安保法制の撤回を求める請願は、賛成7:反対8で不採択となりました。以下、堤の討論と賛否一覧を掲載しご報告します。
賛成討論:安保法制撤回を求める請願
請願1号 安全保障法制関連法案に反対する意見書提出を求める請願 の採択に賛成の立場から討論をおこないます。
この法案は、歴代内閣が、憲法に違反するとしてきた集団的自衛権、すなわち、日本が攻撃されていない状態であっても、密接な関係にある国への攻撃に反撃するというものを、強引に解釈に変更を加え具体的に実行できるようにするための法改正案であります。
従来の政府の見解は、我が国に対する直接の武力攻撃があった場合に、かつ、他にそれに代替する手段がない、必要性があるという場合に、必要な最小限度において武力を行使する―それが自衛権の行使だとしてきました。
まさに、戦後の安全保障政策を大きく転換する内容であります。
6月4日、衆議院憲法審査会では、憲法学者に参考人として意見を聴取しています。
自民党公明党、維新の党、民主党、それぞれが推薦する三人の法律の専門家、教授のいずれもが、安保法制、集団的自衛権の行使について憲法に違反するとの見解を表明しました。
憲法改正を主張してきた保守の憲法学者小林節慶応大学名誉教授は、「野党は論争をしかけ、その異常さを国民大衆に知らせてほしい」「これは露骨な戦争参加法案であり、もうその一事だけでも、私はついていけない」と述べました。
法学者だけではありません、自民党で幹事長を務めてきた野中広務氏、古賀誠氏なども、この法案に反対を表明しています。
安保法制は左派やリベラル層が反対していると思われていましたが、危険な内容の法案だということが、保守層や無党派層にも徐々に明らかになりつつあります。
政府は個別的自衛権にあたる日本周辺の領土問題などを持ち出し、危機を煽り国民の支持をとりつけようとやっきになっています。しかしいまや焦点は中東での機雷除去や、兵站活動が課題となっています。
イラク戦争の当時、首相官邸で自衛隊派兵の中心を担った、元内閣官房副長官補の柳沢氏は、朝日新聞社のインタビューで「自衛隊派遣の前提だった『非戦闘地域』という概念は、憲法上のつじつま合わせだけではなかったと思います。実質的に自衛隊を戦闘部隊の指揮下に入れず、直接の戦闘に巻き込ませないという意味があった。この概念を廃止して活動範囲を広げれば、今までより確実にリスクは高まります。イラクでは何とか戦死者を出さずに済みましたが、あれ以上のことをやれば必ず戦死者が出ると思います」と述べています。
日本は、戦争をしないと宣言していることで世界から信頼されています。
今、この国是の岐路に立っています。政治的立場や主義主張の違いを超えて、平和主義を守る意思を政府に伝える必要があると考えます。よって本請願採択に賛成いたします。
(請願に賛成:堤理志、河野龍二、中村美穂、安部都、饗庭敦子、安藤克彦、分部和弘)
(請願に反対:浦川圭一、金子恵、西岡克之、岩永政則、喜々津英世、山口憲一郎、吉岡清彦、竹中悟)