陸に取り残された。
下あごをつかむ。「ふー」と息を吐く。さっきもこうすれば良かったのだ。
62cm。帰宅後撮影。


フックが曲がったのでルアーチェンジ。
「Maria ブルースコードC60クリアホロ」
影の側から再び先端直下の沈み根を通す。
暗いところに隠れて、明るい場所を見つめ、打ち、獲物を狙うんである。水中のやつらと同じように。

何度目かで鈍いあたり。明確ではないが確かな生命感。違和感。
すかさずピシリとあわせるともったりとした何かがうごめいた。
あまり引かない。ぬーと上がってくる。至近距離なので一気に抜いた。
べたんばたんとのたうつ魚体。太っているので尺か?と思うが手に持つとそこまではない。
抱卵したベリーと脂肪でやわらかくなったボディー。ぱんぱんのメバルだ。28cm。


バッカンに水を入れ泳がせて眺める。
上から見る水中のメバルの目は水晶のようだ。
ひれを交互に揺らし、ゆっくり大きく息をしている。
この姿を見るとすぐに情が湧いてしまう。殺せなくなる。
バッカンには先程のシー様も頭を突っ込んでぜーはー息をしている。
気の毒とは思うがなぜか情は湧かないんである。

その後はジグヘッドの釣りをしたが25cm程度が何匹か釣れたのみ。
プラグに替えてもあたりは遠のきそろそろ潮時。
もう一ヶ所気になる場所があるからと移動する事にした。

まだ続くんである。
ね。長いでしょ。

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2009-01-15 13:17:58 | メバル
なんというひどい天気なんだろう。
海にはお腹パンパンのメバルがひしめいているであろうに。
せっかくの休日なのにこうなると僕は何にもする事がない。
ふと思いついてブログでも始めてみようかとPCの前に座った次第。
内容は釣りの事だけでいこうと思うが
ものぐさな性格のため更新頻度は高くはないと思われ
しかし根が細かいため一旦書きはじめるとひたすら長文になるという悪癖があって
某SNSでも辟易されているのであるがここもそうなりそうな予感。
自分では理論派だと思っているのに全然その理論通りに事は運ばず、釣れない事も多いんであるが
釣れたとなればできるだけ詳細に、皆さまの釣行の足しなどになればと。…ならんか。
まあ、釣りのできないこんな日に、お気が向くようであればごゆるりとお読みあれ。
よろしくね。
コメント
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