星空☆Casting

釣れるものはみんな釣りたい。
夜の海で一人
ひたすら同じ事を繰り返す快感。
さあ、ご一緒に。

無意識の中で

2009-12-02 12:57:26 | メバル
12/1 21:00。

今日はオレンジブルーのけーさんとの釣り。

狙いはもちろんメバル。
なのだが前日yasuくんとの釣行ではメバル26cmとシー様60弱1本の貧果に終わっている。

全て明る過ぎるお月様のせいだ。
yasuくんも途中でなげやりになっていた。お月様のバカ。


この日は満月。前日より更に明るさを増した月がかーっと照っている。雲もどこにも無い。
波でもあればサラシのシェードができるのであるが布を張ったようなべた凪。

だめやな、これは…。

けーさんは初メバル釣行である。
良い思いをさせてあげて、この底無しの世界に引きずり込みたいのだがなんせ日が悪い。

困ったな。全くのノープラン…。

なんとかせねばと待ち合わせまでの1時間にとある場所に入る。ここは臭いと以前から睨んでいた。

そこはウェーディングでかろうじて渡れるテトラ。暗闇のシャロー。

水中に点在する岩に乗り腰まで水に浸かりなんとか渡る。恐い。

しかし苦労して行った割にはメバルのあたりは無く20~25cmのアジだけが入れ食った。
まあ最悪アジでお茶を濁すしかあるまい…。

待ち合わせの時間が迫ってきたのでまたテトラから陸にウェーディングで渡る。
歩石のように並ぶ水中の岩にゆっくりと足を乗せていったが二歩目でずるっと滑った。
周りは深い。胸以上の水深。
その深みにゆっくりと倒れ込んだ。

「死ぬっ!」

辛うじて足が着いた水底をトンっと思いっきり蹴ってテトラにしがみつく。
なんとかウェーダーへの海水の浸入は免れた。あ~恐かった。

あ…。

やべ…。

ウェストバッグ…。

完全に水没した。

外ポケットにはデジカメが…。

おそるおそる取り出す。

びしょ濡れ。終わった…。

電源を入れてみる。おっ!電源は入る!しかし…。

みょいーんと伸びて出たレンズがカタカタカタタタタカタと痙攣を始めた。
そのうちピッピッピッといまだかつて鳴った事の無い心動パルスのような音がし出した。
そして真っ黒だった画面がいきなり真っ白に輝き痙攣と心動パルスが止まった。

死んだか……。

シャッターを押してみる。

沈黙。

電源ボタンを押してみる。

電源が切れない。


死んだ……。


なんだか生物が絶命するように僕のデジカメは逝った。

どうするんだよぉこのダービー佳境の大事な時期に。まだリミット釣ってないよぉ。
デジカメ買う金なんて無いよぉ。


あの~どなたか僕にデジカメ下さい。写れば良いです。

あっ!写るんです買ってバーブレスくんに写真送り付けようかな…。


こんなとこ来なきゃ良かった…。いらん事をするとひどい目に遭う。人生の教訓だ。


まあ今日は何か釣れたらけーさんに撮ってもらえばいいや。
待ち合わせ場所に急ぐ。

時間ぴったりに到着。既にけーさんは来ていた。

「今日はどうです?」
「えーと…渋いと思います…」
「なんか釣れませんかね」
「あ、アジなら…」
「じゃあ何ならそれでも」
「一応メバルやってみましょう」

車に乗り込みあるポイントに急いだ。前回のブログでシー様をあげた場所。広大な藻場のシャロー。
魚のストック量は多いはず。タイミング次第でなんとかなるかも…。

ポイント1カ所目。

天頂にはまぶしい満月。やはり海は沈黙している。
けーさんは黙々とMr.Donのトラウトロッドを振っている。その後ろ姿をみているとなんだか不憫を感じる。

僕も黙々とロッドを振る。何の希望も持っていない。

は~。

しかしそうこうしているうちに月が薄い雲に覆われる。うろこ雲を立体的に輝かせ月はぼやけた。

おっ!これはチャンスかも!

そしてその通り近い位置で26cmが釣れる。

おお!月と影理論健在!

しかしまた月が輝き出し海は沈黙の中に沈んだ。

は~。

場所移動。

2カ所目。テトラポイント。

テトラをタイトに打つが反応無し。

しかしけーさんが10cm程のピチピチメバルをあげた。けーさん人生初メバル。
その後もけーさんは釣る。ルアーはgulpだ。15cm,18cmと徐々にsize upしていく。

「だんだん大きくなってきますねぇ」

けーさんは嬉しそうだ。ならいいや。
僕は完全に見切りモードに入っている。こんなのが釣れる場所でMEGAなんて出ない。

そのうちそこでもあたりは止まる。
場所移動。

車に乗って大きく場所を替えようかと思ったがここでもう1ヶ所やってみる事にした。

けーさんに良さそうな場所を譲り僕は適当にbeamfishを投げる。何にも起きない。
けーさんに聞くとこつこつとあたりはあるという。gulpの力か。

集中するけーさんをさておき完全に為す術が無くなった僕は潮だまりウォッチングを始める。
ガラス細工のようなモエビが沢山いる。ぴかーと目を輝かし群れている。

「これ捕まえてエサ釣りすっかな…。」

いや。それだけはやるまい…。

退屈してまた釣り座に戻った。

そのキャストを僕は覚えていない。なぜそんなところに投げたのか未だ理解できない。
投げたのは潮だまりだった。幼稚園児が赤いバケツ持って海水浴をするような場所だ。
岩はあるにはある。しかしどシャローだ。50cmも無かろう。

どこ投げてんだよとピックアップするつもりでリトリーブした。
ひとつの小さな岩の横をbeamfishが通過した。

ごごごご!

ええ~!と思いながらあわせた。まだ半信半疑だ。なんでー?

しかもでかい。ギュイーンと走る。

ええ~!

足元に来る。重い。

ええ~!

抜きあげた。手に取った。ひと目で28cmと分かった。それがこれだ。



痩せてはいるががちで28cm。登録sizeだ。

「けーさん釣れました。」
「お~デカいっすね。さすがですね。」

どこでどおやって釣ったかは言わない。言えない。説明がつかない。理論を越えた変な魚。
説明のつかない魚は好きではない。気持ち悪い。

そうこうしているうちにけーさんが声を上げた。

「これはいいでしょ~」

見ると25cmをぶら下げていた。

「お~凄い!でかい!そんなのなかなか釣れないですよ~。」
「そうですか~えへへへ~」

そうだよ。なかなか釣れない。25cmを釣るまでに僕は2年掛かったのだ。


あたりが無くなる。車に戻る。

どうしようか…。

「28.7の磯。行ってみますか?」
「行きましょ~」

305を飛ばした。

ポイントに着く。月は相変わらず明るい。LED無しで複雑な磯が歩ける。

先日の28.7のポイントに入る。ここでは前日のyasuくんとの釣行でも60弱のシー様をあげていた。
そんなのでも掛かればいいが。

けーさんにポイントを説明する。

「あの開口部から外海に投げて、左側の岩をこするように」
「はい」

その通りのリトリーブコース。しかし何も起こらない。
もう一度。息を詰めてけーさんの釣りを見つめる。しかし何も起こらない。

だめか。ここで最も良い場所。困ったな…。

けーさんの横で僕は手持ちぶさただった。為す術を考えていた。そこまでは記憶にある。

そしてそこでまた僕は記憶の無いキャストをした…ようだ。どう考えてもそのキャストを思い出せない。
ひょいと手が勝手にキャストしたのだ。頭でも、理論でも、経験でも無く。ただ。そこに。ひょいと。

気がつくともうその魚は掛かっていた。手に重量を感じ我に返った。

ええ~!?

何かとんでもなくでかい。重い。なんだっ!?

ええ~!?

腰を入れた。ファイティングポーズをとった。意味が分からないがでかいのだ。

「でかいっ!」

声を出した。

5m程の近距離。水面をどしゃばしゃと暴れながらそいつは寄ってきた。
抜きあげをためらう重さ。しかし覚悟を決めて2mをゆっくりと抜いた。

それがこいつだ。



尺はないが29に近い。太さに大きさが読めない。

バッカンに水を汲み泳がせた。

しかし。

なんなんだ。今日は。さっきの28と言いこれと言い、無意識下でこのサイズを2つ獲ってしまった。

先シーズンはこんなサイズ、求めても求めても釣れなかったのだ。

なんなのだ。一体。どうしたのだ、僕は…。


その場所をあらためて見た。

3つの岩がほぼ正三角形で並ぶ。一辺の長さは約1.5m。
べた凪ぎの中でもわずかなうねりがそこに集まりそのトライアングルの中で弱い渦を巻いていた。

ここか…。雰囲気はあるな…。

もう一度そこに投げた。集中して。今度は意識的に。三角形の二辺を通せる角度。その5m沖。

ゆっくりリトリーブしたAthlete liplessがトライアングルに入った。手前の岩をこするように通過した。

そこで。再び。

ゴン!

おし!やった!来た!また来た!

ずんっとあわせる。乗った重量はさっきよりも重く感じる。

「でかい。これでかい!」

また声を上げた。

これは…。行ったかもしれない。尺。尺か!?

岩の向こうでもがいている。潜られたくない。ロッドを大きくあおりその岩を力技で乗り越えさせた。
83deepはそうやって使うロッドだ。

20cm程の高さの岩を乗り越え手前に落ちる。そこでまたもがく。やはりでかい。
これは大切にしたい。絶対獲りたい。けーさんに声を掛けた。

「けーさん!網入れてくれませんか!」 
「はいっ!」

足元の水面を照らした。網が入った。よし、獲った!

しかし…。

網の中の魚は全然思ったサイズではなかった。ちっさ!思わず言ってしまう。

それがこいつだ。



28はないと読んだ。

冷静に頭が数字を計算する。(この段階ではまだ計測していない。写真は計測後のものだ。)

28。確定。28後半×1。28弱×1。3つのアベレージは28cmで確実だ。

28×3=84

持っているスコア28.7。+84=112.7。

112.7!

よしっ!勝った!越えた。あの人を越えた!

嬉しかった。無意識で釣ったとは言え釣ったのは僕だ。

よし。これでしばらく楽になれる。まずそれを思った。

先日のコメントに書いた。

「3mmに泣くか2mmで笑うか」

今、僕は笑っていた。

絶妙な。スコアだ。


「月と影理論。訂正しなきゃいけませんね。」

天頂に満月が輝くそのタイミングでの結果にけーさんが言った。

いや。僕は言う。

「いや。崩れてません。どれも岩べったりです。影がきっとあるんですよ。そこには。」

そして今日は昨日よりわずかに食い気が強いだけだ。何か、分からない魚の都合によって。



体が軽くなった気分で釣りを続ける。

場所を替え適当に打って回る。あるオープンウォーター。


カツンッ!


硬い硬いあたりが83deepに響く。それでもう分かる。シーバスだ。

そのファイトは余裕でこなした。魚がどう動くか完全に読めた。
走るそぶりを見せたらロッドのテンションをふっと緩める。すると魚は止まる。
完全に手の中に転がしながらその魚を寄せた。
月が明るい。LEDを点けるまでも無い。低い岩の上からハンドランディング。簡単だ。



55cm。

このブログではじめて顔を出したな。別に顔出しNGなのではない。
一人で行ってばかりだったので手しか撮れなかっただけだw


またひとつ岩を越えオープンウォーターを流す。
もうシーバスも恐いと思わなかった。
ラインは0.4PEだが切られる気がしない。完全に乗っていたのだと思う。

ふと横を見てまた手が投げた。どシャローの岩。ほぼショア。

カツーンッ!

シーバスだ。そんなところにもいるのか。そこも水深は50cmだ。

しかしこれはさっきよりでかい。でも恐くない。なぜだか完全に魚をコントロールできる。

走りそうになったらテンションを抜く。魚はふがいなく為す術無くそこに止まる。

「のれんに腕押し」

言葉が頭に浮かぶ。のれんに腕押し釣法w

しかし重い。なかなか動かない。いくらなんでも足元まで来たら暴れるだろう。

ドラグを緩めようか。

思ったがしかしやはり必要性を全く感じない。
魚は徐々に寄ってくる。
なんて簡単なんだろう。僕は何を恐がっていたのだろう。

乗っている人間は恐い。

足元まで来てその魚はやはり暴れる。手は届かない。様子を見にきたけーさんに声を掛ける。

「けーさーん。網入れてくれませんか」

網入れの最中に猛烈にエラ洗いをする。1mの近距離でエラ洗いを見る。スローモーションに見えた。
はいはいと笑う余裕がある。

乗っている人間は…恐い。



70up。

これが僕の乗っている顔だ。

完全にあほだなw


さすがにお腹いっぱい。

けーさんも26cmを釣ったようだ。

ならいいじゃないか。満ち足りた。


「上がりましょうか?」
「上がりましょう」

おっと計測が残っていた。

メジャーが指し示した数字は僕の計算そのままだった。

28.5cm。27.5cm。28あわせて計84cm。

よしよし。完璧。

これで。

しばらく。

休めるな。

ふ~。


TACKLE DATA
ROD/Glamour Rock Fish TR83deep
REEL/EXIST2004
LINE/VARIVAS light game MEBARU PE0.4+7lbフロロ
LURE/jighead2g+beamfish(28cm)
   Athlete lipless/keimura sirasu(28.5,27.5,55,70cm)

MOON DATA
コメント (15)
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