2009/3/1/3:00
僕は再び「岩壁の向こう」に立った。
微風。時々強く吹く。基本的に凪ぎではあるが風波がちゃばちゃばと細かく立つ。
昨日と全く同じ状況。なんだか昨日の続きのような気がする。その間にあった仕事も生活も消えていた。
今日も暗いdeepには目もくれずひたすら明るい場所を釣り続けるつもりだ。
残された短時間で出来うる限り数を出すのである。数がサイズに転化する瞬間を待つのである。
昨日、目に掛けてしまいkeepした1匹。
捌いて胃の中味を調べてみると小さなアミエビやジャコが詰まっていた。ナミノハナは入っていない。
であればハードルアーではない。となれば。これか。やはり。最後もやはりこれなのだ。
GULPベビーサーディン。ほんとお世話になりっぱなしで恐縮である。
立ち位置から明かりのあたる場所に投げると斜め前からの向かい風となる。ジグヘッドは3.5gを選ぶ。
一投目。明かりの真ん中を外し明暗の境目の底を狙った。4mの深さ。20m向こう。
岩床を感じるまで沈め可能な限りのスローにリトリーブする。
コン!!
いきなりだ。83deepは難なく掛ける。やはりこいつでなくっちゃ。なくなった手が戻ってきたようだ。
しかしこれはかなり大きい。昨日はいなかったサイズ。
暴れさせて周りの魚を散らさないようスイープにゆっくりと寄せる。魚の顔を常にこちらに向けるのである。
しょっぱなから27cm。期待が膨らむ。
二投目。
同じく光の中を避けやや横の暗い場所を打つ。底。
コン!!
気持ちいいくらい容易にあたりが出る。これもなかなか。
26cm。
ますます期待が膨らむ。
明かりの真ん中に投げてみる。ここにも当然魚はいた。しかしサイズが小さい。20~23cm。
僕は明かりの真っ正面に立っている。サーチライトで照らされたルパンみたいに。まぶしい。
約100m向こうの岩のおよそ15mの上からその明かりは放たれている。
光の広がりの少ないビームのような明かりだ。
そこからまっすぐ水面に光の道が出来る。その幅は約5mだ。
光の道、水面に光が反射している場所はそのまま光の当たる場所になる。
その道の中を打つとサイズは小さい。釣れるレンジも高い。
道を外して2m程横を打つとサイズが上がる。高いレンジでは食いが渋い。やはり底だ。
せまい範囲での明確な棲み分け。サイズによって変わる個性。メバルは楽しい。
光の道を外した暗い底をひたすら打ち続ける。時々あたりは止まるが10分ほどでまた食いが立つ。
短い時合を積み重ねて行く。サイズは25~27cm。揃っている。無心に釣り続ける。
27。
26。
こんな感じ。
底を狙い過ぎて根がかりする。外れず切る。今日はPE0.4号+6lbフロロに替えていた。
このシステムでは根がかりは確実にPEから切れる。
FGを編む。風が吹く。時間がない。焦って1度失敗し2度目で仕上がる。
さあ釣り始めようと顔をあげたら目の前の岩に人が2人立っていた。ショック死しそうなほどびっくりする。
心霊現象では全くないw。リアルな釣り人である。FGに気を取られ全く気がつかなかった。
ここで釣りの途中で人が来たのは初めてである。全く想定していない。動揺する。
おまけにその2人は僕の前方から光の中を打ち始めた。投げるラインがややクロスする。やめてくれぇ~。
しかしそんなことは言えなかった。ここは僕だけの場所ではないのだ。
今日はトーナメント最終日ですのでよそへいって下さいお願いします、など通用しない。僕の都合に過ぎない。
我慢する。共存する。僕のキャストを待ってキャストしてくれるマナーはある。水面を照らしたりなどもしない。
僕がどうしても許せない釣り師のタイプは2つある。
無神経に水面を照らすやつと、釣ったフグをその辺に捨て干物にするやつだ。
そのどちらかを目にしたら僕は注意する事にしている。看過出来ない。
しかしこの2人はとてもきれいに静かに釣りをする。謙虚なマナーを心得ている。
それにずいぶん軽いジグヘッドを使っているらしく飛距離が10mもない。
その軽さであればこの風の中ではボトムへは落とせない。狙っている魚はかぶらない。
大丈夫。じゃまにはならない。平和だ。僕は僕の魚を釣り彼らは彼らの信じる釣りをする。
もっと重いジグヘッドで底を狙えばでかいの釣れるよなどと教えるほどには僕は人間が出来ていないのだ。
結局その2人は光の中では1匹も釣らず裏側の暗い場所へと移動した。
それにしても恐ろしく静かな2人だ。
並んで釣っているにも関わらず一言も会話は交わさない。足音すらたてない。
再び集中する。相変わらず短い時合を繰り返し釣れ続ける。既に25upのみで20本を越えた。
しかし、やはり、そこに壁がある。27cmの壁だ。越えられない。でかいのはどこだ。この中にはいないのか?
時間は5:00前だ。あと1時間余り。時間がない。焦る。でかいのはどこだ?どこだ?どこだ?激しく求める。
ポイントを一枚の絵画に見立ててみる。
キャンバスの上に光の道や波の方向、潮の流れなど魚に影響のある要素を線で描き込む。
その下地の上に魚の釣れた場所を点で打っていく。その線と点には明確な自然の道理があるはずだ。
優れた絵画は必ずこの道理によって成り立っている。具象抽象を問わず良い作品はみなそうだ。
このポイントを線と点の抽象画にしたらそれは優れた絵画になるはずだ。
自然の道理に外れたメバルなどいないのだから。
しかし今、この段階ではまだ絵は完成していないようだ。
上手く出来てはいるが何か足りないのだ。何かもう一つ有効な点が欲しい、そう感じる。
ではその「一点」はどこに打てば良いのだ?その点を打つには才能が必要になる。
芸術家の一線はそれを打てるか打てないか、そこで分かれる。
既に描き込んだ小さく狭く固まった点の集合。おそらくその「一点」はそこから少し離れた場所にある。
ある空白の中に、絶妙なバランスを持って存在する「一点」。それが打ちたい。なんとしてでも探したい。
打ったとすれば絵画全体に豊かな調和を生み出しすぅっと納得のいく一点。
でかい魚はそこにいるはずなのだ。
悲しい事に一発でその点が打てるほどの才能のない僕は当たりかまわず投げ散らかす。
打ってみてバランスを見ながら、違う!と言って消してはまた次を打つ。しかし見つからない。打てない。
ひょっとしたら下地の線自体がまだ足りないのかもしれない。
気がついていない有効な線。それが見えていないのかもしれない。なんなのだそれは。
分からない。
時間は5:30。黎明が差し始める。残された時間はない。
思い切って立ち位置を変える。防波堤に上がりそびえる岩壁の横に立つ。
そこから明かりが設置された対岸の岩の直下を狙う。
光は当たっていない。灯台下暗し、のような一点。光の道のライン上にある闇の点だ。
横風を受ける方向となるが風は弱まっていた。フルキャストし、底まで沈めた。そっとリトリーブしはじめる。
コン!
!!。「一点」を求めだしてから始めてあたりが出た。よしっ!でかい!?
遠くから寄せてくる。確かに大きい。水面が割れない。今日一である事は確かだ。慎重に3mの高さを抜きあげた。
27は確実に越えている。28あるか?ないか?このわずかなサイズupに意味を感じる。今までと「違う魚」か!?
測らずにすかさず次を投げた。その「一点」はそこか!?
コン!
同じ場所でまたあたりがでる。やはりそこなのか!?見つけたのか!?
27だ。やはりその一点ではないのか?「同じ魚」なのか!?
次を打つ。
しかし。
そこであたりは途絶えた。空が白んでくる。急速に魚の気配が消えた。
はぁぁぁ~。
終わった…。
届かなかった…。
防波堤の上にへたり込み朝の晴れ渡った海を眺めた。煙草をくわえる。
「やりきったな」
それしか出てこなかった。
ふと気が付いてさっきの魚を計測する。
27.5cm。
最小の登録サイズは27cmだ。5mm更新出来る。しかし順位に変動はない。4位だ。
今日は少しkeepさせてもらった。メバルを欲しがっている人がいる。
一番右が27.5cm。真ん中が大きく見えるがレンズのあやだ。
総括。
やすや「尺メバルトーナメント2008~2009」登録した他3本。そのDATA。
12/14 27.5cm CALM80 「奇跡の海水浴場」
12/19 28cm ピンテール6 「奇跡の海水浴場」
1/8 28cm ブルースコードC60 「岩壁の向こう」
そして。3/1 27.5cm GULPベビーサーディン 「岩壁の向こう」
計111cm。
よくやったと思う。あのキラ星のごときメンバーの中で4位は誇るべきだ。
この辺りが実力である。この順位は正しい。やはり舌”くんは偉大だ。ターレンと名乗るだけのことはある。
しかし更新サイズを「多い日夜用slim」で出せなかった事は痛恨ではある。
バーブレスくん。すまない。テスター失格だな。
でもね。ほんと。ありがとう。
この2日間も悪あがきにしては上出来だった。サイズを問わなければ60本は釣ったのだ。
最後に5mm更新出来た事。それが「やりきった」という気持ちに繋がる。
わずかだが従来を越えたのである。
うん。
うんうん。
よくやった。悔いはない。
あ~。
いや。
でも。
やっぱちょっと。
悔しいなw
TACKLE DATA
ROD/Glamour Rock Fish TR83deep
REEL/EXIST2004
LINE/VARIVAS light game MEBARU PE0,4+6lbフロロ
Moon DATA
4位入賞おめでとうございますw
メバル、かなりの数釣ってましたね。
居るとこにはいるんですね。
つーさんレベルに早く僕もなりたいです。
GULPベビーサーディン、どんなカラー使ってますか?
潮の色とか光量とかで使い分けとかしてるんですか?
教えて下さい。
“多い日夜用slim”の存在が多少つーさんの足を引っ張ったんじゃ?
ようやく終わったことだし、これからはノンビリとやりましょう。
結果を知っていてもドキドキはするもんです。
メバルダービー。。。この完結に至るまでの過程はほんとおもしろかった。
一読者として楽しめました、ありがとう。
しかし本当に沢山釣っていたんだね、すごい。
文才ばかりフューチャーしちゃって、ごめん。
改めて、4位、すごいです。
おめでとう。
そうですねたくさん釣りました。こんなのはこの場所では初めてでした。楽しかった。サイズは出ませんでしたが満足でした。
GULPは白のみです。ピンクも持っていますが余りよくありません。状況によって使い分ける事は無いですよ。ひたすら白のみです。GULPに限らずワームはだいたい白系統が多いですね。あとはクリアやクリアラメ系があれば僕的には充分です。夜光は真っ暗な場所では使いますが明るい場所ではなぜか食いが悪いと感じます。夜光だから釣れたってあんまり無いんですが。余りワームにはこだわらないんですよ。ハードルアーには厳しいけど。
出来る事はやったという感じ。
多い日夜用。そんなことは全然ない。あれは非常によく釣れる。とても優れたルアーだ。僕のせいで評判を落としたんではと気にかかる。
これを12月のシャローの時期に持っていればなぁって思った。本来僕のスタイルはハードルアーだ。登録したうち3本はハードルアーだからね。今シーズンは渋い状況が多過ぎて後半はGULP頼みにはなったけども。
でも多い日夜用はあたり方が激しい。なんでだろう?
あ、それと赤針は掛かりが悪い。針自体が弾く感じがある。シャンクが長めの銀針が良いのではないかと思う。
サイズアップしたくて狙って出来たんだから。
ダービーは終わったけれども何かが完結したわけではないよ。メバル釣りは6月まで続く。まだまだ追い求めるよ。誰も見た事ないようなサイズが釣りたい。どっかにいるはずだから。
もっと上手くなって次のダービーはぶっちぎろうと思う。
最後のあがき祭りだな。
この場所知っているだけに、その様子が手に取るように思い浮かぶよ。まるで小生も傍にいるように。
あの磯にあの明り、魅惑的な場所だ。
あんなところ他にない。
大事にしたいね。
つーさんが4位というの、ちと寂しいが
ドラマの結末としては、こちらのほうが上等かもな。
こちらまるで釣れん。
これからだと思う。
この満月あたりからそろそろと期待している。
自分の場合行ける日はほぼ行ってましたし。基本暇人デスカラ!
もうそろそろバスが始まりメバルの道具もしまうので、それまでに一度は一緒に釣りに行きたいですね。
次はいつ出撃されるんですか?
ほんと大潮周りはほとんど荒れましたね。
僕もかなり行きましたが12月に有効なシャローのポイントを持ってないのが敗因でした。
現在4連休の初日です。土日月火とお休みです。決まった予定はありません。ご都合の良い日時をご指定下さいませ。
どこでも行きますよ!
4位。残念ではあるけど。。でも、次回に繋がるよ。
次はキングつーだよ!!
やっぱりホームで1位。
もっと尺メバル祈願します。
ほんと、今シーズンはいつにも増して釣り三昧でしたね。
その過程をブログで楽しめてよかった。
ありがとう。
なんだか一緒に釣りしていたみたいに感じちゃうから、案外メバルダービーが終わってホっとしたりもします(釣ってブログ書いてはハードそうだから)。
に、しても今回は随分と良いサイズのメバル釣りましたね。
普通ならそれでもうらやましぃ~!!ってなるくらいだよ。
私なら釣っただけでも嬉しいかも。
魚のアタリなんてもう忘れてしまった・・・ってくらいだもん。
釣ったサイズの合計&数なら一位だね。きっと。
外道とはいえ、チヌやヤリイカ、スズキくん。
良い。
旨い。
つーさんがさばいて、料理してくれるからだけど。。
ほんと、いつも美味しいくて美しい料理、ありがとうございます。
つーさんはメバルならメバル。
イカならイカ。ってピンポイントな感じのイメージですが。。でも、やっぱりチヌは嬉しいかも。
私には一生釣れないかもしれないけど・・・アオリイカ以外のイカ釣ってみたいなぁ。ヤリイカとかアカイカとか。
それで食べ比べしたい。日本酒飲みながら。。
最後の悪あがき。
テスト前の一夜酢けみたいで、とってもわかる。
案外、悪あがきは切羽詰まって良い結果でたりするよね。
5mm UP!やらないよりはやってよかった悪あがき!!
絵画に見立てる。。わかりやすい。
優れたものには道理ってのがある意味共通している気がする。それがないと調和が保てないっていうポイントがあるんだね。
あ、メバルダービーが終わって、次はどんな釣りブログになるんだろう?
海もいいけど川もいいね。
川魚って地味で品が良くて好き。
楽しみです♪