星空☆Casting

釣れるものはみんな釣りたい。
夜の海で一人
ひたすら同じ事を繰り返す快感。
さあ、ご一緒に。

岩壁の向こう

2009-01-17 04:08:02 | メバル
2009/1/8。
海は凪ぎ。風はなし。中潮。23:00の満潮を狙って20:00からポイントに入る。
越前海岸のとある防波堤の先端。
防波堤の先端といえどもそこに入るのは容易ではなく
約6mの垂直の岩壁をクライミングしなければならない。
しかし苦労して行くだけの事はあるのだ。
そこは潮通しが良くdeepで沈み根も豊富。
しかも明るい灯りが先端左側を照らし右側は暗く影になっている。
ここではあらゆるパターンの釣りができる。ベイトも常に豊富だ。
そして何より人がいない。

灯りが一番強くあたる海面を覗くとキラキラと銀河のようなまたたきが見える。
ナミノハナだ。いつもより多い。全てのフィッシュイーターの糧。魚の米だ。
「いただきぃ」つぶやいてポイントに入る。
狙いはメバルだ。それもMEGAなやつ。28cm以下はメバルではない。

この防波堤の先端は磯の上に作られており
その礒に降りれば海面から70cmの位置で釣りができる。
しかしいきなり先端の美味しいポイントに入ってはいけない。
不用意に先端に立つとサーチライトのように照らす灯りに晒された僕の影が
先端直下にある沈み根にかかり魚を警戒させる。

先端5m手前でしゃがみこみ沈み根の向こうおよそ10mにルアーを投げる。
投げたルアーはこれだ。

jack-nick rures「 多い日夜用ナミノハナアルミ」。右上のやつ。
バーブレス山田さんのハンドメイド天才ルアー。マッチザベイトにも程がある。
リアルなルアーが、果たして魚には本当にリアルに見えているのだろうか?との疑問は常にあるが
これはそのままナミノハナにみえているであろうという確信がある。確信こそ力だ。

キャストして2秒ほど待ち、デッドスローで引きはじめる。
沈み根にかかる手前。来るぞと思った瞬間。


カッツーンッ!!


硬質で明確なアタリを83deepは捕らえた。一発だ。がしっとあわせる。
ごんごんごんっ!。鈍くその場でもがくような引き。
一瞬尺メバルかと思うが違う。すぐにウィィィィィーンと猛烈にドラグが出る。
「ああ…。またや。」シーバスである。
直近過去4回、この場所に来て全てシーバスを掛けている。
ライトタックルで掛けたシーバスは、フッキングの瞬間戸惑ったように首を振る。
その動きが抱卵した尺メバルの引きにそっくりなのだ。しかしね、もうね、だまされんわ。もう慣れたわ。

だがこいつはいつもよりでかい。足もとで約10mのdeepにひたすら突っ込んで行く。
ラインシステムはPE0.4G+フロロ6Lb。
ドラグはメバル28cmのMAXの引きにちりりと出る辺りにあわせてある。
この設定ならまず切られない。根に潜られない限り単なる持久戦である。

僕の右手は秋アオリでしゃくり過ぎて腱鞘炎になっている。未だ癒えていない。とても痛い。
あんまりそんなに強く引っ張らないで頂きたいのであるが。

4、5分掛かったか、何度かの強烈な突っ込みをかわしやつも疲れてきた。
水面に横たわり荒く息をしている。70は軽くあるな。しかも太いな。困ったな。
そう、困るのである。なぜって?ネットがないのだ。そもそもそんなものは持っていないのだ。
メバルであれば例え35cmでもこのタックルなら抜けるのである。
1リットルPETボトルでベランダから試したのさ。楽勝。僕の釣りにネットなんていらんのである。

腹ばいになってハンドランディングしようか?いや届かんな。
先端の向こうに回って低い場所を探そうか?いやいやポイントが荒れるな。うむむ。
悩んでるうちに唐突にやつは息を吹き返した。いきなり突っ込むぅぅぅー。やめてー。
竿の角度がほぼまっすぐになりイグジストの超絶ドラグも追随が遅れた。


プチン。

切れた。

あああぁぁ。

逃した魚よりも失われた貴重な「多い日夜用slimナミノハナアルミ」を想う。
魚の口にルアーを残すのも痛ましい。
あああぁ。
怒りにふるえる。魚に対してではもちろんなく自分に対してである。
ネットぐらい買えよぉ。うじうじ。
獲る場所ぐらい考えとけよぉ。うじうじ。
だって…メバル…釣りに…来たんだもん…。うじうじ。
過去4回はオートリリースとか荒れ気味の日には波に乗せてうまいこと礒まで上げられたんだもん。
なんとかなる思ってたんだもん…。うじうじ。

岩に腰を下ろし防波堤に背をもたれFGノットでラインを編む。いくぶん手が震えている。

次に何をどこに投げるかが問題だ。
多い日夜用slimはもうひとつある。しかしこれはさらにレアなグリーンメタリックレッドヘッドである。
もう失えん…。使うの恐い…。
悩んだ揚げ句「ジャクソンピンテール6」を選ぶ。

灯りの当たる場所は避け防波堤の反対側の影に移動。
こちらには露出した根がありその周辺は微妙にサラシちゃったりなんかして
こうなってみるとなんか見るからにシーバスっぽい。

「あそこは危険だ」

根は避けてオープンウォーターに投げる。何やってるんだろう。

着水。そしてリーリング。次にいやな予感。

カツーン!!

!!!!?あああぁぁ!?

シーバスHIT。また一発である。なんか今年は濃過ぎないか?
先程よりは小さい。やや安心する。60ぐらいか。
しかし小さいなら小さいなりに、活きの良いちんぴらチックなファイトを見せる。
せわしく駆け回り、小さく何度も鋭く突っ込み、また手が痛くなってくるんである。

「これはキツイ…」

なんとか足もとの水面に横たえた魚体はやはり60ちょいだ。
しかし抜くわけにはいかないな。見回すと礒場の奥に露出したスリット。
再奥がスロープのようになっており引きずり上げられそうだ。
誘導し、波の力でスロープに乗せ、波が引き魚は陸に取り残された。
下あごをつかむ。「ふー」と息を吐く。さっきもこうすれば良かったのだ。
62cm。帰宅後撮影。


フックが曲がったのでルアーチェンジ。
「Maria ブルースコードC60クリアホロ」
影の側から再び先端直下の沈み根を通す。
暗いところに隠れて、明るい場所を見つめ、打ち、獲物を狙うんである。水中のやつらと同じように。

何度目かで鈍いあたり。明確ではないが確かな生命感。違和感。
すかさずピシリとあわせるともったりとした何かがうごめいた。
あまり引かない。ぬーと上がってくる。至近距離なので一気に抜いた。
べたんばたんとのたうつ魚体。太っているので尺か?と思うが手に持つとそこまではない。
抱卵したベリーと脂肪でやわらかくなったボディー。ぱんぱんのメバルだ。28cm。


バッカンに水を入れ泳がせて眺める。
上から見る水中のメバルの目は水晶のようだ。
ひれを交互に揺らし、ゆっくり大きく息をしている。
この姿を見るとすぐに情が湧いてしまう。殺せなくなる。
バッカンには先程のシー様も頭を突っ込んでぜーはー息をしている。
気の毒とは思うがなぜか情は湧かないんである。

その後はジグヘッドの釣りをしたが25cm程度が何匹か釣れたのみ。
プラグに替えてもあたりは遠のきそろそろ潮時。
もう一ヶ所気になる場所があるからと移動する事にした。

まだ続くんである。
ね。長いでしょ。

TACKLE DATA
ROD/Glamour Rock Fish TR83deep
REEL/EXIST2004
LINE/VARIVAS ライトゲーム メバル PE0,4+6lbフロロ
Moon DATA

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4 コメント

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長い。 (バーブレス)
2009-01-17 18:28:46
確かに長い。
が、退屈しないよ。
臨場感が伝わってきます。
僕は、つーさんの文章 前から好きだったんで、早くブログ作らないかと待っていたんだ。
返信する
⇒バーブレスさん (つー)
2009-01-18 03:03:37
初コメントありがとう。
あなたのブログのように盛況になると良いが。
文章が好き?
僕にとっての何よりの励ましだ。
エゴイスティックに長いの続けます。
返信する
Unknown (バーブレス)
2009-01-19 21:55:04
アルミのコーティング、硬化がほぼ完了しました。
まだテストスイムしてないんだけど、必要ならいつでも取りに来てね。

ちょっと不安なのが、今までよりコーティングが厚くなったのと、
あと ちょっと艶かしさを出す為に、ボディーに余計な曲線を増やしたことが悪影響を及ぼしていないかなぁ~ってこと。


ps.続きはいつ書いてくれるん?待ち遠しいんやけど・・・
返信する
⇒バーブレスさん (つー)
2009-01-20 03:16:29
必要必要!!明日伺います。
昨日岸壁の向こうで25,26cm。
サイズはしょぼいんだがお腹の中はナミノハナでうまってましたよ。
コーティングは厚くて良いよ。
テトラで使うとどうしてもぶつけるから。
続き。ちょっと待ってね。
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